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預言者
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百年前のお話。
悪虐非道の限りを尽くした暴君がいました。
世界中の国々に攻め行っては侵略し、蹂躙し、人々を殺戮します。
世界中の国々が寄ってたかって、彼の国を滅ぼそうと戦いを挑みますが、不可能でした。
なぜならば、その国には八人の最強の防人がいたからです。
ですがある日のことです。
八人の防人の一人が国を裏切り、反乱を起こします。
その隙を狙って、世界中の国々がかの国へ攻め入りました。
結果、彼の国は滅び、世界が平和になりました。
***
「……と言う歴史があるのだけど……勇者様、どうしてそんなに目を輝かせているの?」
昔話を語り終えたロザリーは、キラキラと目を輝かすマヤに尋ねた。
「…八人の防人ってなんかかっこいいですっ! 漫画みたい…」
「…かっこいい、かあ。なんか変わってるね、マヤちゃん」
「そ、そうでしょうか…」
小首を傾げるマヤに、ロザリーがふっと笑った。
「それでね、この話には続きがあって、八人の護り人はまだ生きてるのよ」
「ええ?! 百年も前なのにですか!」
マヤの幼い瞳が再びピコンと輝き出す。
「そう。各国の牢で、厳重に閉じ込められているわ。私の国の地下牢にも、そのうちの一人が繋がれているの」
「す、すごい………」
「で…拘束されている彼らには特殊能力があるの」
「特殊能力?」
「うちの国の彼は【預言者ハルヒ】。未来のことを予知できるのよ。それでね、ここからが重要」
真剣な表情でマヤを見据えるロザリーに、マヤも緊張した面持ちで、ごくりと一つ、唾を呑み込んだ。
「彼が先日預言したの。『悪魔が国を滅ぼすだろう』と。
「…え⁈ 大変じゃないですか!」
「いいえ」
首を横に振るロザリー。
「でもね、この預言には続きがあるの…………『勇者が現れ必ずや悪魔を退治するだろう』とね」
「勇者!」
ファンタジーの単語に、マヤの目がパアアと輝き出す。
「そうよ」
ロザリーはマヤの手をぎゅっと握った。
「それが貴女よ!」
「えー⁈」
マヤはギョッと目を剥いた。
「ええ、あの赤竜を一発で倒し、規格外の魔力を備えているのよ。こんな強い人、勇者でないはずがない!」
「………でも私…」
この世界の人間じゃないし……という言葉が喉まででかかったが、ギリギリのところで止める。
馬車が止まり、外から馭者の声が聴こえた。
「姫様、お城に到着いたしました」
悪虐非道の限りを尽くした暴君がいました。
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なぜならば、その国には八人の最強の防人がいたからです。
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その隙を狙って、世界中の国々がかの国へ攻め入りました。
結果、彼の国は滅び、世界が平和になりました。
***
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昔話を語り終えたロザリーは、キラキラと目を輝かすマヤに尋ねた。
「…八人の防人ってなんかかっこいいですっ! 漫画みたい…」
「…かっこいい、かあ。なんか変わってるね、マヤちゃん」
「そ、そうでしょうか…」
小首を傾げるマヤに、ロザリーがふっと笑った。
「それでね、この話には続きがあって、八人の護り人はまだ生きてるのよ」
「ええ?! 百年も前なのにですか!」
マヤの幼い瞳が再びピコンと輝き出す。
「そう。各国の牢で、厳重に閉じ込められているわ。私の国の地下牢にも、そのうちの一人が繋がれているの」
「す、すごい………」
「で…拘束されている彼らには特殊能力があるの」
「特殊能力?」
「うちの国の彼は【預言者ハルヒ】。未来のことを予知できるのよ。それでね、ここからが重要」
真剣な表情でマヤを見据えるロザリーに、マヤも緊張した面持ちで、ごくりと一つ、唾を呑み込んだ。
「彼が先日預言したの。『悪魔が国を滅ぼすだろう』と。
「…え⁈ 大変じゃないですか!」
「いいえ」
首を横に振るロザリー。
「でもね、この預言には続きがあるの…………『勇者が現れ必ずや悪魔を退治するだろう』とね」
「勇者!」
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「ええ、あの赤竜を一発で倒し、規格外の魔力を備えているのよ。こんな強い人、勇者でないはずがない!」
「………でも私…」
この世界の人間じゃないし……という言葉が喉まででかかったが、ギリギリのところで止める。
馬車が止まり、外から馭者の声が聴こえた。
「姫様、お城に到着いたしました」
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