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第三話:彼女の名前
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「な、なっ…」
なんなんだ、この子は!?!?そういうコスプレか…?ってそんなわけねえ!
「真咲、久しぶり!何百年ぶりかな?あたしずっと待ってたの!謝ってほしいことも、謝らなくちゃいけないこともあったから!というか服装変わったね!それからあたし、真咲の願いを――」
「だーーーっ待て待て!一気にしゃべるな!つーか離れろ、苦しい苦しい!」
俺は半ばしまっていた首をいたわりつつ、強引に少女を引き剥がした。
お互いに向き合って座る。少女は爛々とした目で俺に止めどなく話しかけてくる。
…困ったな、でも言うしかねえ。
「…なあ、君、俺は真咲って名前じゃねえんだ。多分人違いだぜ」
「え?」
少女は目を見開き固まった。
…多少心が痛むが仕方ない。だって、俺は真咲ではないし…。
「?嘘だよ、真咲だよ。だってその見た目……いや、でも…言われてみれば…」
少女はしばらくぶつぶつと首をかしげていたが、急にはっと何かに気がついたように顔を勢いよく上げて俺をみた。
「君、誰!?!?」
「いやこっちのセリフなんだが!?!?」
「よく見たら全然真咲じゃないし!あたしのこと騙そうとしてたの!?!?」
「こっちはてめえに勝手に勘違いされただけだ!被害者はむしろ俺だろうが!!!」
「そもそも真咲はもっとかっこいい!君みたいに罪人みたいな目つきしてないっ!!!!」
「失礼だなオイ!?!?つーか弁解の余地をくれなかったのはお前だろうがああああ!!!!」
「ごめん、取り乱した」
俺と少女は今、向かい合ってボロボロの家の中で座っている。
先程殴り合いにまで発展しそうだった口論は、お互いが「これ、意味ある?」と気づいたために終了した。
「…そうかよ、で、落ち着いたんなら俺に言うことあんじゃねえのか?」
「?ごめんなさいなら、もう言ったよ?」
「ちげえよ、俺が聞きたいのは――」
俺は少し少女と距離をとった上で質問を続ける。
何故距離をとるのか?
万が一、こいつの攻撃が俺に降りかかった際、全力で逃げるためだ。
「お前は一体、何者なんだよ」
俺の目が狂っていなけりゃ、こいつは祠から出てきたんだ。
それに加えて、こいつの背中から生えている蜘蛛足。見た限りではコスプレなんかではない。つーかさっきこいつの感情の起伏に合わせてわさわさ動いていた。気持ち悪い。
「……何者かって…それは……」
「…………………」
緊張が走る。
「……わかんない」
「はあ!?!?」
ちょっ、ここまで引っ張っておいて、なにも情報なしかよ!
「記憶がもうろうとしてて…うまくあたしの過去が思い出せないの。真咲なら覚えててくれるかなと思ったんだけど…」
「……記憶がもうろうとしてるってお前…いや、つーか俺は真咲じゃねえからな、そんな責めるような目で見んな」
心がッ…痛むだろうがッ!
「でも、あえて名乗るとするのなら」
そう言うと、少女は俺の目をまっすぐ見てにっこり笑った。
「あたしは女郎蜘蛛。女郎蜘蛛の化け物!よろしくね!」
なんなんだ、この子は!?!?そういうコスプレか…?ってそんなわけねえ!
「真咲、久しぶり!何百年ぶりかな?あたしずっと待ってたの!謝ってほしいことも、謝らなくちゃいけないこともあったから!というか服装変わったね!それからあたし、真咲の願いを――」
「だーーーっ待て待て!一気にしゃべるな!つーか離れろ、苦しい苦しい!」
俺は半ばしまっていた首をいたわりつつ、強引に少女を引き剥がした。
お互いに向き合って座る。少女は爛々とした目で俺に止めどなく話しかけてくる。
…困ったな、でも言うしかねえ。
「…なあ、君、俺は真咲って名前じゃねえんだ。多分人違いだぜ」
「え?」
少女は目を見開き固まった。
…多少心が痛むが仕方ない。だって、俺は真咲ではないし…。
「?嘘だよ、真咲だよ。だってその見た目……いや、でも…言われてみれば…」
少女はしばらくぶつぶつと首をかしげていたが、急にはっと何かに気がついたように顔を勢いよく上げて俺をみた。
「君、誰!?!?」
「いやこっちのセリフなんだが!?!?」
「よく見たら全然真咲じゃないし!あたしのこと騙そうとしてたの!?!?」
「こっちはてめえに勝手に勘違いされただけだ!被害者はむしろ俺だろうが!!!」
「そもそも真咲はもっとかっこいい!君みたいに罪人みたいな目つきしてないっ!!!!」
「失礼だなオイ!?!?つーか弁解の余地をくれなかったのはお前だろうがああああ!!!!」
「ごめん、取り乱した」
俺と少女は今、向かい合ってボロボロの家の中で座っている。
先程殴り合いにまで発展しそうだった口論は、お互いが「これ、意味ある?」と気づいたために終了した。
「…そうかよ、で、落ち着いたんなら俺に言うことあんじゃねえのか?」
「?ごめんなさいなら、もう言ったよ?」
「ちげえよ、俺が聞きたいのは――」
俺は少し少女と距離をとった上で質問を続ける。
何故距離をとるのか?
万が一、こいつの攻撃が俺に降りかかった際、全力で逃げるためだ。
「お前は一体、何者なんだよ」
俺の目が狂っていなけりゃ、こいつは祠から出てきたんだ。
それに加えて、こいつの背中から生えている蜘蛛足。見た限りではコスプレなんかではない。つーかさっきこいつの感情の起伏に合わせてわさわさ動いていた。気持ち悪い。
「……何者かって…それは……」
「…………………」
緊張が走る。
「……わかんない」
「はあ!?!?」
ちょっ、ここまで引っ張っておいて、なにも情報なしかよ!
「記憶がもうろうとしてて…うまくあたしの過去が思い出せないの。真咲なら覚えててくれるかなと思ったんだけど…」
「……記憶がもうろうとしてるってお前…いや、つーか俺は真咲じゃねえからな、そんな責めるような目で見んな」
心がッ…痛むだろうがッ!
「でも、あえて名乗るとするのなら」
そう言うと、少女は俺の目をまっすぐ見てにっこり笑った。
「あたしは女郎蜘蛛。女郎蜘蛛の化け物!よろしくね!」
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