55 / 85
準備
しおりを挟む
翌日からはアルパリス王国に行く準備を始めた。ノエルに会えるかと思うと、自然と気合が入る。
まずはアイリに神聖魔法を習得してもらわないとな。
と言う訳で、やってきたのは、ティバンの森のダンジョン36階層。ここならアイリ一人の力でも安定して戦えるので、神弓タスラムを使ってモンスターを乱獲してもらうか。
手取り足取りの付きっきりで、神器の波動を感じられるように指導をした。先生スキルもあるし、すぐに出来るようになるだろう。
アイリは楽しそうにしていたが、他の三人からの視線はやや痛い。帰ってからきちんとフォローするとして、ここは我慢だ。
一日そうしていると、アイリも神聖魔法の波動を感じ取ることが出来るようになったので、ダンジョン帰りにアーリキタの街の中央神殿へ行って、神聖魔法を習得してきた。
これで明日からは、ティバンの森のダンジョン50階層に通ってレベル上げができるな。
* * *
――ティバンの森のダンジョン50階層。
登場するのは5mはある大きな牛型モンスターのアーズフムラLV87。突進攻撃は強烈だが、今更苦戦する相手ではない。軽くあしらいつつ進む。
この階層には隠し部屋が三つあり、そこには三つ首の魔獣マンティコアLV108、炎の魔人ヴェルザーガLV116、魔将野菜エビルパンプキンLV125が待ち構えている。どれも初めて戦った時はそれなりに苦戦したが、今となってはただのカモだ。
こいつら隠し部屋のモンスターも他のモンスターと同じく、倒しても翌日来ると復活している。便利だね。
魂のエネルギーはレベルが低い人の方に流れやすいようで、五人でいても一番レベルの低いアイリに多く流れているようだった。そのためアイリのレベルは順調に上がり、みんなと同じ程度までになった。俺だけはチートスキル天才のおかげで、みんなより頭一つ抜けてるのだが。
数日ティバンの森のダンジョン50階層に通ってレベル上げをした。
隠し部屋のモンスター三体の討伐が、思考停止で出来る作業と化したころ、ノエルの声が聞こえる。
「明日は51階層に進もうか」
ようやくかー。今まではノエルに51階層に行ってはいけないと、言われていたもんな。
「もう少し早く行っても良かったけど、念の為に余分にレベル上げしたよ」
それほどまでに強いモンスターがいるのか。楽しみだな。
* * *
初めての階層にワクワクしながら進む。
51階層に降りると、金色の鱗に覆われたドラゴンが横たわっていた。
「エイビスドラゴン、レベル195。カイトのアイギスの盾がギリ有効だよ。頑張って倒してね」
俺達に気が付いたドラゴンは、半身を起こして獰猛な眼光で威圧してきた。
おお、このプレッシャー! これは絶対強い奴だ!!
みんなに目配せすると、ハイハイと言わんばかりに頷いて下がり、マユが結界を展開してくれた。
よーし、楽しませてくれよ!
始めから全開で行っても良さそうだ。俺は魔装術を使用し地を蹴り突進する。
エイビスドラゴンは大きな口を開いたかと思ったらブレスを吐いた。とてつもない速さ! もう息というより閃光だ。直感に従い身を躱す。
激しいブレス攻撃を、縦横無尽に跳び回って避けながら間合いを詰め、神聖魔法を通わせた魔剣ベイルスティングを胴体めがけで思い切り振り下ろす。
ところがガキン! と俺の剣が止められてしまった。ピンポイントで障壁を発生させたのか。やるな。
エイビスドラゴンは近づいた俺に対して、腕を振って鋭い爪で斬りつけ、尻尾で薙ぎ払い、巨大な口で食らいつくという絶妙なコンビネーションで攻撃してきた。
俺は躱しきれず、爪を喰らってそのままダンジョンの壁に叩きつけられた。痛い。アイギスの盾が無ければ、大怪我していたな。
俺はお返しとばかりに、神聖魔法グロージャベリンを連射する。エイビスドラゴンの展開した障壁は、大きな体全てを覆うと、さっきみたいな強度は出せないようで、ところどころ亀裂が入った。
せっかくなので、さらに上位の神聖魔法ペネレイトグリームを連射した。いくつもの輝く柱が障壁を砕き貫通したが、さすがにこのレベルの魔法を連射すると疲れる。だが、エイビスドラゴンにダメージは通っているな。
よし、このまま押し切る! 魔剣ベイスティングを握る手に力が入る。
エイビスドラゴンも、このままおとなしくやられる気は無いらしく、雄叫びを上げ鼻先に魔力を集中させ始める。次の一撃で決めるつもりか。俺も全力で魔剣ベイスティングに神聖魔法を集中させた。
エイビスドラゴンは咆哮と共に、極限まで凝縮した魔力球を俺に撃ち込んだ。同時に、俺は真正面から魔剣ベイスティングを振り下ろす。神聖魔法がたっぷり込められた斬撃が撃ち出され、魔力球と衝突した。
響く轟音がダンジョン内を揺らす。直後、俺の放った神聖魔法の宿る斬撃が、魔力球ごとエイビスドラゴンを両断した。
「ふー、強かったー、疲れたー」
俺はその場にバタンと倒れ込んだ。
マユがセイグリッドヒールで、疲労を癒してくれたが、MPを消耗しすぎたらしく、軽く眩暈がする。
エイビスドラゴンが消えた後には、直径2mはある巨大なコアが残されていた。これは売らずにレイナにあげるか。コアに手を当てアイテムボックスに収納していると、ノエルの声が聞こえる。
「エイビスドラゴン討伐によって、全員のレベルが大きく上がったよ。カイトのレベルは184。マユ達は140前後まで上がったよ」
おおっ、かなり上がったな。頑張った甲斐があるというものだ。
突如、地響きと共に白く巨大な扉が現れた。再びノエルの声が聞こえる。
「ヘブンズゲート。この先は天界につながっていて、女神フォルトゥナがいるよ。今は行っても意味ないから、さっさと戻ろう」
確かにノエルが勝てないような相手と今の俺達が戦っても、勝てるはずないので家に帰るか。
* * *
屋敷に戻り、留守番をしてくれていたレイナに戦利品のコアを見せる。
「このような立派なコアをいただいてもよろしいのですか?」
「遠慮なく食べて。レイナにはいつも世話になっているからね」
レイナは一礼すると、エイビスドラゴンのコアに手を当てて吸収する。
コアを食べるってのは俺が勝手に言っているだけで、実際にコアをバリバリ咀嚼して飲み込むわけじゃない。レイナがコアの吸収を終えると、ノエルの声が聞こえる「レイナのレベルが158まで上がったよ」
158って、俺とあまり変わらないじゃないか。頼もしいな。
* * *
今日からは、レベル上げはもういいとノエルが言うので、次は封印を破るための魔法ディスペルの習得だな。
ノエルの体は非常に強力な術式で封印されているらしいので、四人同時に使う必要があるとのことだ。
まずは俺がノエルに教えてもらって習得し、四人には俺が教えた。先生スキルのおかげか四人とも一日で覚えることができた。
さて、次はAランク冒険者になるための昇級試験を受けなくては。冒険者ギルドで予約すれば随時対応してくれるらしい。
アルパリス王国の神域には、王族や上位貴族、高位の神官以外では、Aランク以上の冒険者じゃないと入れないとのこと。ついでにAランク冒険者だと色々優遇されるので、なっておいて損はないだろう。
受験料は一人1000万イェン。高額だが今の俺達ならたいしたことは無い。おそらく冷やかしで受けられないように受験料で篩に掛けているのだろう。
試験は冒険者ギルド指名のAランク冒険者が試験官となり一対一の試合をする。闘技場を貸し切って観客まで入るそうだ。
そして試験当日。俺達は会場となっている闘技場に出向いた。
試験官はAランク冒険者だし、受験者は当然Bランク冒険者だ。そのため受験者が勝つことは殆ど無い。戦いぶりを5人の審査官が評価して、過半数が合格と認めたら合格だ。
まずは俺の出番なので、闘技場の中央へ進む。試験官と向き合うと、得意げな顔で挑発をしてきた。
「お前のような色男が合格するような甘い試験じゃないんだ。とっとと帰って、家で女と抱き合って寝ていろ」
なんで昇級試験で対戦する試験官は、そういうことを言いがちなのかねぇ……。おそらくこいつはスタークと同等かやや弱い。楽しめそうにないな。
口喧嘩しても仕方ないので「お手柔らかに」と笑顔で流して会釈をしておいた。
『はじめ!』の合図とともにグロージャベリンをぶっ放すと、弾き飛ばされた試験官はあっけなく気絶してしまった。観客たちはざわついている。あれ、俺なんかやっちゃいました?
審査官席を見ると全員が合格の札を上げている。バラエティー番組みたいだな。
その後、マユ達四人とも試験官を圧倒し、審査官全員の合格を貰い余裕で合格した。
その場でAランク冒険者のギルドカードを貰って家に帰った。なんかキラキラしていて、レアカードみたいだ。
* * *
一通り準備は出来た。明日はついにアルパリス王国に出発する予定なのだが、その間屋敷を空けることになるので、ちょっと心配だよな。
俺達がアルパリス王国に行っている間、レイナにこの屋敷の留守番を頼むか。精霊でも一人は寂しかったりするのかな? などと考えていると、ノエルの声が聞こえる。
「敷地ごと屋敷をアイテムボックスにしまっておけば? 移動先で好きなところに屋敷を出せるよ」
「アイテムボックスは機能制限中で家を丸ごと入れるのは無理って言ってなかった?」
「カイトはたくさんレベルアップしたから、スキルポイントは12945たまっている。アイテムボックスの制限を解除できるよ」
「いつの間に……」
「アイテムボックスの制限を解除する?」
「ああ、頼む」
「機能制限を解除したから、好きなだけ物を入れられるようになったよ」
かなり凄いことだと思うが、サラッと言うな……。さすがノエル。
屋敷を丸ごとアイテムボックスに収納すると、元地縛霊であるレイナは屋敷に紐づけされているので、どうなるんだろうと思ったが、どうやら俺に紐づけされたようだ。そのせいで、レイナとも頭の中で話せるようになった。
レイナは霊体なので、自由に姿を消したり現したりできる。姿を消すと、俺の頭の中にノエルとレイナが同居しているみたいだ。触れたくても触れられない二人の女の子が俺の頭の中にいるなんて、なんか変な感じだ。
ともあれ、すべての準備は整った。翌日俺達はアルパリス王国へと出発したのだった。
まずはアイリに神聖魔法を習得してもらわないとな。
と言う訳で、やってきたのは、ティバンの森のダンジョン36階層。ここならアイリ一人の力でも安定して戦えるので、神弓タスラムを使ってモンスターを乱獲してもらうか。
手取り足取りの付きっきりで、神器の波動を感じられるように指導をした。先生スキルもあるし、すぐに出来るようになるだろう。
アイリは楽しそうにしていたが、他の三人からの視線はやや痛い。帰ってからきちんとフォローするとして、ここは我慢だ。
一日そうしていると、アイリも神聖魔法の波動を感じ取ることが出来るようになったので、ダンジョン帰りにアーリキタの街の中央神殿へ行って、神聖魔法を習得してきた。
これで明日からは、ティバンの森のダンジョン50階層に通ってレベル上げができるな。
* * *
――ティバンの森のダンジョン50階層。
登場するのは5mはある大きな牛型モンスターのアーズフムラLV87。突進攻撃は強烈だが、今更苦戦する相手ではない。軽くあしらいつつ進む。
この階層には隠し部屋が三つあり、そこには三つ首の魔獣マンティコアLV108、炎の魔人ヴェルザーガLV116、魔将野菜エビルパンプキンLV125が待ち構えている。どれも初めて戦った時はそれなりに苦戦したが、今となってはただのカモだ。
こいつら隠し部屋のモンスターも他のモンスターと同じく、倒しても翌日来ると復活している。便利だね。
魂のエネルギーはレベルが低い人の方に流れやすいようで、五人でいても一番レベルの低いアイリに多く流れているようだった。そのためアイリのレベルは順調に上がり、みんなと同じ程度までになった。俺だけはチートスキル天才のおかげで、みんなより頭一つ抜けてるのだが。
数日ティバンの森のダンジョン50階層に通ってレベル上げをした。
隠し部屋のモンスター三体の討伐が、思考停止で出来る作業と化したころ、ノエルの声が聞こえる。
「明日は51階層に進もうか」
ようやくかー。今まではノエルに51階層に行ってはいけないと、言われていたもんな。
「もう少し早く行っても良かったけど、念の為に余分にレベル上げしたよ」
それほどまでに強いモンスターがいるのか。楽しみだな。
* * *
初めての階層にワクワクしながら進む。
51階層に降りると、金色の鱗に覆われたドラゴンが横たわっていた。
「エイビスドラゴン、レベル195。カイトのアイギスの盾がギリ有効だよ。頑張って倒してね」
俺達に気が付いたドラゴンは、半身を起こして獰猛な眼光で威圧してきた。
おお、このプレッシャー! これは絶対強い奴だ!!
みんなに目配せすると、ハイハイと言わんばかりに頷いて下がり、マユが結界を展開してくれた。
よーし、楽しませてくれよ!
始めから全開で行っても良さそうだ。俺は魔装術を使用し地を蹴り突進する。
エイビスドラゴンは大きな口を開いたかと思ったらブレスを吐いた。とてつもない速さ! もう息というより閃光だ。直感に従い身を躱す。
激しいブレス攻撃を、縦横無尽に跳び回って避けながら間合いを詰め、神聖魔法を通わせた魔剣ベイルスティングを胴体めがけで思い切り振り下ろす。
ところがガキン! と俺の剣が止められてしまった。ピンポイントで障壁を発生させたのか。やるな。
エイビスドラゴンは近づいた俺に対して、腕を振って鋭い爪で斬りつけ、尻尾で薙ぎ払い、巨大な口で食らいつくという絶妙なコンビネーションで攻撃してきた。
俺は躱しきれず、爪を喰らってそのままダンジョンの壁に叩きつけられた。痛い。アイギスの盾が無ければ、大怪我していたな。
俺はお返しとばかりに、神聖魔法グロージャベリンを連射する。エイビスドラゴンの展開した障壁は、大きな体全てを覆うと、さっきみたいな強度は出せないようで、ところどころ亀裂が入った。
せっかくなので、さらに上位の神聖魔法ペネレイトグリームを連射した。いくつもの輝く柱が障壁を砕き貫通したが、さすがにこのレベルの魔法を連射すると疲れる。だが、エイビスドラゴンにダメージは通っているな。
よし、このまま押し切る! 魔剣ベイスティングを握る手に力が入る。
エイビスドラゴンも、このままおとなしくやられる気は無いらしく、雄叫びを上げ鼻先に魔力を集中させ始める。次の一撃で決めるつもりか。俺も全力で魔剣ベイスティングに神聖魔法を集中させた。
エイビスドラゴンは咆哮と共に、極限まで凝縮した魔力球を俺に撃ち込んだ。同時に、俺は真正面から魔剣ベイスティングを振り下ろす。神聖魔法がたっぷり込められた斬撃が撃ち出され、魔力球と衝突した。
響く轟音がダンジョン内を揺らす。直後、俺の放った神聖魔法の宿る斬撃が、魔力球ごとエイビスドラゴンを両断した。
「ふー、強かったー、疲れたー」
俺はその場にバタンと倒れ込んだ。
マユがセイグリッドヒールで、疲労を癒してくれたが、MPを消耗しすぎたらしく、軽く眩暈がする。
エイビスドラゴンが消えた後には、直径2mはある巨大なコアが残されていた。これは売らずにレイナにあげるか。コアに手を当てアイテムボックスに収納していると、ノエルの声が聞こえる。
「エイビスドラゴン討伐によって、全員のレベルが大きく上がったよ。カイトのレベルは184。マユ達は140前後まで上がったよ」
おおっ、かなり上がったな。頑張った甲斐があるというものだ。
突如、地響きと共に白く巨大な扉が現れた。再びノエルの声が聞こえる。
「ヘブンズゲート。この先は天界につながっていて、女神フォルトゥナがいるよ。今は行っても意味ないから、さっさと戻ろう」
確かにノエルが勝てないような相手と今の俺達が戦っても、勝てるはずないので家に帰るか。
* * *
屋敷に戻り、留守番をしてくれていたレイナに戦利品のコアを見せる。
「このような立派なコアをいただいてもよろしいのですか?」
「遠慮なく食べて。レイナにはいつも世話になっているからね」
レイナは一礼すると、エイビスドラゴンのコアに手を当てて吸収する。
コアを食べるってのは俺が勝手に言っているだけで、実際にコアをバリバリ咀嚼して飲み込むわけじゃない。レイナがコアの吸収を終えると、ノエルの声が聞こえる「レイナのレベルが158まで上がったよ」
158って、俺とあまり変わらないじゃないか。頼もしいな。
* * *
今日からは、レベル上げはもういいとノエルが言うので、次は封印を破るための魔法ディスペルの習得だな。
ノエルの体は非常に強力な術式で封印されているらしいので、四人同時に使う必要があるとのことだ。
まずは俺がノエルに教えてもらって習得し、四人には俺が教えた。先生スキルのおかげか四人とも一日で覚えることができた。
さて、次はAランク冒険者になるための昇級試験を受けなくては。冒険者ギルドで予約すれば随時対応してくれるらしい。
アルパリス王国の神域には、王族や上位貴族、高位の神官以外では、Aランク以上の冒険者じゃないと入れないとのこと。ついでにAランク冒険者だと色々優遇されるので、なっておいて損はないだろう。
受験料は一人1000万イェン。高額だが今の俺達ならたいしたことは無い。おそらく冷やかしで受けられないように受験料で篩に掛けているのだろう。
試験は冒険者ギルド指名のAランク冒険者が試験官となり一対一の試合をする。闘技場を貸し切って観客まで入るそうだ。
そして試験当日。俺達は会場となっている闘技場に出向いた。
試験官はAランク冒険者だし、受験者は当然Bランク冒険者だ。そのため受験者が勝つことは殆ど無い。戦いぶりを5人の審査官が評価して、過半数が合格と認めたら合格だ。
まずは俺の出番なので、闘技場の中央へ進む。試験官と向き合うと、得意げな顔で挑発をしてきた。
「お前のような色男が合格するような甘い試験じゃないんだ。とっとと帰って、家で女と抱き合って寝ていろ」
なんで昇級試験で対戦する試験官は、そういうことを言いがちなのかねぇ……。おそらくこいつはスタークと同等かやや弱い。楽しめそうにないな。
口喧嘩しても仕方ないので「お手柔らかに」と笑顔で流して会釈をしておいた。
『はじめ!』の合図とともにグロージャベリンをぶっ放すと、弾き飛ばされた試験官はあっけなく気絶してしまった。観客たちはざわついている。あれ、俺なんかやっちゃいました?
審査官席を見ると全員が合格の札を上げている。バラエティー番組みたいだな。
その後、マユ達四人とも試験官を圧倒し、審査官全員の合格を貰い余裕で合格した。
その場でAランク冒険者のギルドカードを貰って家に帰った。なんかキラキラしていて、レアカードみたいだ。
* * *
一通り準備は出来た。明日はついにアルパリス王国に出発する予定なのだが、その間屋敷を空けることになるので、ちょっと心配だよな。
俺達がアルパリス王国に行っている間、レイナにこの屋敷の留守番を頼むか。精霊でも一人は寂しかったりするのかな? などと考えていると、ノエルの声が聞こえる。
「敷地ごと屋敷をアイテムボックスにしまっておけば? 移動先で好きなところに屋敷を出せるよ」
「アイテムボックスは機能制限中で家を丸ごと入れるのは無理って言ってなかった?」
「カイトはたくさんレベルアップしたから、スキルポイントは12945たまっている。アイテムボックスの制限を解除できるよ」
「いつの間に……」
「アイテムボックスの制限を解除する?」
「ああ、頼む」
「機能制限を解除したから、好きなだけ物を入れられるようになったよ」
かなり凄いことだと思うが、サラッと言うな……。さすがノエル。
屋敷を丸ごとアイテムボックスに収納すると、元地縛霊であるレイナは屋敷に紐づけされているので、どうなるんだろうと思ったが、どうやら俺に紐づけされたようだ。そのせいで、レイナとも頭の中で話せるようになった。
レイナは霊体なので、自由に姿を消したり現したりできる。姿を消すと、俺の頭の中にノエルとレイナが同居しているみたいだ。触れたくても触れられない二人の女の子が俺の頭の中にいるなんて、なんか変な感じだ。
ともあれ、すべての準備は整った。翌日俺達はアルパリス王国へと出発したのだった。
42
お気に入りに追加
434
あなたにおすすめの小説
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
転生賢者の異世界無双〜勇者じゃないと追放されましたが、世界最強の賢者でした〜
平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人は異世界へと召喚される。勇者としてこの国を救ってほしいと頼まれるが、直人の職業は賢者であったため、一方的に追放されてしまう。
だが、王は知らなかった。賢者は勇者をも超える世界最強の職業であることを、自分の力に気づいた直人はその力を使って自由気ままに生きるのであった。
一方、王は直人が最強だと知って、戻ってくるように土下座して懇願するが、全ては手遅れであった。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる