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ファンタジーな異世界に召喚されたら銀髪美少女が迫ってくるんだが?

118.揺れ

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「ひとまず、箱庭に転移でいいな?」と、ルイさんは俺に確認をする。

「はい」

 ルイさんがスマホを操作して転移ゲートを出現させようとすると、突如激しく揺れた。地震とかそんな感じじゃなくて、この世界そのものが揺れているような衝撃が走った。 

 周囲にいた人達も驚いたのか騒ぎになっている。

「今の揺れは何だ?」

 ルイさんの問いに、アシストが報告する。

「転移ゲートの発生と同時に謎の重力震を検知しました。現在は終息し計測できるデータに異常はありません」

「転移ゲートが故障してるんじゃないですか?」

 不安を感じたのでルイさんに聞くと、ルイさんは視界に映るインターフェースを操作しているのか、両手を軽く上げて動かしている。

「現状では異常は見当たらないな。だが確かに先程の揺れは気になる。後で原因を調べるよ」

 気を取り直してもう一度転移ゲートを出現させと、今度は何事も無く転移することが出来た。

 転移ゲートを抜けるといつもの箱庭の風景とログハウスがある。俺がホッとしていると、ルイさんが言う。

「セフィリアは今回の件を細かく聞きたいので私と一緒に会社に戻ってくれ」

 セフィリアは「分かりました」と返事をした後、俺に近づきキスをする。

「じゃ、また後でねア、ナ、タ♡」

 ピシッ! 空気が凍り付くのを感じた。ルイさんとセフィリアは転移して行った。

「「「仲が良いのね、ア、ナ、タ♡」」」

 三人が声を合せて目じりをぴくぴくと動かしながら俺を見ている。

 セフィリアさん……、爆弾を置いて行くのはやめて欲しかった……。

 俺は三人につかまれて俺の部屋まで引きずられていき、ベッドの上に押し倒されてしまった。

 久奈と結月とアサカは俺にのしかかりながら口々に言う。

「樹はもうセフィリアの虜になって、私達なんていらなくなったのかな?」

「そんなわけ無いよ!」

「四股だよ? 浮気者の樹にはきちんとお仕置しないとね」

「う……」

「異世界でたっぷりセフィリアとイチャついた分、私にも同じようにしてくれるんだよね?」

「……うん」

 俺は三人の恋人達が許してくれるまで頑張ったのだった。



 ――翌日。

 いつも通り箱庭に集合している。

「十日ぶりだっけ? 久しぶりに私と手合わせしてみない?」

 久奈が言うので、俺は自身を見せつつ応じる。

「あっちの世界で上がった魂力を見せてあげるよ」

 久奈が相手なら火魔法で刀を作ると混ざってしまうから、土魔法を固めてダイヤの如く煌めく刀を具現化させた。

「今日は魔刃の刀じゃないんだねー。もしかしてセフィリアの能力で刀を作った? へー、いいなー」

 明るい声色で言いながらも、久奈の目つきが変わる。ゾクリと悪寒が走り結月とアサカの方を見ると二人とも半眼で微笑んでいる。

 しまった、自爆した……。

「その刀なら私達と魔力が混ざらないよね? せっかくだから三人まとめて相手してみない?」

 結月の提案に、俺はたじろぐ。

「えぇ……」

「それいいね! 行くよ、樹!」

 アサカがそう言って跳びかかってくると同時に久奈と結月も襲い掛かってきた。

 今日もやっぱり三人の恋人達にしごかれることになった。プレイじゃ無いよ? 鍛錬だからね。

 
 
 そうこうしていると、転移ゲートが現れルイさんとセフィリアが箱庭に来た。

「あっちの世界に調査に行くぞ」

 3連休の初日だが、特に用事も無いので俺達は頷く。

 時間の流れが120倍って事は、昨日こっちに戻って来てから24時間は経っているから、向こうでは4カ月くらい経ってるって事かな? ガロードやリセリアは元気にしているだろうか?

 転移ゲートをくぐって港町ニルムダールに転移した。街の中の魂力を探りガロードとリセリアの気配を探すと自宅付近にいるようだ。まずは会いに行くか。

 特に慌てることも無いので街をゆっくり歩く。昨日帰った時と何も変わっていない気がするな……。本当に数カ月も経っているのだろうか? ガロードたちも俺達の気配に気が付いたようでこちらに向かってきた。

「おっ、イツキだ。次に会えるのは数カ月後だと思っていたが、昨日ぶりだな」

「昨日ぶり? どういうことだ?」

 リセリアは笑いながら言う。

「そのままの意味だよ、昨日イツキ達が自分の世界に帰ってから、まだ一日しか経ってないもの」

 俺はルイさんの方に視線を向ける。
 
「俺達の世界とこの世界の時間の流れが同じになっている?」

 ルイさんは顎に手を当て考えながら話す。

「昨日、転移ゲートを発生させた時の謎の重力震は、この世界の時間の流れる速さが変わった為に起こったのか?」

「転移ゲートを開通すると、同じになるんですか?」

「いや、そんなことは無い。だが、実際に時間の流れる速さが同じになっている。何か特別な条件を満たしたのかもしれない。あるいは……」

「あるいは?」

「この世の神の気まぐれによって起こされたのかもな?」

「いや……、神って」

「人がどれだけ多くの知識を得て、多くのことが出来るようになっても、さらに多くの謎が増えていく。人知をはるかに超越した神の存在だって完全に否定はできないだろう?」

「そうかもしれないけど……」

「それは冗談だとしても、時間の流れが同じになった原因についてはおいおい調べる、まずはこの世界を調べるとしようか」

 手始めに近くに発生したダンジョンへと向かうのだった。

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