箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~

ゆさま

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ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?

51.しようか

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 目が覚めると、病室のベッドの上だった。

「目が覚めたようだな。ここは箱庭内の治療用の施設だ」

 ベッドの横にはルイさんが立っていた。

「モンスターを倒して力尽きた君達を、私の部下がここへ運んできた」

「久奈と結月は?」

「無事だ。怪我も魔法で完治している」

「良かった」

「よくあのモンスターに勝てたな。あれほどの強さのモンスターが地球に転移されてしまうとは、完全に想定外だった」

「ははっ、火事場の馬鹿力って奴かな? 二人を命を懸けてでも守るって思ったら、最後の一撃は凄い威力だった」

 ルイさんは俺をじっと見つめる。

「ふむ。固有スキルが成長しているようだな。”恋に殉ずる者”か……。恋人状態の者の強化量が増えている。さらに恋人状態の者の固有スキルを使用できるようだな」

「……だから最後、俺の握る虹刀に青いオーラが宿って、ドラゴンの動きが完全に見えたのか」

「君も立派なチートスキル持ちになったな。それも桁違いの」

「いや、俺の力じゃないですよ。久奈と結月の力だ。やっぱり俺はあの二人がいないと何もできない」

「……そうか、君がそう言うならそうなんだろう」

 バタン、とドアが開き久奈と結月が部屋に入ってくる。久奈が両手で俺の右手を握る。

「樹、無事でよかった……樹が死んじゃうかと思ったよ。私が命を懸けて守るって言ったのに、守れなかった。樹が私を守ってくれた」

 結月も両手で俺の左手を握る。

「あの時、もう二度と樹に会えなくなるかと思った。無事でいてくれて本当に良かった。樹が死んでしまったら、私だって生きてる意味がなくなるんだから」

 目に涙を浮かべながら二人が俺に抱き着く。

「心配かけてごめん」

 俺はそっと二人の頭を撫でる。

「樹君、君の体には異常は無い。もう帰ってもいいよ。私は事後処理があるのでこれで失礼する」

 ルイさんは去って行った。

「久奈、結月、地球に帰る前に俺達の家に寄って行こうか?」

「「うん、いいよ」」



 箱庭の治療施設から出て、俺達の家に歩いて向かう。久奈と結月はしっかりと俺の腕に抱き付いている。少し歩くといつものログハウスに着いた。

 ログハウスに入り、リビングのソファーに三人並んで座る。俺は二人の顔を交互に見て話し出した。

「俺、あのドラゴンと戦っているときに、久奈と結月の血を見て思ったんだ。もうこのまま会えなくなるかもって……凄く怖かった」

「で、凄く後悔した。二人はいつも俺に好意を向けてくれているのに、俺は二人にきちんと向き合って無かったな……って」

「久奈も結月も俺の大切な人なんだ。どっちかだけなんて選べない」

「だから、その……しようか? 結局、俺は自分に都合のいいクズ野郎だって、自分でも思うけど……」

 久奈が俺の言葉をさえぎり、俺の手を握り優しく微笑みながら言う。

「いいよ。その先は何も言わなくても。私が樹としたいんだから」

 結月も笑顔で俺の手を握り、顔を近づけて言う。

「そうだね。私だって樹としたいんだよ」

 二人がまた俺を甘やかしてくれたのでホッとした。

「ありがとう。それでね、初めてなのに三人でするのもちょっと……」

 二人はハッとして互いに顔を見合わせ、じゃんけんを始める。じゃんけんに挑む二人からは今までにない気迫を感じる。

「やった!」

「うっ!」



 俺はその日の夜、じゃんけんに勝った方と一緒に過ごした。今まで我慢していた分を発散するかの様に、お互いに何度も求め合い、深くつながった。
 
 負けた方とは翌日一緒に箱庭のログハウスを訪れた。一日余分に我慢させてしまった分を取り戻すかの様に求められ、俺はそれに応えた。

 そんなこんなで、俺は久奈と結月としてしまったのであった。

 え? どっちがじゃんけんに勝ったかって? それは秘密です……。




++++++++++++++++++++
 
 レジーナにあるルイの会社”エルピス”の社長室。ルイは一人で椅子に座り考え事をしている。

 ルイが厳しい表情で呟く。

「教団にあのレベルの魂力のモンスターを、捕獲する事が出来るとは到底思えない。裏で糸を引いている奴がいるのは確実か……」

「教団の戦力が想定よりも、かなり低かったのも気になる。主戦力は退避していた……?」
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