箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~

ゆさま

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ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?

46.部屋に来た       挿絵有

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 翌日、俺は自室で久奈と結月が家に来るのを、そわそわしながら待っていた。約束の時間は8時だから、そろそろ来るはずだけど……。
 部屋の中をうろうろしていると、インターホンが鳴ったので、急いで玄関に行きドアを開けた。

 久奈と結月がそこには立っていた。二人とも今日も抜群に可愛い。



「おはよー樹。私が来るの、待ち遠しかったでしょ?」

 久奈は笑顔で問うので俺は、コクコクと頷く。結月も「おはよ。私も早く樹に会いたかった」と微笑んでいる。

 女子の声がしたので何事かと思ったのか、母親が玄関まで出てくる。二人の女子の姿を確認すると、母親はニタァと不気味に笑う。

「友達が来るって聞いてたけど、こんなに素敵なお嬢さん二人だったなんて」

「初めまして鳴海久奈です!」
「初めまして桜花結月です!」

 二人はピシッと姿勢を正して母親に挨拶する。俺はなんとなく恥ずかしい。

「二人とも上がって。俺の部屋に行こ?」
「「おじゃましまーす」」
 
 二人は元気にそう言うと家に上がり、俺に続いて階段をトントンと上がって、俺の部屋に入った。

 部屋に女の子が来たと軽く感激していると、久奈は「ここが樹の部屋かー」と部屋を見回して、結月は「樹の匂いがする」と呟いた。

 俺はちょっと焦りながら二人に聞く。

「えっ、なんか臭い?」

 結月は首を横に振って「違うよ。なんかドキドキする」と、俺に擦り寄って腕にくっつく。久奈も俺の腕に抱きついてきた。

 8月3日夏休みの真っ只中。まだ午前中だが、外の気温は既に30度を超える暑さだろう。エアコンを効かせたこの部屋にいても、二人の体温を感じて俺の体温も上がってしまう。

 ドアをノックする音が聞こえガチャリとドアが開く。二人はパッと俺から離れて、何事も無かったような顔をしている。

 母親がトレイにお茶の入ったグラスを3個乗せて部屋に入ってくる。またもニヤニヤしながら二人に声を掛ける。

「私は仕事に行ってくるから、樹の事はお願いね」

 二人が「「はい」」と元気よく返事をすると、母親はニヤニヤしたまま仕事に出かけて行った。

 俺は折り畳み式の小さなテーブルを出してグラスの乗ったトレイをその上に置く。そしてベッドに座った。すると久奈と結月が、俺の横に来てくっついて言う。

「箱庭の生活で、樹とベタベタくっつくのが癖になってたから、離れるのが辛かったよ」
「ホントにそうだよね。寝起きに樹が抱きしめてくれないと、元気出ないよ」

 二人に挟まれて抱きしめられ、俺はサンドイッチの具材状態だ。二人の豊かな膨らみを押し付けられていると、俺も膨らんでしまう。このままではまずいので「15時まで何する?」と二人に聞いた。

「そうだなー、えっちな本とか探そうか」

 久奈が楽しそうな声色で答える。……なんでそうなる? そっと久奈の顔色を窺うと小悪魔的な笑顔を浮かべており、目が合った俺はギクリとしてしまった。

 しかし、こんな事もあろうかとすでに隠してあるのだ。昨日の夜、アレな本とDVDを隠しておいたクローゼットをチラリと見た。久奈と結月は視線が泳いでいる俺の目をじっと見る。

「えーっと、あの辺かな」

 久奈がクローゼットを指差し、結月がクローゼットを開け、奥に隠しておいた箱を見つけ取り出す。10秒で見つかってしまった、なぜだ!?

 俺がうろたえるのも知らん顔で、二人は箱を開ける。

 久奈は部屋にあるノートパソコンの電源を入れDVDをセットする。AVが無情にも再生されてしまった。それを見ながら久奈は声を上げる。

「凄いねこれ、口で……。樹もこういう事して欲しいの? いやらしー」

 結月は箱に入っていた本をめくりながら「私は樹がして欲しいなら、何でもしてあげるけどね」と平静を保ったまま言う。それを聞いた久奈も「私だって、樹のして欲しいことなら何でもしたい!」と力強く言った。

 えっ、何でもしてくれるの? と一瞬テンションが上がるが、息を吐いて自分を落ち着かせてから、二人の肩にそっと手を置く。
 
「二人ともありがとう。でも俺の性癖が暴露されると恥ずかしいから、本とDVDは隠しておいて……」

「「えーー」」

 二人は不満げな声を上げた。俺は苦笑いしながら拝むように両手を合わせてお願いすると、渋々本とDVDを箱に入れ、クローゼットの中に片付けてくれた。

「部屋にいるとムラムラしちゃうから、箱庭で体を動かしてこようか?」

 久奈と結月は目を輝かせて、俺に跳びついてきた。

「「ログハウスでえっちするの?」」

 二人は声をそろえて俺に聞く。どうやら、えっちな気分になってしまったらしい。

「15時になって足腰が立たないと困るから今日はやめておこう」

「「ぶー」」

 二人は膨れっ面で抗議してくるので、一人ずつギュっと抱きしめてキスをした。不満はあるだろうけど、ひとまずは「しょうがないなー」と言って納得してくれた。

 このまま何もしないでいたら、また二人がえっちな気分になっても困るので、宿題を消化することにした。久奈と結月はアイテムストレージから課題を取り出して三人で取り掛かった。



 * * *


 ゆるく頑張っていると、12時を回ったのでそろそろ昼食にするか。

「二人とも、お昼は素麺でもいい? 俺、茹でてくるよ」

「素麺食べたい!」
「樹が作ってくれるの? 食べる!」

 久奈と結月の返事を聞いて、俺は一階に下りて台所に行き準備を始めた。流し台の下から大きな鍋を取り出して、水を入れてコンロに火をかけて沸騰するまで待つ。

 自宅に久奈と結月が来て、昼食の準備をするとか、少し前までは想像もできなかったよなぁ。
 ぼんやりそんなことを考えていると、鍋の水が沸いてきたので、素麺を湯に入れて時計を見る。
 一分半ほどでざるにあげ、流水で粗熱を取った後、氷水でしめる。めんつゆと薬味も一緒にテーブルの上に準備して完成だ。

 俺は階段の下から二階にいる二人に向かって「できたよー」と声を掛ける。

 階段を下りてきた結月はテーブルの上を見ると、嬉しそうに「わー、樹の手料理だ♡」と声を上げる。

 これを手料理と言われると、ちょっと恥ずかしいので「素麺を茹でただけだけよ」と返した。

 すると、久奈は「茹でるのも料理のうちだよ」と力強く俺に説いた。

「「「いただきまーす」」」

 三人揃って手をあわせた後、素麺をすする。美少女二人がご機嫌で素麺を食べる様子を見て、俺は何とも言えない喜びを感じたのだった。
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