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ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?
30.願望
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翌朝目が覚めると、久奈を抱き枕のようにして抱きしめていた。足を絡ませ頬ずりし、片手を久奈の柔らかで膨らみをおびている部分にあてていた。恐る恐る久奈の顔をみると、既に目が覚めておりバッチリ目が合ってしまった。
久奈は何事も無いように「おはよ」と声をかけてきた。そして軽くキスされた後、顔を近づけたまま上気した顔で囁く。
「樹に、こんな風に触られちゃったの、初めてだよね……」
久奈は俺から離れてベッドから降りて行った。
「……」
そういえば結月は? と思って振り返るとまだ寝ていた。セーフだ、久奈を抱き枕のようにして、べったり抱きしめているところを見られたら何を言われる事か……。
ほっとしていると結月も目を覚ました。
「おはよ、樹。今日はよく眠れたよ、これからは毎日一緒に寝よ?」
「夜はヌきたいからなるべく一人で寝たいな……」
「抜くって何を?」
「いっいやなんでも無い。さぁ、起きようか」
「? 変なの」
ぽろっと本音を言ってしまう癖を直さないとな……と反省した。
いつものように朝食をとりながら、今日は何をするか三人で相談する。
「今日も庭にできた転移ゲートに入ってみる?」
「えー、お化けが出るところは嫌だな」
結月は眉尻を下げ、いかにも不安そうにしている。
「クリアするたびに、転移先が変わるって言ってたから大丈夫とは思うけど」
俺の言葉に、結月は「うん……」と不安そうな表情のまま頷いてくれた。
転移ゲートに入った先は見渡す限りの広大な草原だった。
上空から何か飛んでくる。猛禽類の頭に獣の四肢、大きな翼をもつモンスター。俗にいうグリフォンだな。10m以上あるだろうか、かなり大きい。
グリフォンは前足を勢いよく振り下ろした。鋭い爪が大気を切り裂き、衝撃波となって飛んでくる。咄嗟に久奈と結月が壁を作り防いでくれた。しかし、威力は相当高いようで、壁で防がなかった周りの地面は削り取られていた。
「強そうだな。でも勝てる」
昨日は子供の様に怯えていた結月も今日は凛々しい。
グリフォンが咆哮を上げると竜巻が発生し、こちらに向かってくる。久奈が魔法で竜巻を作りぶつけ相殺する。
その間に結月は既にグリフォンの近くまで移動しており、青いオーラが噴き出している刀で一閃する。グリフォンは雄たけびを上げながらふらつくが、何とか踏ん張り結月に尻尾を叩きつけようと振り回す。
それを結月はひらりと躱して距離をとると、空から燃え盛る岩石がグリフォンにいくつも降り注ぎ次々に命中していく。これには耐えきれずグリフォンは消滅した。久奈が結月の動きにタイミングを合わせて、魔法を使っていたのか……、息の合った連携だな。
グリフォンを倒すと自動的に庭に戻ってきた。そこにはルイさんが立っていた。
「君たち三人なら、あのグリフォンも赤子の手を捻るようなものか。大したものだ」
「いや、俺はなにもしてないですけどね。ルイさん、今日は何の用ですか?」
「私の要求を快諾してくれたお礼に、昼食でもご馳走しようかと思ってね。別に暇すぎてやることがないから暇潰しに来たわけじゃないよ」
暇潰しに来たのか……。
転移ゲートが出現し、ついていくと高級そうなレストランの個室のようなところに出た。豪華な中華料理がテーブルの上に並んでいる。
「遠慮せずに、どうぞ」
「「「いただきます!」」」
見たことも無いような、豪華な料理を夢中で食べていると、ルイさんが俺に問いかける。
「樹君は自分の固有スキルが二人に比べて弱いと思っているのか?」
「ええ、まあ……」
「君の固有スキルを測定、識別したところ、”恋人”の能力を20%上昇させるという能力のようだ」
「音声アシストの説明で大体聞きました」
「もともとの身体能力、魂力はもちろん、技の威力、魔法の威力、それに固有スキルの効果まですべて20%増しだ。掛け合わされるとどれだけ強化されているのかはもはや計り知れない」
「それに魂力というのは格上の相手を倒すほど大きく強化されやすい。君達はその強力な固有スキルのおかげで本来なら決して勝てないほどの強力なモンスター達を倒してきている」
「私が20年以上掛けて強化した魂力に匹敵するまでさほど時間が掛からないかもな?」
「20年以上? ルイさんってどう見ても20代前半に見えるんですけど……。もっといってるんですか?」
「”我々の技術”のアンチエイジングで若作りしているよ。年齢は秘密だ」
「話を戻すと、久奈さんと結月さんも、非常に強力な固有スキルだが、樹君の固有スキルで大きく底上げされているからこそ、二人は異常なほど高い戦闘能力を有しているんだよ」
「つまり君は、戦闘中ボーっと突っ立って二人を眺めているだけで最大級の貢献をしていることになる」
「あと……固有スキルはその人の願望が出やすいという面もある。君は久奈さんと結月さんにキスしたいと、物凄く、限りなく、尋常じゃないほど強力に願ったんだろうね。MP回復に託けてキスしようとは良くできている」
「な……!」
結月が俺の方を向いて苦笑いする。
「言ってくれればいつでもキスするのに……」
久奈も俺の方を向いて微笑む。
「私だって樹とキスしたいんだから、遠慮せずに言ってよ!」
「若いって羨ましいな。樹君はシャイだから中々自分からキスしたいとは言えないんだろう」
なぜか俺の心の内を暴露されている。冷や汗が背中を伝う。俺は俯きながら、もう勘弁してくださいと心の中で叫んでいた。
久奈は何事も無いように「おはよ」と声をかけてきた。そして軽くキスされた後、顔を近づけたまま上気した顔で囁く。
「樹に、こんな風に触られちゃったの、初めてだよね……」
久奈は俺から離れてベッドから降りて行った。
「……」
そういえば結月は? と思って振り返るとまだ寝ていた。セーフだ、久奈を抱き枕のようにして、べったり抱きしめているところを見られたら何を言われる事か……。
ほっとしていると結月も目を覚ました。
「おはよ、樹。今日はよく眠れたよ、これからは毎日一緒に寝よ?」
「夜はヌきたいからなるべく一人で寝たいな……」
「抜くって何を?」
「いっいやなんでも無い。さぁ、起きようか」
「? 変なの」
ぽろっと本音を言ってしまう癖を直さないとな……と反省した。
いつものように朝食をとりながら、今日は何をするか三人で相談する。
「今日も庭にできた転移ゲートに入ってみる?」
「えー、お化けが出るところは嫌だな」
結月は眉尻を下げ、いかにも不安そうにしている。
「クリアするたびに、転移先が変わるって言ってたから大丈夫とは思うけど」
俺の言葉に、結月は「うん……」と不安そうな表情のまま頷いてくれた。
転移ゲートに入った先は見渡す限りの広大な草原だった。
上空から何か飛んでくる。猛禽類の頭に獣の四肢、大きな翼をもつモンスター。俗にいうグリフォンだな。10m以上あるだろうか、かなり大きい。
グリフォンは前足を勢いよく振り下ろした。鋭い爪が大気を切り裂き、衝撃波となって飛んでくる。咄嗟に久奈と結月が壁を作り防いでくれた。しかし、威力は相当高いようで、壁で防がなかった周りの地面は削り取られていた。
「強そうだな。でも勝てる」
昨日は子供の様に怯えていた結月も今日は凛々しい。
グリフォンが咆哮を上げると竜巻が発生し、こちらに向かってくる。久奈が魔法で竜巻を作りぶつけ相殺する。
その間に結月は既にグリフォンの近くまで移動しており、青いオーラが噴き出している刀で一閃する。グリフォンは雄たけびを上げながらふらつくが、何とか踏ん張り結月に尻尾を叩きつけようと振り回す。
それを結月はひらりと躱して距離をとると、空から燃え盛る岩石がグリフォンにいくつも降り注ぎ次々に命中していく。これには耐えきれずグリフォンは消滅した。久奈が結月の動きにタイミングを合わせて、魔法を使っていたのか……、息の合った連携だな。
グリフォンを倒すと自動的に庭に戻ってきた。そこにはルイさんが立っていた。
「君たち三人なら、あのグリフォンも赤子の手を捻るようなものか。大したものだ」
「いや、俺はなにもしてないですけどね。ルイさん、今日は何の用ですか?」
「私の要求を快諾してくれたお礼に、昼食でもご馳走しようかと思ってね。別に暇すぎてやることがないから暇潰しに来たわけじゃないよ」
暇潰しに来たのか……。
転移ゲートが出現し、ついていくと高級そうなレストランの個室のようなところに出た。豪華な中華料理がテーブルの上に並んでいる。
「遠慮せずに、どうぞ」
「「「いただきます!」」」
見たことも無いような、豪華な料理を夢中で食べていると、ルイさんが俺に問いかける。
「樹君は自分の固有スキルが二人に比べて弱いと思っているのか?」
「ええ、まあ……」
「君の固有スキルを測定、識別したところ、”恋人”の能力を20%上昇させるという能力のようだ」
「音声アシストの説明で大体聞きました」
「もともとの身体能力、魂力はもちろん、技の威力、魔法の威力、それに固有スキルの効果まですべて20%増しだ。掛け合わされるとどれだけ強化されているのかはもはや計り知れない」
「それに魂力というのは格上の相手を倒すほど大きく強化されやすい。君達はその強力な固有スキルのおかげで本来なら決して勝てないほどの強力なモンスター達を倒してきている」
「私が20年以上掛けて強化した魂力に匹敵するまでさほど時間が掛からないかもな?」
「20年以上? ルイさんってどう見ても20代前半に見えるんですけど……。もっといってるんですか?」
「”我々の技術”のアンチエイジングで若作りしているよ。年齢は秘密だ」
「話を戻すと、久奈さんと結月さんも、非常に強力な固有スキルだが、樹君の固有スキルで大きく底上げされているからこそ、二人は異常なほど高い戦闘能力を有しているんだよ」
「つまり君は、戦闘中ボーっと突っ立って二人を眺めているだけで最大級の貢献をしていることになる」
「あと……固有スキルはその人の願望が出やすいという面もある。君は久奈さんと結月さんにキスしたいと、物凄く、限りなく、尋常じゃないほど強力に願ったんだろうね。MP回復に託けてキスしようとは良くできている」
「な……!」
結月が俺の方を向いて苦笑いする。
「言ってくれればいつでもキスするのに……」
久奈も俺の方を向いて微笑む。
「私だって樹とキスしたいんだから、遠慮せずに言ってよ!」
「若いって羨ましいな。樹君はシャイだから中々自分からキスしたいとは言えないんだろう」
なぜか俺の心の内を暴露されている。冷や汗が背中を伝う。俺は俯きながら、もう勘弁してくださいと心の中で叫んでいた。
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