箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~

ゆさま

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ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?

23.固いモノ?

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 久奈と結月の激闘の後、俺たちは帰路につく。歩きながら俺はふと気になったことを、久奈に聞いてみた。

「久奈って結月の動きが見えるの?」

「本気の結月の動きは全然見えないよ。でも固有スキルを覚えてからは、目で見なくても周りの事がはっきりわかるようになったんだ」

「あと、結月と勝負して気が付いたんだけど、相手が何をしようとしてるかも分かるようになったみたい」

「予測できるっていうこと?」

「予測っていうよりも、一瞬先の未来が見えるって感じかな?」

 うん、チートスキルだね。羨ましい。

「そんなことよりも、思いっきり魔法使ったらお腹すいたー。なんか肉食べたい」

 そうだな。俺も肉を食べたいと思っていたところだ。そういえばこの世界にも焼き肉屋があったな。

「じゃあ、焼き肉食べに行く?」

「いいね、そうしよう!」

 俺達は焼き肉をお腹いっぱい食べて自宅に帰った。




 深夜、自室で俺は眠りから覚めた。昼間の二人の戦いを思い出す。

 結月は一生懸命に戦い方を教えてくれる。少しづつは強くなっているとは思う。でもあんな圧倒的な戦いが、いつか俺にもできるようになるんだろうか……。

 チートスキルいいなぁ。でも、よく考えれば美少女二人が俺の事を好きだと言ってくれるのも十分チートか。

 なんか眠れなくなったので、リビングに向かう。

 ふかふかのソファーに大の字でドスッと座る。この世界の事を考えてみる。モンスターと戦うとはいえ、命の危険を感じる事も無く、生活するだけなら現実世界より快適だ。
 
 魂力、スキル、魔法なんかの要素でプレイヤーを強くすることが目的なのかと思ってしまう。いや……大体ゲームってそんな感じか?

 そんなことをぼんやり考えていると、久奈が起きてきた。淡いピンクのキャミソールとショートパンツという可愛らしいけど、俺にとっては刺激の強い格好だ。

「樹、こんな時間になにしてるの? 結月と逢瀬?」

「違うよ、なんか目が覚めて眠れなくなったから考え事をしてたんだ。っていうか、俺そんなにいつも結月とイチャついてるかな?」

「うん、イチャついてる」

 大股を開いて座っている俺の足の間に、久奈がストンと座りもたれ掛かってきた。

「ちょっと甘えさせて欲しいな」

 久奈のサラサラな黒髪が俺の顔を撫でて少しくすぐったい。いい香りがする。久奈の背中の体温が伝わってくる。久奈の肩越しに見える二つの柔らかな膨らみに思わず視線がが行ってしまう。

 俺は後ろからその膨らみに触りたいという衝動に駆られるが、我慢して久奈のお腹のあたりに腕をまわして緩く抱いた。

「ねえ樹、ズボンのポケットになんか固いもの入れてるの? お尻に当たるんだけど……」

 自分のお尻のあたりを後ろ手で探りその”固いもの”をズボンの上からギュッと握る。

「何だろうこれ?」

 上を見ながら”固いもの”の形を探るように、後ろ手のまま両手でさすったり握ったりしている。

「久奈……それ、俺の……」

「えっ!?」

 久奈は驚いて立ち上がり、両手をパッと開く。

「ゴ、ゴメン、なにか分からなかったから、その……」

「いっ、いいよ。気にしないで。大丈夫だよ」

 顔を真っ赤にしてパタパタと自分の部屋に戻って行った。久奈の華奢で柔らかな手で握られちゃったな。気持ち良かった……。



 翌朝、久奈と顔を合わすと俺は思わず照れてしまう。

「あっ、樹、お、おはよ」

「ひ、久奈、おはよう……」

 その様子を見ていた結月が俺に問いかける。

「樹と久奈、なにかあったの? まさか、えっちな事しちゃったんじゃないでしょうね」

 俺と久奈は声をそろえて「「してないよ!」」と答える。

 結月は俺に顔を寄せてジッと目を見つめて「ホントに?」と聞いて来るので、俺は後ずさりして「ホントだって」と苦笑いで答えた。

「嘘はついてないみたいだね」

 俺が困っていると、久奈が助け舟を出してくれた。

「そんなことよりも、朝ご飯食べながら今日何するか話そ。私、準備してくるよ」

「おっ、俺は顔洗ってくる」


 別にやましいことはしていないはずだが、必死に誤魔化そうとしてしまった。
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