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ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?
13.代用品 挿絵有
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宿泊施設の一室に戻り、昼間の出来事を思い出して、ベットの上で悶えていた。
「久奈とキスしちゃったな。あぁっ、唇柔らかかったな」
思わず声が出てしまうほど、どっぷり幸せに浸っていると「新着メッセージが届きました」と突然音声アシストが聞こえた。
俺はビクッとして我に返る。久奈かな? と思いながら、インターフェースを操作してメッセージを見ると結月からだった。
「少し話がしたい、フロントまで来て」
話って何だろう? 俺は「了解」と返事してフロントまで下りて行った。
メインの照明が落とされて薄暗くなっているフロントを見回すと、壁にもたれて立っている結月を見つけた。
ポニーテールではなく黒く艶やかな美しい髪を下ろしている。上は白の袖の短いカットソー、下は薄い水色の膝丈のフレアスカート。いつもとは違う雰囲気だがとても綺麗だ。俺は思わず息を呑んで見とれてしまう。
「来てくれたって事は、まだ負けと決まったわけじゃなさそうね」
結月は薄っすら笑ったように見えた。負け? 何のことだろう。
「ちょっと、散歩しながら話そ?」
結月に促されて宿泊施設の外に出る。人通りはまばらで静かだ。
特にどこに行くということもないので、なんとなくいつもの北の転移ゲートに続く道を二人で並んで歩く。
まるで整備された公園の遊歩道のような道だ。夜中なので暗いが、街灯もあり真っ暗というわけでもない。周りに人の姿はなく静まり返っている。
結月が足を止めたので俺は振り向くと、結月は俺の目を真っ直ぐに見て、わずかに笑みを浮かべて話し出した。
「学校で樹が私の事を見てたのは、久奈と髪型が似てたからって言ってたよね?」
「最初は……そうだよ」
俺の答えに結月の表情が悲しげに変わる。
「私は、久奈の代用品なのかな?」
結月から投げかけられた言葉に、俺は思わず向きになって返した。
「ちがっ……! 確かに初めてポニーテールの後ろ姿を見たときは、久奈と似てる子がいるなって思ったけど、結月は久奈とは全然似てない!」
「ほとんど話もしたことなかったけど、どうやったら結月と近づけのるか、いつも考えてた」
「久奈に告白して……断られてからずっと辛かったけど、結月の事を考えるようになってからは辛く無くなったんだ!」
「高校に入ってからは、ずっと結月の事が好きだった!」
「フフッ、嬉しい」
結月は目に涙を浮かべて、俺にそっと近づき、両手を広げたかと思うと、俺の首に腕を巻きつけるように回し抱きしめた。
俺が気が付いた時には、結月の唇が俺の唇に触れていた。しばらくして結月の唇が離れると、涙をこぼしながら笑顔で俺を見つめている。
「キス、しちゃったね」
俺はその表情と言葉に、罪悪感を感じて胸がチクリと痛んだ。
「結月……俺……」
俺の言葉を遮るように結月が言葉を発した。
「久奈ともキスしたんでしょ?」
俺は動揺して心音が一気に高鳴るが、結月は全く気にせずに続ける。
「樹と久奈が戻ってきてからの様子を見ればわかるよ」
結月は微笑んで俺の目を見ている。俺が言葉を出せないでいると、結月は続ける。
「と言うか、久奈を追いかけるように言った時点で、何か起こるだろうなと思っていたから。ホントは樹のファーストキス、私がもらうつもりだったんだけど、樹の2回目キスでも勘弁しておいてあげる」
そこでまた俺はポロッと言葉を漏らす。
「2回目も久奈と……」
「え!? 2回もキスしたの?」
結月は再び俺に顔を寄せて唇を押し付けた。不意打ちだったさっきのキスとは違い、結月の唇の感触、抱き合い密着することで伝わってくる体温をじっくりと感じてしまった。
「これで久奈とはあいこだね」
唇を離し俺に抱き付いたまま、いたずらのこもった笑みを向ける。
「あのね、樹。自分の中で私か久奈のどっちを選ぶか決まったら教えてね? 焦らなくてもいいよ、きちんと考えてほしい」
結月は俺をギュッと抱きしめて、耳元に口を寄せて囁いた。
「もし私を選んでくれたら、キスよりもっとすごいことしてもいいよ?」
俺はごくりと唾を飲みこんだが、気管に入りゲホゲホと派手にせき込んでしまった。
「フフッ、想像しちゃった?」
結月は、せき込む俺の背中を優しくさすってくれた。
その後、結月と俺は腕を絡めながら宿泊施設まで戻っていった。
何を話していいか分からず黙って歩いていた。チラリと結月の方を見ると目が合い、素敵な笑顔を俺に向けてくれた。俺の鼓動はずっと高鳴ったままだった。
「久奈とキスしちゃったな。あぁっ、唇柔らかかったな」
思わず声が出てしまうほど、どっぷり幸せに浸っていると「新着メッセージが届きました」と突然音声アシストが聞こえた。
俺はビクッとして我に返る。久奈かな? と思いながら、インターフェースを操作してメッセージを見ると結月からだった。
「少し話がしたい、フロントまで来て」
話って何だろう? 俺は「了解」と返事してフロントまで下りて行った。
メインの照明が落とされて薄暗くなっているフロントを見回すと、壁にもたれて立っている結月を見つけた。
ポニーテールではなく黒く艶やかな美しい髪を下ろしている。上は白の袖の短いカットソー、下は薄い水色の膝丈のフレアスカート。いつもとは違う雰囲気だがとても綺麗だ。俺は思わず息を呑んで見とれてしまう。
「来てくれたって事は、まだ負けと決まったわけじゃなさそうね」
結月は薄っすら笑ったように見えた。負け? 何のことだろう。
「ちょっと、散歩しながら話そ?」
結月に促されて宿泊施設の外に出る。人通りはまばらで静かだ。
特にどこに行くということもないので、なんとなくいつもの北の転移ゲートに続く道を二人で並んで歩く。
まるで整備された公園の遊歩道のような道だ。夜中なので暗いが、街灯もあり真っ暗というわけでもない。周りに人の姿はなく静まり返っている。
結月が足を止めたので俺は振り向くと、結月は俺の目を真っ直ぐに見て、わずかに笑みを浮かべて話し出した。
「学校で樹が私の事を見てたのは、久奈と髪型が似てたからって言ってたよね?」
「最初は……そうだよ」
俺の答えに結月の表情が悲しげに変わる。
「私は、久奈の代用品なのかな?」
結月から投げかけられた言葉に、俺は思わず向きになって返した。
「ちがっ……! 確かに初めてポニーテールの後ろ姿を見たときは、久奈と似てる子がいるなって思ったけど、結月は久奈とは全然似てない!」
「ほとんど話もしたことなかったけど、どうやったら結月と近づけのるか、いつも考えてた」
「久奈に告白して……断られてからずっと辛かったけど、結月の事を考えるようになってからは辛く無くなったんだ!」
「高校に入ってからは、ずっと結月の事が好きだった!」
「フフッ、嬉しい」
結月は目に涙を浮かべて、俺にそっと近づき、両手を広げたかと思うと、俺の首に腕を巻きつけるように回し抱きしめた。
俺が気が付いた時には、結月の唇が俺の唇に触れていた。しばらくして結月の唇が離れると、涙をこぼしながら笑顔で俺を見つめている。
「キス、しちゃったね」
俺はその表情と言葉に、罪悪感を感じて胸がチクリと痛んだ。
「結月……俺……」
俺の言葉を遮るように結月が言葉を発した。
「久奈ともキスしたんでしょ?」
俺は動揺して心音が一気に高鳴るが、結月は全く気にせずに続ける。
「樹と久奈が戻ってきてからの様子を見ればわかるよ」
結月は微笑んで俺の目を見ている。俺が言葉を出せないでいると、結月は続ける。
「と言うか、久奈を追いかけるように言った時点で、何か起こるだろうなと思っていたから。ホントは樹のファーストキス、私がもらうつもりだったんだけど、樹の2回目キスでも勘弁しておいてあげる」
そこでまた俺はポロッと言葉を漏らす。
「2回目も久奈と……」
「え!? 2回もキスしたの?」
結月は再び俺に顔を寄せて唇を押し付けた。不意打ちだったさっきのキスとは違い、結月の唇の感触、抱き合い密着することで伝わってくる体温をじっくりと感じてしまった。
「これで久奈とはあいこだね」
唇を離し俺に抱き付いたまま、いたずらのこもった笑みを向ける。
「あのね、樹。自分の中で私か久奈のどっちを選ぶか決まったら教えてね? 焦らなくてもいいよ、きちんと考えてほしい」
結月は俺をギュッと抱きしめて、耳元に口を寄せて囁いた。
「もし私を選んでくれたら、キスよりもっとすごいことしてもいいよ?」
俺はごくりと唾を飲みこんだが、気管に入りゲホゲホと派手にせき込んでしまった。
「フフッ、想像しちゃった?」
結月は、せき込む俺の背中を優しくさすってくれた。
その後、結月と俺は腕を絡めながら宿泊施設まで戻っていった。
何を話していいか分からず黙って歩いていた。チラリと結月の方を見ると目が合い、素敵な笑顔を俺に向けてくれた。俺の鼓動はずっと高鳴ったままだった。
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