箱庭のエリシオン ~ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?~

ゆさま

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ゲームの世界に転移したら美少女二人が迫ってくるんだが?

7.通話中

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 翌朝、鳴海さんと一緒に朝食を食べている。

「今日は別行動しよ。ちょっと一人で買い物したいんだ」

「そっか、分かった。じゃ俺は一人でモンスター狩ってくるね」

 今日も鳴海さんと一緒に行動したかったが、まとわりついて嫌がられても困るので俺は頷き了解する。

 俺は朝食を食べ終わり席を立つ。

「柳津君、気を付けてね」

 鳴海さんに笑顔で声を掛けられた。今日も破壊力抜群の可愛い笑顔だなぁ。などと思いつつ「うん」と返事をした。

 そういえば昨日店を回っているときに刀を見かけたけど刀もいいよな。むしろあのスキルは剣より刀向きな気がする。

 というわけで、武器を売っている店に向かった。店内には色々な武器が陳列されている。俺のイメージしていたゲームの中の武器屋そのものだな。さて俺が買えそうな刀は……。

 ミスリル刀 軽く丈夫な刀 2000Cr

 2000Crか資金はゴールドロックのおかげで多少は余裕があるから買うか。
 
 刀を購入した後、北の転移ゲートに向かっていくと男の声で呼び止められた。振り返ると双原奏介が立っており、見るからに落ち込んた様子で話しかけてきた。

「君は、昨日久奈と一緒にいたよね? 少し話さないか?」

 その時、音声アシストが聞こえた。

「鳴海久奈より通話の着信です」

 双原奏介に「電話が掛かってきたからちょっと待って」と断りを入れ、視界の端にある通話アイコンをタップするように指差す。

「あっ柳津君? 今双原君が北の転移ゲートに向かって歩いて行ったの見えたから注意してね」

「えと、いま声かけられてる……」

「えー! 大丈夫なの?」

「あ、うん、どうやら今は落ち着いてるようだから、ちょっと話を聞いてみるよ」

「そう? 気を付けてね」

 鳴海さんとそんなやり取りをしていると、双原奏介が割り込んできた。

「今、久奈と通話しているのか? 君は久奈と付き合っているのか?」

「いや、付き合ってはいないよ。昨日も言ったろ? フレンドでパーティーメンバーだって」

「でも久奈の事が好きなんじゃないのか?」

「もちろん好きだよ。もし鳴海さんが彼女になってくれるなら最高だね。でも中学の卒業式に、好きです付き合って下さいって告白したら断られたんだ」

「そうだったのか、じゃあ俺たちはライバルというわけか!」

「いや違うだろ。君、昨日嫌いとか言われたよね? 好感度メーター下限値だよ。あきらめてほかの恋探せば?」

「ぐはぁ!」

 再び双原奏介は崩れ落ちる。とりあえず通路の真ん中で話し込むのもアレなので俺たちは、自販機で飲み物を買い通路わきに並んでいるベンチに腰を下ろした。そして、俺は遠くを見ながら話した。

「なんというか、振られた直後は俺も辛かったよ。でも高校の同じクラスに凄く美人な子がいてさ、綺麗な長い黒髪をポニーテールにしている鳴海さんと少し似た雰囲気の……」

「で、あっさりその子の事を好きになったよ。それからは鳴海さんの事も考えることは無くなって、辛くも無くなったんだ」

「そうなのか。でも今は久奈の事が好きなんだろ?」

「そうだな、昨日一日中鳴海さんと一緒に行動してみて、やっぱり可愛いなと思ったよ。中学の時より美人になってるしスタイルも……ね」

「ああ、確かにおっぱい大きいな!」

 ……露骨に言うなコイツ。

「もちろん、美人だから、可愛いいからってのはある。でも一緒に過ごしてみて人柄というか、纏っている雰囲気のようなものにも惹き付けられてると思うよ」

「とにかく今は双原君は鳴海さんに嫌われている。距離を置いた方が無難だと思うよ。何か行動しても、すればするほど逆効果なのでは?」

「ぐぅぅ、しかし……」

「この世界に転移した人のうち、女の人も結構いたように思うから、新しい出会いを求めて視野を広げてみたら? かっこよくモンスターを倒してたら女子にもてるかもよ?」

「そうか! ボスモンスターを討伐したら、女子にモテモテということだな?」

 そこまでは言ってない……。しかし双原奏介の瞳に闘志が宿る。

「君は北のフィールドの攻略を目指すのだろう。俺は南のフィールドボスを討伐して見せる! 話相手になってくれてありがとう! 俺、頑張るよ!」

 とても元気になった様子の双原奏介が走り去る背中を見送った。

 ふと視界の端を見ると、「鳴海久奈と通話中」とアイコンが表示されている。しまった、通話を切るのを忘れてた! 俺は狼狽え鼓動が跳ね上がるのを感じた。

 直後、通話中アイコンが消えた。……マズイ、鳴海さんに全部聞かれてた?
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