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1章
変な討伐依頼をお願いされました
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結局、レンちゃんとの勝負は俺の圧勝に終わった。弘法筆を選ばずとはこういう事なのですよ。ドヤ
いくら俺が3年間のうち2年ダラダラ過ごしていたとしても、1日1回は必ず鍛錬を行っていたし、魔王や邪神を倒した今でも、暇があれば毎日剣を振っている。と、言うかこの世界に転生して彼女いない歴=年齢+友達ゼロな俺は睡眠、食事、鍛錬以外にやることが無い。なんでこうなっちまったんだろうな…
まぁ、レンちゃんも疲れてはいるだろうけど満足気な表情をしているし、俺は俺で鉄鉱石で作られた頑丈な青春の忘れ物よりも、プラスチック製のハエたたき(ブルー)の方が強いことが証明されて満足。フッ、台所の悪魔殺しの名は伊達じゃないぜ。
「さて、もう陽が暮れそうだし帰ろうか」
「はい!」
うむ、良い笑顔を見せてくれるようになったな。やはり剣とは良い物ですな、心と心の距離を埋めてくれる。
宿に帰る道中、俺達は色々な話をした。レンちゃんが住んでいた村の話や、俺の故郷の話。レンちゃんの村は、気候が安定していてお魚が美味しい海沿いにある村なんだってさ。天気が荒れたら大変だけど、滅多にそんな事が無いから住みやすい上に、田舎特有の“余所者嫌い”も無く、むしろ歓迎されるらしい。
そう言えば日本もそうだなぁ。昔はどうだったか知らんけどな。
歴史とか全然詳しく無いし、中学生の時なんてそりゃもう教科書を枕にして寝てましたよ。辛うじて高校に受かったと思ったら転生しちゃったしな。高校……どうなったんだろうな……。
……まあでも!俺がまだ住んでいた頃の日本は、忍者とか和食とか外国人に、ホワァァ!と喜ばれるような文化も沢山あり、観光地として栄えてるには栄えていたな。ゲームとかアニメとかも人気だったし、一時期は秋葉原の外国人ラッシュが凄いだとかで、ニュースになってた気がするわ。
まー、そういう話をしていたら直ぐに宿に着いちゃう訳ですよ。…むっ。俺が泊まっている部屋から人の気配!
「レンちゃんはここでちょっと待ってて」
「え?…はい」
さり気なく部屋の中を《サーチ》してみると、窓を開け外を見ている女性がいるみたいだ。ん?オンナ!?O☆NN☆NA!?
気を取り直して、《無限収納》から適当な剣を取り出し気配を殺しながら、そっとドアを開け、剣を、ぎゅっ、と握りしめた。…ん?何だこのついさっきまで握っていた感じがする握り心地……。何故お前なんだ!ハエたたき!君じゃ自衛も出来ねえ気がするわ!まぁいい。数多の悪魔を屠ったお前を信じるぜ…
外の様子を見ている女性は、身長150cmくらいの金髪の女性。俺にこんな知り合いいたっけなぁ…。
「あっ、いおりんおっかー☆久しぶりだねッ!チハだぞっ!」
チ、チハ…?俺は魔王討伐の際、道中をチハという男性と共に旅をしていた。あくまで、男性だ。俺が知ってるチハは、男だぞ!?何故だ!何故、女の子になっているんだ!
「突然来ちゃってごめんネッ!どうしても、いおりんの顔が見たくて来ちゃった!」
「共通語で頼む」
「共通語だお!」
共通語か。けど、意味が分からないぞ…俺はチハって名前の女性は知らない…。いやまず、女性の知り合いと言えば、男だったチハと共に旅をしていたノワールくらいしか知らないぞ…。
「いおりん、今日だけでも良いから私のお願い聞いて欲しいなっ!」
「その前にお前は誰だ」
「えーッ!本当に私のことわからないの!?」
「わからん!…と、言うかレンちゃん入ってきてもいいよー」
「は、はいぃ!」
いかんいかん。この強烈に濃いキャラクターのせいで、レンちゃんのことを忘れそうになってしまった。レンちゃん、俺はずっと君だけだぜ。
「確かに顔隠してたけどさぁ…むぅ!私だよ!チハ・ヴェーダだよ!」
チハ…ヴェーダ……だと?
「え、チハ? お前チハ?無いわー」
「嘘じゃないもーん!」
だってチハは男だったしなぁ。確かに身長は150cmくらいだったし、髪の色も金色だったけどさ。いやでもアイツは確かに男だったはずだ。何これどうなってんの?声も男だったし、こんな性格して無かったしなぁ。
「声とか性格が違うし!童貞なめんなよ!騙されねーよ!」
「童貞…プッ。私が奪ってあげるよ!」
あ、こいつチハだわ。俺が一緒に旅してる最中に、ヤッたことあるのかどうか聞かれた時もこんな反応されたっけな。あの時は確か「童貞…プッ。俺が奪ってやるよ!」だっけな。初が男とか嫌過ぎるから丁重にお断りしたんだっけなー。…それからチハのことゲイだと思って、毎朝起きるたびお尻の緩み具合を確認していたのは余談だ。
「…うん、チハだね。ってか、あの時は男だったじゃん。なんで女になっちゃったの、やっぱりそういう趣味とかあんの?怖ぇぇ…」
「もともと女だったんだよ!気付けよ!」
なんでそんな怒ってんだよ!
「嘘だ!男だった!」
だって髪も短かったし、行く先々の街で女性に大人気だったし…俺なんて野良犬すら寄って来なかったのに。寄ってきたと言えば魔物だけだったのに…。俺が必死に魔物退治してる時もコイツは宿で女の子と遊んでたっけなぁ、なんかムカついてきたぞ。
「まあいいや。チハ、切腹しろ」
「なんで!?」
「なんかムカついたから」
「えー……」
「それより魔王退治ってさ、お前にゃきつかったんじゃねーの。アレクも居たけど、いくら高スペックなお前らでもキツいだろ」
「我が命、我が物と思わずして、命を賭けてでも討伐せよ。…と、王様から言われたんだぞっ!」
「共通語で頼む」
「共通語だお!」
「レンちゃん通訳出来る?」
チハの言葉は分かるのに、意味が理解できない。実質中卒な俺には、ちょっとばかし辛いぜ
「わ、わかりません。難しい事を言ってるなーって思ったくらいで…イオリさんはわかります?」
「分からん」
なんてこった、言葉は通じるのに会話が出来ないとは…人と人とのコミュニケーションって難しいな……。
「えーっ!なんでわかんないの!?いおりん馬鹿なの!?アホなの!?死ぬの!?」
「馬鹿だしアホだけど死なねえよ!もっと簡単に頼むわ!」
「えぇ…簡単にぃ?んー…噛み砕いて言うと…自分の命を自分のものと思わず、下された命令を死んででも果たせ…という事だよッ」
「なるほどなぁ…ハァ!?」
「そ、そんな悲壮な覚悟で…」
「しゅごい…俺には真似出来ねぇ…」
チハの魔王討伐とやらへの決意が悲壮過ぎて怖い。俺もレンちゃんも、これにはビックリですわ…いや、もう魔王討伐とか終わってるけどな、俺にはかかればチョチョイのちょいよ。
「まぁ!魔王を討伐した事で死した物は、全部生き返って続々と帰ってきてるし、どうせ私が死んでも生き返っていたんじゃない?…魔物も生き返ってるけど」
「はぁ、そんなもんか……」
生き返ったとしても死ぬのは嫌だなぁ。まあ俺も1回死んだけどさぁ…、魔王だったか邪神を倒したとき、最後の最後で自爆されて巻き込まれたんだよなぁ。あーやだやだ
「で、本題なんだけどねっ!生き返ってきた中にパパもいるのよね!」
「そうなのか。それはよかったな」
「いや、よくないよ!」
「え、なんで」
死んだのかどうかは分からんが、父親が帰って来たのは喜ぶことじゃね?仲悪かったのかねー
「私がいおりんのとこに来たのも、パパ絡みの話なんだよねっ!どーしてもお願い聞いてほしくてさっ!」
「何さ」
「うん…何も言わずパパを討伐して?」
「は?」
え、なんて?
「パパを討伐して?」
俺の耳は腐ったようだ。
いくら俺が3年間のうち2年ダラダラ過ごしていたとしても、1日1回は必ず鍛錬を行っていたし、魔王や邪神を倒した今でも、暇があれば毎日剣を振っている。と、言うかこの世界に転生して彼女いない歴=年齢+友達ゼロな俺は睡眠、食事、鍛錬以外にやることが無い。なんでこうなっちまったんだろうな…
まぁ、レンちゃんも疲れてはいるだろうけど満足気な表情をしているし、俺は俺で鉄鉱石で作られた頑丈な青春の忘れ物よりも、プラスチック製のハエたたき(ブルー)の方が強いことが証明されて満足。フッ、台所の悪魔殺しの名は伊達じゃないぜ。
「さて、もう陽が暮れそうだし帰ろうか」
「はい!」
うむ、良い笑顔を見せてくれるようになったな。やはり剣とは良い物ですな、心と心の距離を埋めてくれる。
宿に帰る道中、俺達は色々な話をした。レンちゃんが住んでいた村の話や、俺の故郷の話。レンちゃんの村は、気候が安定していてお魚が美味しい海沿いにある村なんだってさ。天気が荒れたら大変だけど、滅多にそんな事が無いから住みやすい上に、田舎特有の“余所者嫌い”も無く、むしろ歓迎されるらしい。
そう言えば日本もそうだなぁ。昔はどうだったか知らんけどな。
歴史とか全然詳しく無いし、中学生の時なんてそりゃもう教科書を枕にして寝てましたよ。辛うじて高校に受かったと思ったら転生しちゃったしな。高校……どうなったんだろうな……。
……まあでも!俺がまだ住んでいた頃の日本は、忍者とか和食とか外国人に、ホワァァ!と喜ばれるような文化も沢山あり、観光地として栄えてるには栄えていたな。ゲームとかアニメとかも人気だったし、一時期は秋葉原の外国人ラッシュが凄いだとかで、ニュースになってた気がするわ。
まー、そういう話をしていたら直ぐに宿に着いちゃう訳ですよ。…むっ。俺が泊まっている部屋から人の気配!
「レンちゃんはここでちょっと待ってて」
「え?…はい」
さり気なく部屋の中を《サーチ》してみると、窓を開け外を見ている女性がいるみたいだ。ん?オンナ!?O☆NN☆NA!?
気を取り直して、《無限収納》から適当な剣を取り出し気配を殺しながら、そっとドアを開け、剣を、ぎゅっ、と握りしめた。…ん?何だこのついさっきまで握っていた感じがする握り心地……。何故お前なんだ!ハエたたき!君じゃ自衛も出来ねえ気がするわ!まぁいい。数多の悪魔を屠ったお前を信じるぜ…
外の様子を見ている女性は、身長150cmくらいの金髪の女性。俺にこんな知り合いいたっけなぁ…。
「あっ、いおりんおっかー☆久しぶりだねッ!チハだぞっ!」
チ、チハ…?俺は魔王討伐の際、道中をチハという男性と共に旅をしていた。あくまで、男性だ。俺が知ってるチハは、男だぞ!?何故だ!何故、女の子になっているんだ!
「突然来ちゃってごめんネッ!どうしても、いおりんの顔が見たくて来ちゃった!」
「共通語で頼む」
「共通語だお!」
共通語か。けど、意味が分からないぞ…俺はチハって名前の女性は知らない…。いやまず、女性の知り合いと言えば、男だったチハと共に旅をしていたノワールくらいしか知らないぞ…。
「いおりん、今日だけでも良いから私のお願い聞いて欲しいなっ!」
「その前にお前は誰だ」
「えーッ!本当に私のことわからないの!?」
「わからん!…と、言うかレンちゃん入ってきてもいいよー」
「は、はいぃ!」
いかんいかん。この強烈に濃いキャラクターのせいで、レンちゃんのことを忘れそうになってしまった。レンちゃん、俺はずっと君だけだぜ。
「確かに顔隠してたけどさぁ…むぅ!私だよ!チハ・ヴェーダだよ!」
チハ…ヴェーダ……だと?
「え、チハ? お前チハ?無いわー」
「嘘じゃないもーん!」
だってチハは男だったしなぁ。確かに身長は150cmくらいだったし、髪の色も金色だったけどさ。いやでもアイツは確かに男だったはずだ。何これどうなってんの?声も男だったし、こんな性格して無かったしなぁ。
「声とか性格が違うし!童貞なめんなよ!騙されねーよ!」
「童貞…プッ。私が奪ってあげるよ!」
あ、こいつチハだわ。俺が一緒に旅してる最中に、ヤッたことあるのかどうか聞かれた時もこんな反応されたっけな。あの時は確か「童貞…プッ。俺が奪ってやるよ!」だっけな。初が男とか嫌過ぎるから丁重にお断りしたんだっけなー。…それからチハのことゲイだと思って、毎朝起きるたびお尻の緩み具合を確認していたのは余談だ。
「…うん、チハだね。ってか、あの時は男だったじゃん。なんで女になっちゃったの、やっぱりそういう趣味とかあんの?怖ぇぇ…」
「もともと女だったんだよ!気付けよ!」
なんでそんな怒ってんだよ!
「嘘だ!男だった!」
だって髪も短かったし、行く先々の街で女性に大人気だったし…俺なんて野良犬すら寄って来なかったのに。寄ってきたと言えば魔物だけだったのに…。俺が必死に魔物退治してる時もコイツは宿で女の子と遊んでたっけなぁ、なんかムカついてきたぞ。
「まあいいや。チハ、切腹しろ」
「なんで!?」
「なんかムカついたから」
「えー……」
「それより魔王退治ってさ、お前にゃきつかったんじゃねーの。アレクも居たけど、いくら高スペックなお前らでもキツいだろ」
「我が命、我が物と思わずして、命を賭けてでも討伐せよ。…と、王様から言われたんだぞっ!」
「共通語で頼む」
「共通語だお!」
「レンちゃん通訳出来る?」
チハの言葉は分かるのに、意味が理解できない。実質中卒な俺には、ちょっとばかし辛いぜ
「わ、わかりません。難しい事を言ってるなーって思ったくらいで…イオリさんはわかります?」
「分からん」
なんてこった、言葉は通じるのに会話が出来ないとは…人と人とのコミュニケーションって難しいな……。
「えーっ!なんでわかんないの!?いおりん馬鹿なの!?アホなの!?死ぬの!?」
「馬鹿だしアホだけど死なねえよ!もっと簡単に頼むわ!」
「えぇ…簡単にぃ?んー…噛み砕いて言うと…自分の命を自分のものと思わず、下された命令を死んででも果たせ…という事だよッ」
「なるほどなぁ…ハァ!?」
「そ、そんな悲壮な覚悟で…」
「しゅごい…俺には真似出来ねぇ…」
チハの魔王討伐とやらへの決意が悲壮過ぎて怖い。俺もレンちゃんも、これにはビックリですわ…いや、もう魔王討伐とか終わってるけどな、俺にはかかればチョチョイのちょいよ。
「まぁ!魔王を討伐した事で死した物は、全部生き返って続々と帰ってきてるし、どうせ私が死んでも生き返っていたんじゃない?…魔物も生き返ってるけど」
「はぁ、そんなもんか……」
生き返ったとしても死ぬのは嫌だなぁ。まあ俺も1回死んだけどさぁ…、魔王だったか邪神を倒したとき、最後の最後で自爆されて巻き込まれたんだよなぁ。あーやだやだ
「で、本題なんだけどねっ!生き返ってきた中にパパもいるのよね!」
「そうなのか。それはよかったな」
「いや、よくないよ!」
「え、なんで」
死んだのかどうかは分からんが、父親が帰って来たのは喜ぶことじゃね?仲悪かったのかねー
「私がいおりんのとこに来たのも、パパ絡みの話なんだよねっ!どーしてもお願い聞いてほしくてさっ!」
「何さ」
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