1 / 1
少年Aは今日も同じことを言う。
しおりを挟む
「ようこそ!ここはペティット村です!」
魔王が世界を征服してかれこれ380年。
世界を救うために勇者は世界を奔走し、今日も目の前に現れる。
話しかけた勇者は素通り、街のお店をぐるりと回って最後の身支度をする。
剣、盾、鎧、道具、素敵な装備は揃えられましたか?
新たな勇者は魔王討伐の道を目指す。
この勇者はどこまで行くのだろう。
次の村まで?四天王を倒すまで?魔王を倒すまで?
でもこの村は最後の四天王が必ず焼き払うから最後まではいられないね。
そうなると、きっとまた新しい僕が生まれるんだろうな。
物心ついた時から世界は闇に染まっていた。
紫色の曇天、荒廃した大地、溢れ返った魔物……それでも世界に広がる街には人間が細々と住んでいた。
16歳の誕生日、僕は生まれ育った国の王様から旅に出るよう言われた。
「このままでは我々人間は死に絶えてしまう。勇者よ、世界を旅し魔王を倒せ」
神託、啓示、断る理由はない。
何もわからない僕はその言葉を真っ直ぐに受け止め、武器を手に握るしかなかった。
そして国を出て、たくさんの街や村を巡って道具を揃えながら魔物と戦う日々。
人々の困りごとを聞きながら歩む日々。
これこそが勇者、そして最後に魔王を倒す存在なのだと思った。
「ようこそ!ここはペティット村です!」
次の行き先を教えてくれないから、新しい街に来た時はこの存在がとても助かるんだ。
そう思っていたのにね。
僕は何も知らなかった。
負けた勇者がどうなるかなんて。
まさか同じ言葉しか話せず、ずっと村の入口に立たされるなんて思っても見ないだろう?
しかもまさか、勇者が一番最初に立ち寄る村だなんてさ。
魔王が世界を征服してかれこれ380年。
世界を救うために勇者は世界を奔走し、今日も目の前に現れる。
話しかけた勇者は素通り、街のお店をぐるりと回って最後の身支度をする。
剣、盾、鎧、道具、素敵な装備は揃えられましたか?
新たな勇者は魔王討伐の道を目指す。
この勇者はどこまで行くのだろう。
次の村まで?四天王を倒すまで?魔王を倒すまで?
でもこの村は最後の四天王が必ず焼き払うから最後まではいられないね。
そうなると、きっとまた新しい僕が生まれるんだろうな。
物心ついた時から世界は闇に染まっていた。
紫色の曇天、荒廃した大地、溢れ返った魔物……それでも世界に広がる街には人間が細々と住んでいた。
16歳の誕生日、僕は生まれ育った国の王様から旅に出るよう言われた。
「このままでは我々人間は死に絶えてしまう。勇者よ、世界を旅し魔王を倒せ」
神託、啓示、断る理由はない。
何もわからない僕はその言葉を真っ直ぐに受け止め、武器を手に握るしかなかった。
そして国を出て、たくさんの街や村を巡って道具を揃えながら魔物と戦う日々。
人々の困りごとを聞きながら歩む日々。
これこそが勇者、そして最後に魔王を倒す存在なのだと思った。
「ようこそ!ここはペティット村です!」
次の行き先を教えてくれないから、新しい街に来た時はこの存在がとても助かるんだ。
そう思っていたのにね。
僕は何も知らなかった。
負けた勇者がどうなるかなんて。
まさか同じ言葉しか話せず、ずっと村の入口に立たされるなんて思っても見ないだろう?
しかもまさか、勇者が一番最初に立ち寄る村だなんてさ。
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ウロボロスの輪廻
ありま
恋愛
王都から離れた、さびれた村。
私はそこで暮らしている、いち村人です。
ごく普通の農民で、相棒の犬ヘイムと牛と豚と鶏に囲まれる生活をしています。
そんな一般村人であるはずの私。
唯一変わったところと言えば、幼馴染が世界を救う勇者だって事ぐらいですかね?
勇者、追放される ~仲間がクズばかりだったので、魔王とお茶してのんびり過ごす。戻ってこいと言われても断固拒否。~
秋鷺 照
ファンタジー
強すぎて勇者になってしまったレッグは、パーティーを追放され、一人で魔王城へ行く。美味しいと噂の、魔族領の茶を飲むために!(ちゃんと人類も守る)
蒼穹のエターナルブレイク-side イクトス-
星井柚乃(旧名:星里有乃)
ファンタジー
旧タイトル『美少女ハーレムRPGの勇者に異世界転生したけど俺、女アレルギーなんだよね。』『アースプラネットクロニクル』
高校生の結崎イクトは、人気スマホRPG『蒼穹のエターナルブレイク-side イクトス-』のハーレム勇者として異世界転生してしまう。だが、イクトは女アレルギーという呪われし体質だ。しかも、与えられたチートスキルは女にモテまくる『モテチート』だった。
* 挿絵も作者本人が描いております。
* 2019年12月15日、作品完結しました。ありがとうございました。2019年12月22日時点で完結後のシークレットストーリーも更新済みです。
* 2019年12月22日投稿の同シリーズ後日談短編『元ハーレム勇者のおっさんですがSSランクなのにギルドから追放されました〜運命はオレを美少女ハーレムから解放してくれないようです〜』が最終話後の話とも取れますが、双方独立作品になるようにしたいと思っています。興味のある方は、投稿済みのそちらの作品もご覧になってください。最終話の展開でこのシリーズはラストと捉えていただいてもいいですし、読者様の好みで判断していただだけるようにする予定です。
この作品は小説家になろうにも投稿しております。カクヨムには第一部のみ投稿済みです。
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて
だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。
敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。
決して追放に備えていた訳では無いのよ?
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる