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40.行っちゃった
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正也君はちゃんと東北方面へと抜けられた。
それは大野さんからの報告で聞いて、皆で胸を撫で下ろした。
こっちから名古屋へ向かえないってどういう事だろう。
そんな風にも思うけど、私達が今できる事はそんなことじゃない。
「このままずっと正也君心配してても駄目だよね!私達も頑張って妖倒さないと!」
気合を入れると快斗さんが立ち上がってにっこりと笑顔を見せる。
「お、光がいつにも増してやる気だ。じゃあ俺達も頑張らないとな」
「快斗さん…」
「ま、未曾有の危機って言っても出来ることが限られてるし、頑張るしかないよね」
「楸さんも…」
楓さんの言葉に、私達だってちゃんと頑張ろうと思えた。
心が負けてたら駄目だよね。
折角皆、正也君に色々手伝ってもらったんだから。
それから6月に入ってすぐ、また連絡があった。
正也君が無事に篠崎に帰ったのと、南側に怪しい空気が漂ってるって。
もしかしたらその空気が妖のルートを通っていくかもしれない。
そんなお話だった。
何が来たって心を曲げない。
そんなつもりだけど、そんな噂はその怪しさを早く体感している自分達の方に早く巡る事を私は思い知らされた。
「……こっちで聞いた話だと、そういう事みたい」
「なんだよ…それ…」
突然の話をしてきたのは津端紗季ちゃん。普段は西側管轄の登録術士だ。
その話を聞いた快斗さんは返事をしたが、その顔は真っ青だ。
それも仕方がない。
そんな話をされれば誰だって血の気は引く。
「今九州を発端に妖や術士が集まった何かがゆっくりと北上しているんだって。術士や妖を巻き込んで、世界を破滅に導く危険な集団らしいよ。その姿はさながら"百鬼夜行"のようだ、とか」
「んな事言われても全然意味が分からねぇよ。術士と妖が巻き込まれる?それってどんな存在だよ。京都側か?」
「九州が発端なのに京都側な訳がないじゃん。噂話だからまとまった話なんて無いよ。何でも"妖の王"とやらが妖を引き連れて、術士も一緒に街を練り歩いては破壊の限りを尽くすんだって。日本全部を闇に沈めるんだってさ」
「全部デマだよデマ!んな訳あるか!大体何で術士と妖が一緒に居んだよ、倒せよ!」
「でも実際九州はもう潰れてるんだよ?」
「ソースは?確証は?」
「……それは、知らない」
「じゃあ適当な事言うな」
快斗さんの話も紗季ちゃんの話もよく分からない。
私にはどうにも判断つかない。
強いて言うなら、早く分倍河原さん帰ってこないかなぁって…。
このまま術士同士で混乱していくのは、なんか嫌だよ…。
それは大野さんからの報告で聞いて、皆で胸を撫で下ろした。
こっちから名古屋へ向かえないってどういう事だろう。
そんな風にも思うけど、私達が今できる事はそんなことじゃない。
「このままずっと正也君心配してても駄目だよね!私達も頑張って妖倒さないと!」
気合を入れると快斗さんが立ち上がってにっこりと笑顔を見せる。
「お、光がいつにも増してやる気だ。じゃあ俺達も頑張らないとな」
「快斗さん…」
「ま、未曾有の危機って言っても出来ることが限られてるし、頑張るしかないよね」
「楸さんも…」
楓さんの言葉に、私達だってちゃんと頑張ろうと思えた。
心が負けてたら駄目だよね。
折角皆、正也君に色々手伝ってもらったんだから。
それから6月に入ってすぐ、また連絡があった。
正也君が無事に篠崎に帰ったのと、南側に怪しい空気が漂ってるって。
もしかしたらその空気が妖のルートを通っていくかもしれない。
そんなお話だった。
何が来たって心を曲げない。
そんなつもりだけど、そんな噂はその怪しさを早く体感している自分達の方に早く巡る事を私は思い知らされた。
「……こっちで聞いた話だと、そういう事みたい」
「なんだよ…それ…」
突然の話をしてきたのは津端紗季ちゃん。普段は西側管轄の登録術士だ。
その話を聞いた快斗さんは返事をしたが、その顔は真っ青だ。
それも仕方がない。
そんな話をされれば誰だって血の気は引く。
「今九州を発端に妖や術士が集まった何かがゆっくりと北上しているんだって。術士や妖を巻き込んで、世界を破滅に導く危険な集団らしいよ。その姿はさながら"百鬼夜行"のようだ、とか」
「んな事言われても全然意味が分からねぇよ。術士と妖が巻き込まれる?それってどんな存在だよ。京都側か?」
「九州が発端なのに京都側な訳がないじゃん。噂話だからまとまった話なんて無いよ。何でも"妖の王"とやらが妖を引き連れて、術士も一緒に街を練り歩いては破壊の限りを尽くすんだって。日本全部を闇に沈めるんだってさ」
「全部デマだよデマ!んな訳あるか!大体何で術士と妖が一緒に居んだよ、倒せよ!」
「でも実際九州はもう潰れてるんだよ?」
「ソースは?確証は?」
「……それは、知らない」
「じゃあ適当な事言うな」
快斗さんの話も紗季ちゃんの話もよく分からない。
私にはどうにも判断つかない。
強いて言うなら、早く分倍河原さん帰ってこないかなぁって…。
このまま術士同士で混乱していくのは、なんか嫌だよ…。
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