34 / 47
34.えっ、嘘でしょ?
しおりを挟む
「お、正也!悪いな、自力で来てもらって!」
「オッサンが来いやぁ!!」
皆の予想通り、分倍河原さんは最上階の自分の机で既に寛いでいた。
そんなだから真っ先にツッコミを入れたのは快斗さんだった。
「……只今戻りまし…た?」
「うん、戻った訳じゃねーよな。寧ろオッサンが自分でここへ案内しろ」
快斗さんはつくづく面倒見が良い人だなって思う。
首を傾げる置野さんにうんうんと頷きながら毒づいている。
「悪ぃ悪ぃ。わざわざあんがとな、快斗。ところで…今は快斗と光だけか?」
頭を掻いてガハハ笑いをする分倍河原さんだけど…そうなんです。
一緒にエレベーターには乗ったけど三鈴君と優香ちゃんは「疲れたから休むぅ…」と言って事務所で降り、「俺は用事あるから」と明澄さんは研究所の方へ降りて行った。
「皆どこか行くの?」って置野さんが不思議がってたので、多分後で案内する事になるんだろうな。
寧ろ置野さんはこれからどこで寝泊りするんだろう。
「おー、レミィとラムさんは事務所、明澄は研究所に行ったよ」
「そうか。……ところでお前ら、どうだった?」
何度も頷く分倍河原さん。
だけど次の瞬間、じっと奥底を覗くような目が自分を見ていた。
正確には、私と快斗さんだ。
その質問の意味は……一体何だろう。
「えっ?何、が…ですか?」
「おいおい、分かるだろう?お前らは見たんじゃないのか?」
訳も分からず聞き返すと分倍河原さんの視線は一瞬だけ隣へ流れた。
私の隣と言えば……私と快斗さんに挟まれている、置野さんだ。
「――あっ、えと…とっても強かったです…!大きな妖が一瞬で居なくなっちゃって…」
「……一目で強い術士だって分かりました。体格も大きいし、これぐらいにならないとダメなんすかねぇ?」
私と快斗さんの答えに分倍河原さんは目を丸くする。
そしてくすくすと小さく震えながら笑い出して、不思議そうな表情で口を開いた。
「何を言ってるんだ?そいつはまだ16、お前らの年下だぞ」
一瞬何を言われたか分からなかった。
思わず二人で置野さんをじっと見て、声を上げてしまった。
「……えっ!?」「そ、そうなの!?」
「えっと……そう」
背も大きくって体もしっかりしてて、分倍河原さんとあまり変わらないくらいなのに16?
まだ高校生??
突き付けられた現実は大きくて、驚きが止まらない。
まず見た目じゃ分からなかったけど年下だったんだ…多分180cmはあるし全然分からなかった…!
「めっちゃ驚かれてんな、お前…」
「……そうっすね」
「いや、だって…めっちゃでかいし…背とか」
あんぐりと口を開けて置野さんを指差す快斗さん。
ちょっと失礼だけど同じことを思ってたみたいでつい頷いてしまった。
「応援に行く前はまだそこまでじゃなかったぞ。どれぐらいだっけ?」
「170…?今は180超えたとこ…?」
「俺が193、目線の高さから考えたらそんなもんだな、うん。本当はすぐ篠崎に返すつもりだったんだが段々離れちまった。でもおかげで十分と言えるほど育っただろ」
「そ、育っただろって…」
分倍河原さんはにかっと笑顔を見せる。
こんな時は突飛な事を言う時だ。
私は応援要請の分倍河原さんを思い出していた。
「今丁度正也が居るんだ。今はお前らだけだが全員に言うぞ。今の内に正也にしっかり扱いて貰え」
これが分倍河原さんの思い付きなのは分かってた。
やっぱり…そうなるよね…。
「オッサンが来いやぁ!!」
皆の予想通り、分倍河原さんは最上階の自分の机で既に寛いでいた。
そんなだから真っ先にツッコミを入れたのは快斗さんだった。
「……只今戻りまし…た?」
「うん、戻った訳じゃねーよな。寧ろオッサンが自分でここへ案内しろ」
快斗さんはつくづく面倒見が良い人だなって思う。
首を傾げる置野さんにうんうんと頷きながら毒づいている。
「悪ぃ悪ぃ。わざわざあんがとな、快斗。ところで…今は快斗と光だけか?」
頭を掻いてガハハ笑いをする分倍河原さんだけど…そうなんです。
一緒にエレベーターには乗ったけど三鈴君と優香ちゃんは「疲れたから休むぅ…」と言って事務所で降り、「俺は用事あるから」と明澄さんは研究所の方へ降りて行った。
「皆どこか行くの?」って置野さんが不思議がってたので、多分後で案内する事になるんだろうな。
寧ろ置野さんはこれからどこで寝泊りするんだろう。
「おー、レミィとラムさんは事務所、明澄は研究所に行ったよ」
「そうか。……ところでお前ら、どうだった?」
何度も頷く分倍河原さん。
だけど次の瞬間、じっと奥底を覗くような目が自分を見ていた。
正確には、私と快斗さんだ。
その質問の意味は……一体何だろう。
「えっ?何、が…ですか?」
「おいおい、分かるだろう?お前らは見たんじゃないのか?」
訳も分からず聞き返すと分倍河原さんの視線は一瞬だけ隣へ流れた。
私の隣と言えば……私と快斗さんに挟まれている、置野さんだ。
「――あっ、えと…とっても強かったです…!大きな妖が一瞬で居なくなっちゃって…」
「……一目で強い術士だって分かりました。体格も大きいし、これぐらいにならないとダメなんすかねぇ?」
私と快斗さんの答えに分倍河原さんは目を丸くする。
そしてくすくすと小さく震えながら笑い出して、不思議そうな表情で口を開いた。
「何を言ってるんだ?そいつはまだ16、お前らの年下だぞ」
一瞬何を言われたか分からなかった。
思わず二人で置野さんをじっと見て、声を上げてしまった。
「……えっ!?」「そ、そうなの!?」
「えっと……そう」
背も大きくって体もしっかりしてて、分倍河原さんとあまり変わらないくらいなのに16?
まだ高校生??
突き付けられた現実は大きくて、驚きが止まらない。
まず見た目じゃ分からなかったけど年下だったんだ…多分180cmはあるし全然分からなかった…!
「めっちゃ驚かれてんな、お前…」
「……そうっすね」
「いや、だって…めっちゃでかいし…背とか」
あんぐりと口を開けて置野さんを指差す快斗さん。
ちょっと失礼だけど同じことを思ってたみたいでつい頷いてしまった。
「応援に行く前はまだそこまでじゃなかったぞ。どれぐらいだっけ?」
「170…?今は180超えたとこ…?」
「俺が193、目線の高さから考えたらそんなもんだな、うん。本当はすぐ篠崎に返すつもりだったんだが段々離れちまった。でもおかげで十分と言えるほど育っただろ」
「そ、育っただろって…」
分倍河原さんはにかっと笑顔を見せる。
こんな時は突飛な事を言う時だ。
私は応援要請の分倍河原さんを思い出していた。
「今丁度正也が居るんだ。今はお前らだけだが全員に言うぞ。今の内に正也にしっかり扱いて貰え」
これが分倍河原さんの思い付きなのは分かってた。
やっぱり…そうなるよね…。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ふわふわ系美少女配信者の召喚士、配信切り忘れて男バレ&本性晒された挙句真の強さが露呈した〜大バズりして『TS魔王』と呼ばれました〜
ネリムZ
ファンタジー
最上久遠は召喚獣の犬といつものように配信していた。
短剣と召喚獣でダンジョンを攻略する女の子。
誰もがそう思っていた。
ある日、配信を切り忘れた事に気づかず日本の最高到達記録を軽く超える階層のボスをワンパンしたり、ダンジョンの中に優雅な部屋を作ったり。
さらに男だと言う事がバレてしまった!
開き直って召喚獣と視聴者を戦わせたりしているうちにいつしか『魔王』と呼ばれるようになる。
閻魔様のほっこりご飯~冥土で癒しの料理を作ります~
小花はな
キャラ文芸
――ここは冥土。天国と地獄の間。
気がついたらそこで閻魔様の裁判を受けていていた桃花は、急速に感じた空腹に耐えかね、あろうことか閻魔様のご飯を食べてしまう!
けれど怒られるどころか、美形の閻魔様に気に入られた上に、なぜか彼の宮殿で暮らすことになって……?
〝わたしは昔、あなたに会ったことがあるんですか?〟
これは記憶のない少女が過去を思い出しつつ、ご飯が食べられないワーカーホリックな閻魔様や家来の小鬼たちを餌付けしていく、ほのぼのグルメラブストーリー。
お品書きは全九品+デザート一品、是非ご賞味ください。
※本作はキャラ文芸大賞に参加しております。どうぞよろしくお願いします!
猫の神様はアルバイトの巫女さんを募集中──田舎暮らしをして生贄になるだけのカンタンなお仕事です──
春くる与
キャラ文芸
生まれた時に『この子は偉い神様の加護をいただく』と予言された私、塚森里。
就職に失敗し、住んでいた家を火事で焼け出され。
右肩下がりの人生の果てに、流れ着いたのは亡くなった祖母が暮らしていた田舎の村。
そこで出会ったのは、謎のイケメン神主さん。
不思議なことが起こる神社。
悪いこと続きだった人生は、穏やかな田舎暮らしに癒されていく。
村に住む人々は、みな温かい。
料理上手なお隣のおばあちゃん。
ちょっとノリの軽いオネエ口調の世話人さん。
けれど、のどかな里山には働き口などないと諦めていた。
そこに仕事の話が舞い込む。
猫の神様を祀った神社で巫女のアルバイト。
だけど仕事の内容が神様の生贄になることって、それは時給いくらの仕事なの。
ちょっと不思議な田舎の村暮らし。
穏やかだけど、ドタバタと様々なことが起こる日常の物語。
あやかし酒場と七人の王子たち ~珠子とあやかしグルメ百物語~
相田 彩太
キャラ文芸
東京の中心より西に外れた八王子、さらにその片隅に一軒のひなびた酒場がある。
「酒処 七王子」
そこは一見、普通の酒場であるが、霊感の鋭い人は気づくであろう。
そこが人ならざるモノがあつまる怪異酒場である事を。
これは酒場を切り盛りする7人の兄弟王子と、そこを訪れる奇怪なあやかしたち、そしてそこの料理人である人間の女の子の物語。
◇◇◇◇
オムニバス形式で送る、”あやかし”とのトラブルを料理で解決する快刀乱麻で七転八倒の物語です。
基本的にコメディ路線、たまにシリアス。
小説家になろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる