31 / 47
31.会えちゃった!?
しおりを挟む
虎型の妖が霧散して、男の人が先が鋭くて重たそうな槍を片付ける。
自分の背と同じくらいの槍を軽々と扱える程がっしりとした体をしてて、一目で絶対強い人だって分かった。
私達4人はそれくらい突然現れた土を扱う術士に驚いていたし、じっと見ていたし、言葉を失ってた。
誰もが動けなくなってる状況で、最初に声を掛けたのは男の人の方だ。
「……皆、ここの術士?」
「……え?あ、うん、そう…」
驚きながらもこくこくと何度も頷きながら答えるのは快斗さんだ。
丸めた背中をやっと真っ直ぐにして目の前に来たけど、本当におっきい…私、肩越えてないかも…!
それくらいに大きな人はやけにだるそうに口を開く。
「んー…この辺り、何処か食べるところってある…?お腹空いた…」
男の人はお腹を押さえて身を屈ませてる……けど、食べるところ、めっちゃある。
寧ろ通りにいっぱい見えてる。
見えてない訳じゃ…ないよね?うん??
「……快斗、俺も腹減った。いつものとこ連れてけよ」
「えっ!?あ、ああ、あそこ?よ、よし!皆で行こうぜ」
お腹を空かせた人の前で機転を利かせて(?)明澄さんが言い出し、快斗さんが話に乗る。
あそこって…多分皆で行ってるファミレスだよね?
背の高い大きな人を連れて快斗さんと明澄さん、私と優香ちゃんと三鈴君の6人で向かう事にした。
***
「いらっしゃいませー。……6名様ですか?」
「うん、そう。席空いてる?」
「大丈夫です。こちらへどうぞ」
店員さんの案内で席に座り、快斗さんは早速空腹のお兄さんにメニューを見せる。
でもお兄さんはじっと眺めては周りを見渡して、少し元気のない顔をして…どうしたんだろ?
「んー…今は手持ちがないから控えめにしたいんだけど…どうしよう…」
ぼそりと聞こえたその言葉。
あ、これ絶対沢山食べる人だ。
あんなに強い術士なんだからそれもそう…なのかな?
「気にしなくていいっすよ。この会計全部うちの上が払う事になってるんで領収書準備してもらいます」
ずい、と声を掛けたのは三鈴君。
なんだけど。
え、ご飯って分倍河原さんが出してくれるの…?
「えっ、そうだったの?」
「逆に聞く。お前らは今までどうしてたんだ?」
「めっちゃ普通に自分達で食ってた。まじかお前」
「逆に何でお前らが知らねぇんだよ…!」
三鈴君にすごく驚かれちゃった。
明澄さんもすごい顔して見られちゃったし、多分知ってたんだろうなぁ…。
そんなこんなで注文する事になったんだけど現在時刻は夜8時頃、夕食には丁度かと皆で1~2皿頼んだんだけど……空腹のお兄さんはすごかった。
「すげぇ…」
「めっちゃ食い続けてる…」
「お腹いっぱいにならないんだねぇ…」
そう口にしたのは順に明澄さん、三鈴君、優香ちゃん。
皆揃ってその食べっぷりには驚きしかない。
だってハンバーグプレート、スパゲッティ、ローストビーフサラダ、ガーリックライス、グラタン頼んでるんだよ?
全部無表情で食べ続けられると…ちょっと言葉が出てこない。
そんな気持ちで見てると、お兄さんは突然手を止めて言葉を溢した。
「……ごめん、ずっと食べてて」
「寧ろじっくり見ててゴメン」
「めっちゃ食うなって感心してた」
「こんなに食べる人テレビや動画でしか見た事ないからびっくり!」
これはもう、皆口々にそう言うしかないんだと思う。
だって他に何も言えないもん。
「そ、それだけお腹空いてたんだよね?大丈夫?」
私の心配にお兄さんは最後の一口を食べ切り、大きく頷いた。
「……だいぶ落ち着いた。ありがと。……あ、自己紹介…俺、置野正也。篠崎から応援でここまで来た」
「「「「「……え?」」」」」」
初めてじゃないかな。私達5人で同じ言葉で声が揃うの。
自分の背と同じくらいの槍を軽々と扱える程がっしりとした体をしてて、一目で絶対強い人だって分かった。
私達4人はそれくらい突然現れた土を扱う術士に驚いていたし、じっと見ていたし、言葉を失ってた。
誰もが動けなくなってる状況で、最初に声を掛けたのは男の人の方だ。
「……皆、ここの術士?」
「……え?あ、うん、そう…」
驚きながらもこくこくと何度も頷きながら答えるのは快斗さんだ。
丸めた背中をやっと真っ直ぐにして目の前に来たけど、本当におっきい…私、肩越えてないかも…!
それくらいに大きな人はやけにだるそうに口を開く。
「んー…この辺り、何処か食べるところってある…?お腹空いた…」
男の人はお腹を押さえて身を屈ませてる……けど、食べるところ、めっちゃある。
寧ろ通りにいっぱい見えてる。
見えてない訳じゃ…ないよね?うん??
「……快斗、俺も腹減った。いつものとこ連れてけよ」
「えっ!?あ、ああ、あそこ?よ、よし!皆で行こうぜ」
お腹を空かせた人の前で機転を利かせて(?)明澄さんが言い出し、快斗さんが話に乗る。
あそこって…多分皆で行ってるファミレスだよね?
背の高い大きな人を連れて快斗さんと明澄さん、私と優香ちゃんと三鈴君の6人で向かう事にした。
***
「いらっしゃいませー。……6名様ですか?」
「うん、そう。席空いてる?」
「大丈夫です。こちらへどうぞ」
店員さんの案内で席に座り、快斗さんは早速空腹のお兄さんにメニューを見せる。
でもお兄さんはじっと眺めては周りを見渡して、少し元気のない顔をして…どうしたんだろ?
「んー…今は手持ちがないから控えめにしたいんだけど…どうしよう…」
ぼそりと聞こえたその言葉。
あ、これ絶対沢山食べる人だ。
あんなに強い術士なんだからそれもそう…なのかな?
「気にしなくていいっすよ。この会計全部うちの上が払う事になってるんで領収書準備してもらいます」
ずい、と声を掛けたのは三鈴君。
なんだけど。
え、ご飯って分倍河原さんが出してくれるの…?
「えっ、そうだったの?」
「逆に聞く。お前らは今までどうしてたんだ?」
「めっちゃ普通に自分達で食ってた。まじかお前」
「逆に何でお前らが知らねぇんだよ…!」
三鈴君にすごく驚かれちゃった。
明澄さんもすごい顔して見られちゃったし、多分知ってたんだろうなぁ…。
そんなこんなで注文する事になったんだけど現在時刻は夜8時頃、夕食には丁度かと皆で1~2皿頼んだんだけど……空腹のお兄さんはすごかった。
「すげぇ…」
「めっちゃ食い続けてる…」
「お腹いっぱいにならないんだねぇ…」
そう口にしたのは順に明澄さん、三鈴君、優香ちゃん。
皆揃ってその食べっぷりには驚きしかない。
だってハンバーグプレート、スパゲッティ、ローストビーフサラダ、ガーリックライス、グラタン頼んでるんだよ?
全部無表情で食べ続けられると…ちょっと言葉が出てこない。
そんな気持ちで見てると、お兄さんは突然手を止めて言葉を溢した。
「……ごめん、ずっと食べてて」
「寧ろじっくり見ててゴメン」
「めっちゃ食うなって感心してた」
「こんなに食べる人テレビや動画でしか見た事ないからびっくり!」
これはもう、皆口々にそう言うしかないんだと思う。
だって他に何も言えないもん。
「そ、それだけお腹空いてたんだよね?大丈夫?」
私の心配にお兄さんは最後の一口を食べ切り、大きく頷いた。
「……だいぶ落ち着いた。ありがと。……あ、自己紹介…俺、置野正也。篠崎から応援でここまで来た」
「「「「「……え?」」」」」」
初めてじゃないかな。私達5人で同じ言葉で声が揃うの。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
祈り姫
花咲蝶ちょ
ファンタジー
現代日本と似たファンタジーです。(強調)
日和国の祈り姫、法子は学校で「戦犯王の子孫は消えろ!」と机に書かれるいじめにあった。
先の戦争、自分の血筋、存在に嫌気をさし家出するが、若く宮を守衛をしていた桜庭李流に出会い本当の日和国を知ることに・・・
国とは歴史とは帝とは戦争とは?
★運命と宿命の縁
李流が主人公の神様と家族の物語。
(主婦と神様の恋愛事情と関連します)
★伝統の縁
国と伝統の大切さがテーマの物語
(あやかしと神様シリーズと関連します。祈り姫恋日和も関連します。)
単体でも読めます。
祈り姫のスピンオフ
☆主婦と神様の恋愛事情
★あやかしと神様の恋愛成就【完結】
★ネトウヨのお姫様【完結】
☆祈り姫☆恋日和
※祈り姫の十年後のお話です。
よろしくお願いいたします。
より世界観広がります。
あやかし駄菓子屋商店街 化け化け壱花 ~ただいま社長と残業中です~
菱沼あゆ
キャラ文芸
普通の甘いものではこの疲れは癒せないっ!
そんなことを考えながら、会社帰りの道を歩いていた壱花は、見たこともない駄菓子屋にたどり着く。
見るからに怪しい感じのその店は、あやかしと疲れたサラリーマンたちに愛されている駄菓子屋で、謎の狐面の男が経営していた。
駄菓子屋の店主をやる呪いにかかった社長、倫太郎とOL生活に疲れ果てた秘書、壱花のまったりあやかしライフ。
「駄菓子もあやかしも俺は嫌いだ」
「じゃあ、なんでこの店やってんですか、社長……」
「玖 安倍晴明の恩返し」完結しました。
読む耳かき
まさ(GPB)
キャラ文芸
様々なキャラクター、シチュエーションで耳かきをする短編集。
※他サイトでも投稿しています。
Twitter:https://twitter.com/Masa_GPB
マシュマロ(感想などに):https://marshmallow-qa.com/masa_gpb
あやかし酒場と七人の王子たち ~珠子とあやかしグルメ百物語~
相田 彩太
キャラ文芸
東京の中心より西に外れた八王子、さらにその片隅に一軒のひなびた酒場がある。
「酒処 七王子」
そこは一見、普通の酒場であるが、霊感の鋭い人は気づくであろう。
そこが人ならざるモノがあつまる怪異酒場である事を。
これは酒場を切り盛りする7人の兄弟王子と、そこを訪れる奇怪なあやかしたち、そしてそこの料理人である人間の女の子の物語。
◇◇◇◇
オムニバス形式で送る、”あやかし”とのトラブルを料理で解決する快刀乱麻で七転八倒の物語です。
基本的にコメディ路線、たまにシリアス。
小説家になろうでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる