神命迷宮 -東京Dead End-

雪鐘

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17.初めての巡回

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快斗さんから突然の相方報告を聞き、そのまま訓練は終了となって私は今走っています。
なんで走っているのでしょう?分かりません。
でも確かな事は、逃げられないこと。
とりあえず相手が満足するまでついくこと。
何が起こっているのかというと……私の手は快斗さんに掴まっていた。
……うん、またです。

「んー……こっちだな」

呟きながら前を走る快斗さんは目的の場所もなく、ただ勘に合わせて走ってるだけのような気がします。
ビルの隙間を抜けて右に曲がったり左に曲がったり、横断歩道や歩道橋を渡って縦横無尽に走って、今日は力も結構使ってるし正直くたくたです。
一体私を何処に連れてくの?
そう思った矢先、ぴたりと快斗さんの足は止まった。

「わぷっ」
「おっと、悪ぃ」

あまりにも突然止まるものだから背中に体当たりをかましちゃった…。
うぅ、お鼻が痛い…。

「ど、どうしたんですか…?」
「妖の気配だ」
「えっ」

ぼそりと呟く快斗さんに言われ、思わず周囲を見渡す。
確かに、あの獣が現れそうな重たい気配を感じる。
だけどそれだけじゃなくって……――。

「――はァい!!」

女性の掛け声と共に突如目の前で何かが横切った。
あまりにも一瞬過ぎて写真の様にしか脳内に残らなかったけど、女の人が青い影に対して飛び蹴りを放ったように見えた。

「っ…!?」
「やっぱ居た居た」

瞬間の出来事に息を呑むことしか出来ない。
隣の快斗さんは嬉しそうに笑って「おっつー」と手を上げた。
その先には、先ほど何かに飛び蹴りをかましていたお姉さんが立っている。

「んお?おっと快斗君がいる。快斗君だあ。快斗君じゃん。どしたの?元気?」
「おー、元気元気。麻都さんは仕事帰り?」
「どー見てもそうでしょ!今日はオープンだったから、ちょっと終わりが早いのよねー」

あははー、と笑うお姉さんは快斗さんと仲が良さそう。
麻都さんってもしかして…。

「あら何?快斗君もしかして彼女さん?手ぇ繋いじゃって、デートなの?」
「んあ?あ、忘れてた…」「ふぁっ!?ちちち違います!」

気付けば麻都さんはにたーっと笑っていて、明らかに楽しんでる。
それよりも快斗さんもうちょっとしっかり否定して…!

「あはは!大丈夫、冗談だよ。この前から来てる新しい子でしょ?えっとー、確か名前は…」
「あっ、くくく、雲間光です…」
「そーだ光ちゃん!私、三角みすみ麻都まと。よろしくね!」
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