神命迷宮 -東京Dead End-

雪鐘

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12.目が覚めました

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目を開けるとまるで病院みたいな場所だった。
カーテンに囲まれて、ベッドに寝てて、点滴台から袋が下がってチューブの先が私の腕を刺している。
扱いは病人。
あれ、私…何してたんだっけ…?

「光ぅー、大丈夫かぁ…?あ、起きてた!」

カーテンが開いて顔を覗かせたのは快斗さんだった。
目が合った側から嬉しそうにしてるのを見ると、家で飼ってるルチルちゃん(犬)みたい。

「快斗さん…おはようございます……」
「おう、おはよ。初日から無理させたみたいで悪いな。体は大丈夫か?」

そういえば私の力を見るって体力調べられたり力使ったんだっけ…。
そうだ、雷出して疲れて倒れたんだった!

「こちらこそごめんなさい……! 私雷出すといつも貧血になったみたいに倒れちゃって……!」
「おー、それは喜大のオッサンが解析してた。雷は使用エネルギーが多いから疲れちまうんだな? オッサンがエネルギー効率が悪いから調整したほうがいいってさ。『これからも倒れる可能性はめっちゃあるし訓練した方がいいかも』って言ってたぜ」
「エネルギー効率……? 訓練……?」
「ああ、こっちも説明しなきゃか。とりあえず点滴が終わったらテスト結果渡してくれると思うからもうちょっと待機な。あ、腹も減ってると思うしついでに飯も行こうぜっ」
「えっ? あ、はい…」

快斗さんは点滴が終わるまでずっと横で待ってくれてた。
その間今までどう過ごしていたか、とか…いつからこの力を使えるようになったのか、とか…。
終わったら終わったで医務課の人を呼んでくれて、点滴は外された。
最後に体温と血圧を測って、私はやっとベッドの上から開放された。
どうやら1時間半くらい倒れてたみたいで、その間も喜大さんと快斗さんで色々してくれてたみたい。

「おっさーん! 光、起きたぞーっ」
「おー。お疲れーぃ」

6階に戻って顔を出すと喜大さんが紙を持って現れた。
にっこりと笑って「どう? 体治った?」と言われて心配させてしまったんだなとつくづく実感させられる。

「ご心配をおかけしてしまって、すみません……」
「いんや、寧ろ無理させたのはこっちだし。もっと特性とか体調面での問題がないかとか聞いてから調べるべきだったね。ごめんよー」
「あの、私は大丈夫です……!たくさん休ませて貰ったので……!!」

喜大さんは「ウンウン、そっかそっか」と何度も頷く。
そしてがしりと何故か首に腕を回され、何かと思えば……――。

「――そんじゃ、俺今から光連れて飯行ってくる!術士は力使ったら飯だかんな!」
「おー、仲がいいねぇ。いってらー……じゃなくて、これ渡したいんだけど?」
「あ、そだった。悪ぃ悪ぃ!」

引っ張られかけて、私が反応する前にぴらりと紙を渡された。
なあに?これ……。
用紙を覗けば「登録術士名簿:雲間光」と書かれていた。

「これは……」
「こっちの雇用書みたいなもんだよ。光ちゃん、これからもよろしくね」
「あ……はいっ!」
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