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4.雲を操る力
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「おい分倍河原、お前…雲間さんに何の説明も無いままここへ連れてきたな?」
神宮寺さんのきつい視線が分倍河原さんに飛ぶ。
「ん?説明ならそこの快斗に任せたが?」
分倍河原さんは無頓着に隣の快斗さんに顔を向けた。
「え?俺大体知ってると思ってここの設備しか教えて無ぇよ?」
でも快斗さんは首を傾げて真っ直ぐに分倍河原さんを見ている。
そこにすっとぼけた雰囲気はなくて、一瞬にして空気が冷えた。
「……」
「……」
「……おい、分倍河原」
神宮寺さんの冷ややかな声が分倍河原さんに刺さる。
そこでやっと分倍河原さんは自分のミスに気付いたように「ああっ、俺が犯人か!?」と驚きの声が上がった。
「……全く、宗家としての役目を果たせ」
「あっはっはっは!!悪ぃ悪ぃ!いやあ、駆け付けた時嬢ちゃん一人でまともに戦ってたからよ、全部知ってるんだと思ってたわ!」
怒られている事に気付いているのか気付いていないのか、ううん、多分気付いているんだと思う。
でもそれをミスだとは思ってない様子で豪快に笑ってる。
何だろう、強そう。うん、やっぱり分倍河原さんって熊みたいな人だと思う。
「…さて、雲間光…だったね。丁度いい、私から説明するから…そこに座ってくれるかな?」
神宮寺さんはさっきまでと打って変わって優しい声で私を席に誘導する。
その場所は分倍河原さんのお隣。
座って良いのかな…?
「ほら、折角呼ばれてるんだ。こっちに来てくれや」
分倍河原さんもにかっと笑って、私は隣に「失礼します」と言葉を添えてお邪魔させてもらうことにした。
神宮寺師隼さん…正面に来ると背中はぴしっと真っ直ぐで立派な人、優秀な人という雰囲気を感じる。
なのに吸い込まれるような金色の目が私を真っ直ぐに見ていても、変な緊張はしなかった。
「まずは…そうだな、君は何時からその力を使っていたのか知りたいな。見せてくれるかい?」
「えっと…はい」
私は目の前に両の手の平を並べてじっと見る。
いつものようにふっ、と息を吹きかけると…真っ白でほわほわの雲が手の平の上に浮いて現れた。
「私が雲を呼び出せるようになったのは…14歳くらいの時です…えっと、4年くらい前ですね。その時は私、あんまり自分の事を話したくないくらい自分が嫌で…それで気分が沈んでたら真っ赤なウサギに追いかけられたんです。
その時咄嗟に両手で飛んでくるのを防いだら手の平にこの雲があって…怪我も無かったんですけど、それからそのウサギは消えちゃって…。それから集中したら出てくるようになりました…」
「成程。…実は、君のその雲の力は"術士の力"と言われていてね、その赤いウサギ達を倒すための力なんだ」
「それは…なんとなく、そう思いました…今まで、何度も他の動物とも戦ったので…」
「そうだろうね。なんせこの東京はそういった生き物が一番多い町だから」
「えっ…?」
神宮寺さんのきつい視線が分倍河原さんに飛ぶ。
「ん?説明ならそこの快斗に任せたが?」
分倍河原さんは無頓着に隣の快斗さんに顔を向けた。
「え?俺大体知ってると思ってここの設備しか教えて無ぇよ?」
でも快斗さんは首を傾げて真っ直ぐに分倍河原さんを見ている。
そこにすっとぼけた雰囲気はなくて、一瞬にして空気が冷えた。
「……」
「……」
「……おい、分倍河原」
神宮寺さんの冷ややかな声が分倍河原さんに刺さる。
そこでやっと分倍河原さんは自分のミスに気付いたように「ああっ、俺が犯人か!?」と驚きの声が上がった。
「……全く、宗家としての役目を果たせ」
「あっはっはっは!!悪ぃ悪ぃ!いやあ、駆け付けた時嬢ちゃん一人でまともに戦ってたからよ、全部知ってるんだと思ってたわ!」
怒られている事に気付いているのか気付いていないのか、ううん、多分気付いているんだと思う。
でもそれをミスだとは思ってない様子で豪快に笑ってる。
何だろう、強そう。うん、やっぱり分倍河原さんって熊みたいな人だと思う。
「…さて、雲間光…だったね。丁度いい、私から説明するから…そこに座ってくれるかな?」
神宮寺さんはさっきまでと打って変わって優しい声で私を席に誘導する。
その場所は分倍河原さんのお隣。
座って良いのかな…?
「ほら、折角呼ばれてるんだ。こっちに来てくれや」
分倍河原さんもにかっと笑って、私は隣に「失礼します」と言葉を添えてお邪魔させてもらうことにした。
神宮寺師隼さん…正面に来ると背中はぴしっと真っ直ぐで立派な人、優秀な人という雰囲気を感じる。
なのに吸い込まれるような金色の目が私を真っ直ぐに見ていても、変な緊張はしなかった。
「まずは…そうだな、君は何時からその力を使っていたのか知りたいな。見せてくれるかい?」
「えっと…はい」
私は目の前に両の手の平を並べてじっと見る。
いつものようにふっ、と息を吹きかけると…真っ白でほわほわの雲が手の平の上に浮いて現れた。
「私が雲を呼び出せるようになったのは…14歳くらいの時です…えっと、4年くらい前ですね。その時は私、あんまり自分の事を話したくないくらい自分が嫌で…それで気分が沈んでたら真っ赤なウサギに追いかけられたんです。
その時咄嗟に両手で飛んでくるのを防いだら手の平にこの雲があって…怪我も無かったんですけど、それからそのウサギは消えちゃって…。それから集中したら出てくるようになりました…」
「成程。…実は、君のその雲の力は"術士の力"と言われていてね、その赤いウサギ達を倒すための力なんだ」
「それは…なんとなく、そう思いました…今まで、何度も他の動物とも戦ったので…」
「そうだろうね。なんせこの東京はそういった生き物が一番多い町だから」
「えっ…?」
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