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1章:魔力なしのニナ・アルエ
運命の歯車 3
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使用人の中でも一番下っ端の小間使いである私は、ご客人の前に出ることは許されていない。そういったわけで、いつもならもっと遅い時間まで本館で仕事をしているのだけれど、今日はまだ日が沈み切らない内に、使用人の共同住居として使われている別館の方へと帰されていた。
「え……その花をくれたの、アリスなんだ」
ようやく終えた宿題を通学カバンにしまう手を止め、リュカが驚いたようにそう言った。
「アリス様、でしょ。そんな気安くお呼びしちゃだめよ」
男爵令嬢のお名前を呼び捨てにしたことに、思わず顔をしかめる。が、リュカは意に介さず、小さな陶器の花瓶に活けられたアジサイの花をまじまじと見つめた。
「魔術の授業で助けられたお礼だって。リュカが魔術が得意だなんて、私ちっとも知らなかった」
「ああ……うん」
学校での嫌な出来事ならともかく、先生やクラスメイトから一目置かれる得意なことがあるのなら、教えてくれてもいいのに。そんな気持ちを込めたことに気付いたのかどうかは分からないけれど、リュカは居心地悪そうにして言い淀み、アジサイから視線を逸らした。
「……ブランモワ家はスイレンの咲く庭池が自慢だけれど、シュヴァル家ではアジサイが庭園のメインを飾っているのかな」
リュカのわずかな拒絶の意を汲み取ってさりげなく話題を変えると、リュカは少しホッとしたように表情を緩めた。魔術のことについてはあまり触れられたくないみたいだ。
「アリスの家、アジサイがたくさん咲いてるって。どれも同じなのに、色は違うんだって」
「……そうなの? 何だか不思議だね」
リュカの話すことは、いつも何か欠けている。学校に通い出してからはここまで流ちょうに話すようになったけれど、それでも同い年の子たちと比べれば表現力や言葉の並べ方なんかはとても拙く感じる。
今のもたぶん、同じ種類のアジサイだというのに咲く位置によって花――正確にはガクの色が違う、ということを言いたかったんだろう。
「だから一度見てみたいなって言ったら、家においでって言われて」
「えっ!」
思わず素っ頓狂な声を上げた私の反応に、さすがのリュカも気付いた様子で慌ててその誘いは断ったと続けた。
「身分が違うから行けないって言ったよ。ニナの言いつけはちゃんと守ってる。それに……」
「……それに?」
「僕がアリスと話したり、それから……良いこととか、褒められることすると嫌なことしてくる奴もいるから」
そう言ってまだアザの残る口元に手をやるリュカ。その言葉と仕草から、リュカがあのクラスメイトから反感を買ったのは、やっぱり魔術の授業で優秀な面を見せ、なおかつそこを男爵令嬢に気に入られたからなんだということを確信した。ニセモノ家族、という言葉だけでなく、リュカ自身のことを出来損ないと揶揄したこともあったらしいし、自分より下だと思っていた人間に負けた腹いせであんなことを仕出かした、と考えて間違いないだろう。
「でも、なんで青だけしかくれなかったのか、学校で聞かなきゃ」
リュカの呟きに、不穏な予感を覚えつつも首を傾げて先を促す。
「アリスは、僕にアジサイを見せるって約束したんだ。だからこれをくれたんだと思う。でも」
「……」
「僕が見たかったのはさ、その……色がちがうやつ、なんだよね。青だけじゃなくてさ」
眉根を寄せ、心底理解できないといった表情でぼやくリュカ。私はリュカが言わんとしていることを察し、頭を抱えた。
「リュカ、ちょっとそこに座んなさい」
私のその言葉プラスこの深いため息がお説教開始の合図であることを察し、リュカは渋々ながらも指示に従って椅子にこしかけると、不安と不満の入り混じった表情でこちらを見上げた。
「どうして叱られるか、分かってる?」
「……僕が、間違ったことをしたから」
「そうね。それじゃ何が間違っていたのか、詳しく話すわよ」
そう言ってからわざと仰々しい咳ばらいをし、アリス様がどんなお気持ちでリュカに花を贈ったのかを滔々と語った。
「いい? リュカ。アンタが同じ種類のアジサイが違う色の花を付けるところを見たかったのは分かる。でもここはブーケを贈ってくれたアリス様の優しさを喜んで、感謝をすべきところなの。青だけじゃ足りないなんて、たとえ相手が貴族でなくたって言っちゃいけないことなのよ」
「んー……じゃあ、喜んだフリでお礼を言えばいいってこと?」
いや”フリ”と言ってしまうなよ。もたらされた結果じゃなく、彼女が向けてくれた優しさを有難く思えばいいんだよ。そもそも”喜ぶフリ”なんていうとんでもない高等技術を要する演技を、上流階級の闇、手練手管を少なくともアンタよりかは知っている男爵令嬢の前で披露できるのか。
色々と言ってやりたいことはあるけれど、今一気にたたみかけてもそれはきっとリュカの頭には残らない。理屈を説明するよりもじっくり時間と回数を掛けて体に叩き込む方が、リュカにとっては効率的だろう。
「リュカ、とりあえず私が今から言うことを紙に書いて」
「えっ、いきなりなんで」
「ブーケのお礼を手紙でお返しするの。ちょっとにっこりして黙って渡すだけ、何も言わなくていい。それならできるでしょ」
普段とは違う、私のこの一物を湛えた笑顔が意味することを、いつものパターンとして刷り込まれたリュカは正しく理解したようだ。何か言わんとして開きかけた口を真一文字に引き結ぶと、そそくさと紙とペンを通学カバンから取り出した。
「……裏に書き損じがある紙は、ダメだからね?」
「……」
一度閉じた鞄のふたをあけ、中を探り始める。レディに宛てたお礼の手紙を書くんだっつってんだろと言いたくなるのを堪えつつ、リュカの準備が整うのを待っていると。
「ニナ! ちょっといい!?」
部屋のドアが叩かれ、それと共に聞きなれた声が響いた。私はリュカに、ちょっと待ってて、と小声で指示をすると、ドアノブに手を掛けた。
「もう仕事終わったのに、急にごめんね」
「だいじょうぶよ、まだ仕事着のままだし」
薄く開いたドアの向こうに立っていたのは、侍女の一人であるマノンだった。私が伯爵家で働き始めてからずっと、ここでの仕事を主立って指南してくれている頼りになる先輩だ。
普段は動きが遅――……落ち着いた雰囲気の彼女がこんなに慌てているなんて、何か不測の事態が起きたに違いない。そう思って突然私を呼び出した理由を尋ねたけれど、マノンはただ困ったように顔をしかめ、首を小さく傾げて考え込んでしまった。
「何て言えばいいのか……その、ご客人がお嬢様を巻き込んで、何だか大変なことになってる、そんな感じで」
全身の血が一気に足の方へと降りていく。私は廊下に出てドアを後ろ手に閉めると、マノンの肩に手を乗せて彼女の瞳をじっと見据えた。
「どういうこと? お嬢様の命を危険に晒すなんて、その客は一体何を」
「命が危ないとは一言も言っていないよ! お嬢様のことになると過剰に反応するの、ホントやめてほしい……」
「ご、ごめん……」
すっかり脱力して呟くマノンの言葉に我に返り、私は掴んでいたマノンの肩から手を下ろした。
「とにかく、一緒に客間に来て。あなたが最後の頼みの綱なの」
「頼みの綱って……ねえマノン、一体何が起きてるの? それってただの小間使いが大トリを飾れるくらい、かんたんに解決できることなの?」
「もう、ごちゃごちゃ言ってないで黙って付いてきて! あんな変人と結婚してしまったら、お嬢様はぜったい不幸になるに決まってるんだから」
エレーヌ様が、不幸になる。
その言葉を聞いた瞬間、ぶわっ、とか、ギュイーン、とか、何かスピード感を持って駆け上がるイメージの感覚が、自分の肌を逆撫でた気がした。もし私に犬や猫みたいな獣毛が生えていたら、それは全て逆立っていたことだろう。
「……ねえちょっと、大丈夫? 何か変なこと考えてない?」
「大丈夫、人間で良かったなあって思ってただけだから」
「変なこと考えてるじゃない……。それより、そんな怖い顔でお客様の前に出ないでよ! あとでミセス・ロジェに絞られるのは私なんだからね」
「分かってますって」
不安そうな視線を私に向けるマノンに、いま出来うる限り最上級の笑顔を見せつける。彼女は呆れたようにため息をつくと、私の背にポンと手を置き、本館へ急ぐよう促した。
「え……その花をくれたの、アリスなんだ」
ようやく終えた宿題を通学カバンにしまう手を止め、リュカが驚いたようにそう言った。
「アリス様、でしょ。そんな気安くお呼びしちゃだめよ」
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「ああ……うん」
学校での嫌な出来事ならともかく、先生やクラスメイトから一目置かれる得意なことがあるのなら、教えてくれてもいいのに。そんな気持ちを込めたことに気付いたのかどうかは分からないけれど、リュカは居心地悪そうにして言い淀み、アジサイから視線を逸らした。
「……ブランモワ家はスイレンの咲く庭池が自慢だけれど、シュヴァル家ではアジサイが庭園のメインを飾っているのかな」
リュカのわずかな拒絶の意を汲み取ってさりげなく話題を変えると、リュカは少しホッとしたように表情を緩めた。魔術のことについてはあまり触れられたくないみたいだ。
「アリスの家、アジサイがたくさん咲いてるって。どれも同じなのに、色は違うんだって」
「……そうなの? 何だか不思議だね」
リュカの話すことは、いつも何か欠けている。学校に通い出してからはここまで流ちょうに話すようになったけれど、それでも同い年の子たちと比べれば表現力や言葉の並べ方なんかはとても拙く感じる。
今のもたぶん、同じ種類のアジサイだというのに咲く位置によって花――正確にはガクの色が違う、ということを言いたかったんだろう。
「だから一度見てみたいなって言ったら、家においでって言われて」
「えっ!」
思わず素っ頓狂な声を上げた私の反応に、さすがのリュカも気付いた様子で慌ててその誘いは断ったと続けた。
「身分が違うから行けないって言ったよ。ニナの言いつけはちゃんと守ってる。それに……」
「……それに?」
「僕がアリスと話したり、それから……良いこととか、褒められることすると嫌なことしてくる奴もいるから」
そう言ってまだアザの残る口元に手をやるリュカ。その言葉と仕草から、リュカがあのクラスメイトから反感を買ったのは、やっぱり魔術の授業で優秀な面を見せ、なおかつそこを男爵令嬢に気に入られたからなんだということを確信した。ニセモノ家族、という言葉だけでなく、リュカ自身のことを出来損ないと揶揄したこともあったらしいし、自分より下だと思っていた人間に負けた腹いせであんなことを仕出かした、と考えて間違いないだろう。
「でも、なんで青だけしかくれなかったのか、学校で聞かなきゃ」
リュカの呟きに、不穏な予感を覚えつつも首を傾げて先を促す。
「アリスは、僕にアジサイを見せるって約束したんだ。だからこれをくれたんだと思う。でも」
「……」
「僕が見たかったのはさ、その……色がちがうやつ、なんだよね。青だけじゃなくてさ」
眉根を寄せ、心底理解できないといった表情でぼやくリュカ。私はリュカが言わんとしていることを察し、頭を抱えた。
「リュカ、ちょっとそこに座んなさい」
私のその言葉プラスこの深いため息がお説教開始の合図であることを察し、リュカは渋々ながらも指示に従って椅子にこしかけると、不安と不満の入り混じった表情でこちらを見上げた。
「どうして叱られるか、分かってる?」
「……僕が、間違ったことをしたから」
「そうね。それじゃ何が間違っていたのか、詳しく話すわよ」
そう言ってからわざと仰々しい咳ばらいをし、アリス様がどんなお気持ちでリュカに花を贈ったのかを滔々と語った。
「いい? リュカ。アンタが同じ種類のアジサイが違う色の花を付けるところを見たかったのは分かる。でもここはブーケを贈ってくれたアリス様の優しさを喜んで、感謝をすべきところなの。青だけじゃ足りないなんて、たとえ相手が貴族でなくたって言っちゃいけないことなのよ」
「んー……じゃあ、喜んだフリでお礼を言えばいいってこと?」
いや”フリ”と言ってしまうなよ。もたらされた結果じゃなく、彼女が向けてくれた優しさを有難く思えばいいんだよ。そもそも”喜ぶフリ”なんていうとんでもない高等技術を要する演技を、上流階級の闇、手練手管を少なくともアンタよりかは知っている男爵令嬢の前で披露できるのか。
色々と言ってやりたいことはあるけれど、今一気にたたみかけてもそれはきっとリュカの頭には残らない。理屈を説明するよりもじっくり時間と回数を掛けて体に叩き込む方が、リュカにとっては効率的だろう。
「リュカ、とりあえず私が今から言うことを紙に書いて」
「えっ、いきなりなんで」
「ブーケのお礼を手紙でお返しするの。ちょっとにっこりして黙って渡すだけ、何も言わなくていい。それならできるでしょ」
普段とは違う、私のこの一物を湛えた笑顔が意味することを、いつものパターンとして刷り込まれたリュカは正しく理解したようだ。何か言わんとして開きかけた口を真一文字に引き結ぶと、そそくさと紙とペンを通学カバンから取り出した。
「……裏に書き損じがある紙は、ダメだからね?」
「……」
一度閉じた鞄のふたをあけ、中を探り始める。レディに宛てたお礼の手紙を書くんだっつってんだろと言いたくなるのを堪えつつ、リュカの準備が整うのを待っていると。
「ニナ! ちょっといい!?」
部屋のドアが叩かれ、それと共に聞きなれた声が響いた。私はリュカに、ちょっと待ってて、と小声で指示をすると、ドアノブに手を掛けた。
「もう仕事終わったのに、急にごめんね」
「だいじょうぶよ、まだ仕事着のままだし」
薄く開いたドアの向こうに立っていたのは、侍女の一人であるマノンだった。私が伯爵家で働き始めてからずっと、ここでの仕事を主立って指南してくれている頼りになる先輩だ。
普段は動きが遅――……落ち着いた雰囲気の彼女がこんなに慌てているなんて、何か不測の事態が起きたに違いない。そう思って突然私を呼び出した理由を尋ねたけれど、マノンはただ困ったように顔をしかめ、首を小さく傾げて考え込んでしまった。
「何て言えばいいのか……その、ご客人がお嬢様を巻き込んで、何だか大変なことになってる、そんな感じで」
全身の血が一気に足の方へと降りていく。私は廊下に出てドアを後ろ手に閉めると、マノンの肩に手を乗せて彼女の瞳をじっと見据えた。
「どういうこと? お嬢様の命を危険に晒すなんて、その客は一体何を」
「命が危ないとは一言も言っていないよ! お嬢様のことになると過剰に反応するの、ホントやめてほしい……」
「ご、ごめん……」
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「とにかく、一緒に客間に来て。あなたが最後の頼みの綱なの」
「頼みの綱って……ねえマノン、一体何が起きてるの? それってただの小間使いが大トリを飾れるくらい、かんたんに解決できることなの?」
「もう、ごちゃごちゃ言ってないで黙って付いてきて! あんな変人と結婚してしまったら、お嬢様はぜったい不幸になるに決まってるんだから」
エレーヌ様が、不幸になる。
その言葉を聞いた瞬間、ぶわっ、とか、ギュイーン、とか、何かスピード感を持って駆け上がるイメージの感覚が、自分の肌を逆撫でた気がした。もし私に犬や猫みたいな獣毛が生えていたら、それは全て逆立っていたことだろう。
「……ねえちょっと、大丈夫? 何か変なこと考えてない?」
「大丈夫、人間で良かったなあって思ってただけだから」
「変なこと考えてるじゃない……。それより、そんな怖い顔でお客様の前に出ないでよ! あとでミセス・ロジェに絞られるのは私なんだからね」
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