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男同士のぶっちゃけトーク
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『実際問題として、獣人さんの夜の事情ってどうなの? 番だからって盛ってたら日中の仕事が仕事ににならなくない? それともそれが大丈夫なくらい体力のある人が多いの?』
「あ?」
『セルトさんの匂いを嗅いじゃうとムラムラして拒否出来ない俺も悪いんだけどさ。皆さんどうやって拒否してるの? エッチは拒否しないのが礼儀だったりする??』
兄貴にだけ聞くのは恥ずかしいけど、アデラールさんもいるしとぶっちゃけると兄貴がキョトンと呆けた。セルトさん以外の人も、兄貴の通訳で俺の言ったことを聞いて同じ顔になっちゃったよ。なんで? そんなに変なこと言ったのかな?
「えーっとね、ケントくん……何か大きな思い違いをしてるみたいなんだけど……俺がこうなってるのは任務明けだけだよ? 今日はたまたまだし、普段はそこまでじゃないんだよ?」
「まぁ大前提として、俺らは健翔より体力あるだろうけどな。いや、そうじゃない。そこじゃない。お前、フェロモン嗅ぎ取れるのか?」
『? あの匂い、違うの?』
「セルトのフェロモンがどんなんかわかるのはお前だけだが……前に〝人はフェロモンを感じ取れない〟って言ったよな? 多少は感じられても、ムラムラまではしないんじゃないか?」
例えば人同士でも恋人の体臭を〝好ましい〟と感じるように、獣人さんも〝この匂い好き〟〝特別〟くらいには思うらしい。でもムラムラはしない。ここ、一番大事。そりゃそういう雰囲気になればムラムラはするけど、強制的に年中ムラムラしてたらそれこそ生活に支障が出る、と。当たり前だね。
「だからお前のそれって、言うなれば異世界特典じゃねぇ? チート主人公的なヤツ。つっても恩恵を得ているのはセルトだけだけど」
『な、んです……と……?!』
対処方法は俺が体力をつけるか、セルトさんが我慢をするか……アデラールさんと兄貴のぶっちゃけトークでわかったのは、セルトさんが「エッチしたいな」と思った時にフェロモンが出てるようだった。だからそこから我慢しろって話に……そういえば最初に会った時や旅の間はムラムラしなかったよ。セルトさんの「歯止めが利いていない」っていうの、あながち間違いじゃなかったんだ。
「我慢……」
『してください。じゃないと、嫌いになるかもしれません』
獣人さん、しかも番の関係だと倦怠期っていうのがないらしいので、いつか落ち着くと思っているとヤバいと兄貴に釘を刺された。「ジジイになりゃ別かもな」って、うん……その時まで溌剌としていたら怖い。多分その前に、俺が死んでる。
「ま、適度に発散させて落ち着かせるってのも一つの方法だけどな。せめて健翔とする前には何回か抜いとけ。セルトの場合は今までが枯れすぎてたってのもあるだろうけど」
「すまない。そのあたり、俺が気に掛けていなかったからだな。セルトの性格もあるだろうが……」
「同年代でもそういう情報はちゃんと回ってるから、セルトの性格だろうねぇ」
お兄さんズにそこまで言われてるセルトさん。可哀想だけど、俺のお尻が掛かっているのでね! 兄貴もアデラールさんも今日がたまたまらしいし、それを毎回されてたら死ぬからね!!
『こっちで暮らすことになったし、俺も何かしたい……出来るかどうかは別として、兄貴の手伝いとかそういうこと、やれるようになりたい。だから……適度にか、もしくは……――あれ? そういや兄貴、こっちってカレンダーあるの?』
「暦はある。ついでに五日に一回は休みの日があるぞ。兵士はローテーションだし、店なんかの休みはズレてるけどな。だからまぁ、その前の日とかにしとけば良いんじゃないか? ――セルトも、近衛のほうに戻るだろ? お前らで休みを合わせれば良い」
『じゃあそれで!』
そう言い切ったら、滅茶苦茶しょんぼりされちゃったけど……あれかな? 結婚した相手には家で待っていて欲しいとか、そういう価値観だったりするのかな? でも言葉も不自由で文字も書けなくてって状態でそれは、ちょっと今後がヤバいと思うんだよね。
「まぁ向こうではこれから大学行って色々勉強して……ってとこだったしな。良いんじゃないか? 恋人期間を楽しみつつ勉強してけば。そのうちやりたいことも出てくるだろ」
「レオルカ……お前、ちゃんと兄をしていたんだな」
「どういう意味だっての。……カーライルこそ、ティグレが戻ってきたら復帰だからな? 扱き使ってやるから覚悟しとけ」
良い感じにまとめてくれた兄貴を、しみじみと感心してるカーライルさん。でもその後に兄貴が言った言葉に、なぜか苦い顔をした。
「それなんだが……俺は戻るつもりはない。その権利もないだろう。今回は事後処理と報告で戻るしかなかったが、本来ならここに居てはならない存在だからな。色々と落ち着いたら、俺はどこかに行くつもりだ」
なんだか嫌な予感がする……と思っていたら、見事に的中。というか落ち着く前にいなくなっちゃうんじゃないかな? なんて俺が思うってことは、付き合いの長い兄貴たち全員がそう思うってことで……
バキッ、ドカッ、ガンッ
避けようと思えば避けられる三人からの拳と足技を甘んじて受けて、それでも尚「すまない」とだけ言うカーライルさんは相変わらずの頑固者だった。でもさぁカーライルさんのそれを許しちゃうと、セルトさんも「俺も」とか言い出しちゃうよね?
(なんで両想いになってからのドキドキよりも、ハラハラのほうが多いんだろう)
早く落ち着きたいなぁと思いながら、グッと拳を握りしめている兄貴に抱きつく。大丈夫。俺も兄貴も一人じゃない。三人寄ればなんとかの知恵! 三人以上いるんだから、きっとどうにかなるはず!!
「あ?」
『セルトさんの匂いを嗅いじゃうとムラムラして拒否出来ない俺も悪いんだけどさ。皆さんどうやって拒否してるの? エッチは拒否しないのが礼儀だったりする??』
兄貴にだけ聞くのは恥ずかしいけど、アデラールさんもいるしとぶっちゃけると兄貴がキョトンと呆けた。セルトさん以外の人も、兄貴の通訳で俺の言ったことを聞いて同じ顔になっちゃったよ。なんで? そんなに変なこと言ったのかな?
「えーっとね、ケントくん……何か大きな思い違いをしてるみたいなんだけど……俺がこうなってるのは任務明けだけだよ? 今日はたまたまだし、普段はそこまでじゃないんだよ?」
「まぁ大前提として、俺らは健翔より体力あるだろうけどな。いや、そうじゃない。そこじゃない。お前、フェロモン嗅ぎ取れるのか?」
『? あの匂い、違うの?』
「セルトのフェロモンがどんなんかわかるのはお前だけだが……前に〝人はフェロモンを感じ取れない〟って言ったよな? 多少は感じられても、ムラムラまではしないんじゃないか?」
例えば人同士でも恋人の体臭を〝好ましい〟と感じるように、獣人さんも〝この匂い好き〟〝特別〟くらいには思うらしい。でもムラムラはしない。ここ、一番大事。そりゃそういう雰囲気になればムラムラはするけど、強制的に年中ムラムラしてたらそれこそ生活に支障が出る、と。当たり前だね。
「だからお前のそれって、言うなれば異世界特典じゃねぇ? チート主人公的なヤツ。つっても恩恵を得ているのはセルトだけだけど」
『な、んです……と……?!』
対処方法は俺が体力をつけるか、セルトさんが我慢をするか……アデラールさんと兄貴のぶっちゃけトークでわかったのは、セルトさんが「エッチしたいな」と思った時にフェロモンが出てるようだった。だからそこから我慢しろって話に……そういえば最初に会った時や旅の間はムラムラしなかったよ。セルトさんの「歯止めが利いていない」っていうの、あながち間違いじゃなかったんだ。
「我慢……」
『してください。じゃないと、嫌いになるかもしれません』
獣人さん、しかも番の関係だと倦怠期っていうのがないらしいので、いつか落ち着くと思っているとヤバいと兄貴に釘を刺された。「ジジイになりゃ別かもな」って、うん……その時まで溌剌としていたら怖い。多分その前に、俺が死んでる。
「ま、適度に発散させて落ち着かせるってのも一つの方法だけどな。せめて健翔とする前には何回か抜いとけ。セルトの場合は今までが枯れすぎてたってのもあるだろうけど」
「すまない。そのあたり、俺が気に掛けていなかったからだな。セルトの性格もあるだろうが……」
「同年代でもそういう情報はちゃんと回ってるから、セルトの性格だろうねぇ」
お兄さんズにそこまで言われてるセルトさん。可哀想だけど、俺のお尻が掛かっているのでね! 兄貴もアデラールさんも今日がたまたまらしいし、それを毎回されてたら死ぬからね!!
『こっちで暮らすことになったし、俺も何かしたい……出来るかどうかは別として、兄貴の手伝いとかそういうこと、やれるようになりたい。だから……適度にか、もしくは……――あれ? そういや兄貴、こっちってカレンダーあるの?』
「暦はある。ついでに五日に一回は休みの日があるぞ。兵士はローテーションだし、店なんかの休みはズレてるけどな。だからまぁ、その前の日とかにしとけば良いんじゃないか? ――セルトも、近衛のほうに戻るだろ? お前らで休みを合わせれば良い」
『じゃあそれで!』
そう言い切ったら、滅茶苦茶しょんぼりされちゃったけど……あれかな? 結婚した相手には家で待っていて欲しいとか、そういう価値観だったりするのかな? でも言葉も不自由で文字も書けなくてって状態でそれは、ちょっと今後がヤバいと思うんだよね。
「まぁ向こうではこれから大学行って色々勉強して……ってとこだったしな。良いんじゃないか? 恋人期間を楽しみつつ勉強してけば。そのうちやりたいことも出てくるだろ」
「レオルカ……お前、ちゃんと兄をしていたんだな」
「どういう意味だっての。……カーライルこそ、ティグレが戻ってきたら復帰だからな? 扱き使ってやるから覚悟しとけ」
良い感じにまとめてくれた兄貴を、しみじみと感心してるカーライルさん。でもその後に兄貴が言った言葉に、なぜか苦い顔をした。
「それなんだが……俺は戻るつもりはない。その権利もないだろう。今回は事後処理と報告で戻るしかなかったが、本来ならここに居てはならない存在だからな。色々と落ち着いたら、俺はどこかに行くつもりだ」
なんだか嫌な予感がする……と思っていたら、見事に的中。というか落ち着く前にいなくなっちゃうんじゃないかな? なんて俺が思うってことは、付き合いの長い兄貴たち全員がそう思うってことで……
バキッ、ドカッ、ガンッ
避けようと思えば避けられる三人からの拳と足技を甘んじて受けて、それでも尚「すまない」とだけ言うカーライルさんは相変わらずの頑固者だった。でもさぁカーライルさんのそれを許しちゃうと、セルトさんも「俺も」とか言い出しちゃうよね?
(なんで両想いになってからのドキドキよりも、ハラハラのほうが多いんだろう)
早く落ち着きたいなぁと思いながら、グッと拳を握りしめている兄貴に抱きつく。大丈夫。俺も兄貴も一人じゃない。三人寄ればなんとかの知恵! 三人以上いるんだから、きっとどうにかなるはず!!
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