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トゥリス到着!
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※本日は同時間に2話の投稿となります。
――――――――――
寝た。たっぷり寝た。セルトさんの尻尾を抱き枕にしてヨダレまみれにするくらい、爆睡していた。
(俺ぇ……!!)
大事な毛並みをベショベショにされても怒らないセルトさんってほんとなんなの。しかも起こしてくれないし! 下手したら爆睡したまんまの俺を抱き上げて、乗馬するくらいのことをしてくれそうだし!
これで俺の二つ上――意味がわかりませんね。お父さんみたいだよ。俺が五歳くらいの時、家族で行ったドライブでそんなことされてたよ。
『≌⋵F≰6≟∨∩≴⋠?』
「……うぅ」
『;∏∥⊥!⋗⋳⊐≍、T|⊖⋬⊸∡⊺⋓fmD』
「うぅ……うー…………」
こうやって拗ねてる俺ですけど、そんな俺へめげずに会話を続けてくれるセルトさん。チューを拒否しているから、何言ってるのかさっぱりわからないけど。ほんと、俺がただの子供ってだけじゃん。でもこのままどんどんこじれていくのは俺としても嫌だ。やっぱり楽しい旅にしたい。
後ろのセルトさんを振り仰いで、トントンと唇を叩いた。それを見たセルトさんがホッとした雰囲気で、チュっと口に触れてくれた訳だけど、なんというか……
(ベロ絡めて唾液の交換しなきゃ会話出来ないのに、これただのチューじゃんか!!)
キスシーンで書かれる〝啄むような〟ってやつ。音が鳴るようなキスが何回も、少し離れて、また触れて、お腹に回された腕にグッと力が入って背中全体にセルトさんの体温を感じた。気持ちいい。でも、この先にある〝もっと気持ちの良いこと〟を俺は知っている。
自分から口を少し開けて、セルトさんの唇にかじり付いた。早くと念じながらその唇へベロを絡めて少し吸うと、ようやくセルトさんのベロが俺の腔内に侵入してくる。
(気持ちいい……)
お腹の前にあるセルトさんの腕にしがみつきながら、必死でセルトさんのベロを自分のベロで追う。そのまま上から流れ込んでくる唾液を飲みこんでいると、口の中全体を大きく舐め回してからセルトさんが離れた。
「すまない」
「……へ? なんで、です?」
「ケントの希望はわかっていたが、よく寝ていたので寝かせてしまった。ただ体力面ではケントより俺のほうが余裕があるから、それに…………ほら、トゥリスが見えてきた。今夜は宿でしっかりと寝かせてもらうから、大丈夫だ」
「え? え?? うそ……」
「ずっとマントに隠れていたからな」
拗ねてマントぐるぐる巻きになっていたから、トゥリスが見えていたのに気付かなかった。
「オーベルシュハルトに向かう道では最後、という規模の町だ。後は農耕地と集落が点在する程度と思ってくれれば良い。さて、まずは宿か。……その前に」
「マントは外さない。セルトさんから離れない。迷子になったらウロチョロしないでその場で待つ」
「そうしてくれ」
トゥリスに着くまでに何度も言い聞かされた。ここはオーベルシュハルトと敵対している国ではないけど、念の為にということらしい。でも結構な人混みが見えるんだけど、こんなに人がいても俺のことを探し出せるってことなんだろうか。獣人だから鼻が良いとか?
ファンタジー世界のあるあるな甲冑を着た門番による検問があったけど、セルトさんの身分証明書でほぼパスになった。俺のことはスルー……いや、良いんだけどさ。結構ガバガバ? それとも、セルトさんってすごい人??
まだ靴を買っていないから、町に入ってからもセルトさんに抱き上げられての移動だ。片手に俺、片手にレティアちゃんの手綱……荷物はレティアちゃんの背に乗っかってるけど、それで良いのだろうか。
長距離をこのまま移動するのは嫌だなぁと思っていたら、目的の宿屋は町の入り口から結構近いところにあった。ここ、セルトさんが俺に出会う前にも泊まったところらしいよ。
(なるほど。移動手段がお馬さんだから、町の中で乗り回さないように早めに預けるようになってるんだ)
一度下ろされて、レティアちゃんが運んでくれていた荷物を受け取る。俺のバッグもレティアちゃんの背中にあったんだ。セルトさんの貴重品も一部はこのバッグに入っている。それなりに大きなボディバッグで良かった。マントがあるから隠れるし。
それ以外の荷物――道中に仕留めた獲物の一部や木の実なんかの換金できそうな物は、そのまま宿屋の人が査定している。食べ物だと宿屋でも使い勝手が良いから喜ばれるらしいよ。その分は宿泊費から差し引かれるんだってさ。
(もう良い匂いがしてる)
辿り着いたのは昼前くらい……だと思う。それなのに宿屋中に良い匂いが充満していて、もしかしたら食事処なんかも兼業しているのかもしれない。
でもさ、出入りしている人たちからジロジロと見られるのはなんで? そのたびにセルトさんが肩を抱いてくれて、大抵の人が呆れたように目を逸らす不思議。セルトさん怖くないよ?
『3∆⋑⋱⋖⊁⋦≼⋫⋫』
「あ、もう終わり?」
返事の代わりに抱っこされてしまったから、多分これはそういうことだな。
――――――――――
寝た。たっぷり寝た。セルトさんの尻尾を抱き枕にしてヨダレまみれにするくらい、爆睡していた。
(俺ぇ……!!)
大事な毛並みをベショベショにされても怒らないセルトさんってほんとなんなの。しかも起こしてくれないし! 下手したら爆睡したまんまの俺を抱き上げて、乗馬するくらいのことをしてくれそうだし!
これで俺の二つ上――意味がわかりませんね。お父さんみたいだよ。俺が五歳くらいの時、家族で行ったドライブでそんなことされてたよ。
『≌⋵F≰6≟∨∩≴⋠?』
「……うぅ」
『;∏∥⊥!⋗⋳⊐≍、T|⊖⋬⊸∡⊺⋓fmD』
「うぅ……うー…………」
こうやって拗ねてる俺ですけど、そんな俺へめげずに会話を続けてくれるセルトさん。チューを拒否しているから、何言ってるのかさっぱりわからないけど。ほんと、俺がただの子供ってだけじゃん。でもこのままどんどんこじれていくのは俺としても嫌だ。やっぱり楽しい旅にしたい。
後ろのセルトさんを振り仰いで、トントンと唇を叩いた。それを見たセルトさんがホッとした雰囲気で、チュっと口に触れてくれた訳だけど、なんというか……
(ベロ絡めて唾液の交換しなきゃ会話出来ないのに、これただのチューじゃんか!!)
キスシーンで書かれる〝啄むような〟ってやつ。音が鳴るようなキスが何回も、少し離れて、また触れて、お腹に回された腕にグッと力が入って背中全体にセルトさんの体温を感じた。気持ちいい。でも、この先にある〝もっと気持ちの良いこと〟を俺は知っている。
自分から口を少し開けて、セルトさんの唇にかじり付いた。早くと念じながらその唇へベロを絡めて少し吸うと、ようやくセルトさんのベロが俺の腔内に侵入してくる。
(気持ちいい……)
お腹の前にあるセルトさんの腕にしがみつきながら、必死でセルトさんのベロを自分のベロで追う。そのまま上から流れ込んでくる唾液を飲みこんでいると、口の中全体を大きく舐め回してからセルトさんが離れた。
「すまない」
「……へ? なんで、です?」
「ケントの希望はわかっていたが、よく寝ていたので寝かせてしまった。ただ体力面ではケントより俺のほうが余裕があるから、それに…………ほら、トゥリスが見えてきた。今夜は宿でしっかりと寝かせてもらうから、大丈夫だ」
「え? え?? うそ……」
「ずっとマントに隠れていたからな」
拗ねてマントぐるぐる巻きになっていたから、トゥリスが見えていたのに気付かなかった。
「オーベルシュハルトに向かう道では最後、という規模の町だ。後は農耕地と集落が点在する程度と思ってくれれば良い。さて、まずは宿か。……その前に」
「マントは外さない。セルトさんから離れない。迷子になったらウロチョロしないでその場で待つ」
「そうしてくれ」
トゥリスに着くまでに何度も言い聞かされた。ここはオーベルシュハルトと敵対している国ではないけど、念の為にということらしい。でも結構な人混みが見えるんだけど、こんなに人がいても俺のことを探し出せるってことなんだろうか。獣人だから鼻が良いとか?
ファンタジー世界のあるあるな甲冑を着た門番による検問があったけど、セルトさんの身分証明書でほぼパスになった。俺のことはスルー……いや、良いんだけどさ。結構ガバガバ? それとも、セルトさんってすごい人??
まだ靴を買っていないから、町に入ってからもセルトさんに抱き上げられての移動だ。片手に俺、片手にレティアちゃんの手綱……荷物はレティアちゃんの背に乗っかってるけど、それで良いのだろうか。
長距離をこのまま移動するのは嫌だなぁと思っていたら、目的の宿屋は町の入り口から結構近いところにあった。ここ、セルトさんが俺に出会う前にも泊まったところらしいよ。
(なるほど。移動手段がお馬さんだから、町の中で乗り回さないように早めに預けるようになってるんだ)
一度下ろされて、レティアちゃんが運んでくれていた荷物を受け取る。俺のバッグもレティアちゃんの背中にあったんだ。セルトさんの貴重品も一部はこのバッグに入っている。それなりに大きなボディバッグで良かった。マントがあるから隠れるし。
それ以外の荷物――道中に仕留めた獲物の一部や木の実なんかの換金できそうな物は、そのまま宿屋の人が査定している。食べ物だと宿屋でも使い勝手が良いから喜ばれるらしいよ。その分は宿泊費から差し引かれるんだってさ。
(もう良い匂いがしてる)
辿り着いたのは昼前くらい……だと思う。それなのに宿屋中に良い匂いが充満していて、もしかしたら食事処なんかも兼業しているのかもしれない。
でもさ、出入りしている人たちからジロジロと見られるのはなんで? そのたびにセルトさんが肩を抱いてくれて、大抵の人が呆れたように目を逸らす不思議。セルトさん怖くないよ?
『3∆⋑⋱⋖⊁⋦≼⋫⋫』
「あ、もう終わり?」
返事の代わりに抱っこされてしまったから、多分これはそういうことだな。
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