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第二十三話《ブライク編》
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ロッティが聞き出したサトーの最後の記憶は、自室から出たところで途切れているらしい。一人暮らしなので運良く見つけてもらえていれば病院などで処置をしてもらっているだろうが、こちらからその状況を確認するすべがない。
「まぁ……死んだら、その時はその時ってことですよ」
「そういうのよくない! ボクは悲しいぞ?! まだ、サトーと会ってからちょびっとしか経ってないけど!! ロッティも、ブライクも、悲しいよな?!」
「そうだね。まずは心を元気にするところから始めようか? 私も微力ながらお手伝いするから」
ポロリと、自然にその言葉が出て来てブライクは驚いた。先ほどまであれこれと考えていたのに……。
「うんうん。そうだね。ブライク、よろしく!」
「ボクたちもちょくちょく遊びに来るから、よろしくな!」
訂正をする前にロッティやリチェルが外堀を埋めてしまい、「他の誰かに預けて」なんて言える雰囲気がなくなった。むしろ「お前はこんな状態のニンゲンを外に放り出すのか?」というかのような圧力も感じる。
「えぇっと……サトー、一応聞いておきたいんだけれど……私は怖くないかい?」
突拍子もないことを聞いた自覚はある。それでもブライクは確認をしておきたかった。
サトーを軽々と持ち上げられる膂力――というかロッティやリチェルを含めた三人分だって抱き上げられるだろう――は、一緒に過ごすに当たって恐怖を感じるかもしれない。顔だって子供受けしない。実際、ロッティの甥っ子に泣かれたことがある。
このあたりは大型獣人に対する風当たりは強くないが、忌避される土地もあると聞く。そう考えるとロッティやリチェルは随分と特殊かもしれない、とまとまりなく考えているとサトーから「あの……」と声を掛けられた。
「さっき、俺がここに現われてからずっと看病してくださったのはブライクさんだと伺いました。……なんとなく、覚えているんです。たまに頭を撫でてくれた優しい大きな手のことを。だから……ブライクさんのお邪魔じゃなければ、俺はここにいたいです」
駄目ですか? と重ねて言われて、ブライクは否やを唱えることが出来なくなった。しかしそれは決して悲観的な意味合いではなく、どちらかと言えば歓喜に近い。
「駄目……ではない。その、よろしく、たのむ……」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
「まぁ……死んだら、その時はその時ってことですよ」
「そういうのよくない! ボクは悲しいぞ?! まだ、サトーと会ってからちょびっとしか経ってないけど!! ロッティも、ブライクも、悲しいよな?!」
「そうだね。まずは心を元気にするところから始めようか? 私も微力ながらお手伝いするから」
ポロリと、自然にその言葉が出て来てブライクは驚いた。先ほどまであれこれと考えていたのに……。
「うんうん。そうだね。ブライク、よろしく!」
「ボクたちもちょくちょく遊びに来るから、よろしくな!」
訂正をする前にロッティやリチェルが外堀を埋めてしまい、「他の誰かに預けて」なんて言える雰囲気がなくなった。むしろ「お前はこんな状態のニンゲンを外に放り出すのか?」というかのような圧力も感じる。
「えぇっと……サトー、一応聞いておきたいんだけれど……私は怖くないかい?」
突拍子もないことを聞いた自覚はある。それでもブライクは確認をしておきたかった。
サトーを軽々と持ち上げられる膂力――というかロッティやリチェルを含めた三人分だって抱き上げられるだろう――は、一緒に過ごすに当たって恐怖を感じるかもしれない。顔だって子供受けしない。実際、ロッティの甥っ子に泣かれたことがある。
このあたりは大型獣人に対する風当たりは強くないが、忌避される土地もあると聞く。そう考えるとロッティやリチェルは随分と特殊かもしれない、とまとまりなく考えているとサトーから「あの……」と声を掛けられた。
「さっき、俺がここに現われてからずっと看病してくださったのはブライクさんだと伺いました。……なんとなく、覚えているんです。たまに頭を撫でてくれた優しい大きな手のことを。だから……ブライクさんのお邪魔じゃなければ、俺はここにいたいです」
駄目ですか? と重ねて言われて、ブライクは否やを唱えることが出来なくなった。しかしそれは決して悲観的な意味合いではなく、どちらかと言えば歓喜に近い。
「駄目……ではない。その、よろしく、たのむ……」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
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