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第十三話
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隣室に戻ってパソコンの電源を入れる。今は電子書籍も多く、既に利用している書籍サイトでざっと検索しただけでも星の数ほど表示された。
(さて……)
人気順に並んだその中から、レビューに〝甘い〟〝ほのぼの〟と書かれたものを試し読みをする。気になったものはそのままカートに放り込んで、ある程度の数が揃ったところで松本の言っていたレーベルの傾向を割り出した。
(こことここが、それっぽい……か?)
佐藤も知っているような大手の出版社からも出ているらしい。逆に、松本のいる出版社は上がってこなかった。
今度は出版社とレーベル名から検索をして、もうちょっと踏み込んだ内容――つまり〝エッチ〟などのタイトルがついたレビュー――もカートに入れてから最終的な購入ボタンを押す。
(とはいえ多すぎるだろう、これは……)
それだけ需要があるということはわかるが、漫画も小説もと詰め込んで二十冊以上ある。ひとまず読み慣れた小説から始めることにして、佐藤は気持ちを切り替えるために首と肩を回した。
一冊、二冊、三冊……と読んでいくうちに、松本の言っていたことが事実であることを知る。特に小説は佐藤が赤面するようなシーンが多く、そういったページは大半を読み飛ばしてしまった。漫画は逆に、視覚に訴える情報が多いからか告白やキスでラストシーンを迎えているようだ。もちろんそれは佐藤が選び取った結果だろうし、外した中にはもっと過激な作品もあるだろう。
(ちょっと無理……かも……)
横川にも松本にも、「向いていない」と言われた理由がよくわかった。
今ようやく恋愛の〝れ〟に突き当たったばかりの佐藤には、そういった気持ちの機微を書き上げることは難しい。実体験を元にするには生々し過ぎるし、そもそもブライクに気持ちを伝えるかどうかも考えられていない。気持ちを伝えたとして、両想いになる可能性だって低いように思う。
(絵本なら、〝二人は幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし〟で終わるけど……)
(さて……)
人気順に並んだその中から、レビューに〝甘い〟〝ほのぼの〟と書かれたものを試し読みをする。気になったものはそのままカートに放り込んで、ある程度の数が揃ったところで松本の言っていたレーベルの傾向を割り出した。
(こことここが、それっぽい……か?)
佐藤も知っているような大手の出版社からも出ているらしい。逆に、松本のいる出版社は上がってこなかった。
今度は出版社とレーベル名から検索をして、もうちょっと踏み込んだ内容――つまり〝エッチ〟などのタイトルがついたレビュー――もカートに入れてから最終的な購入ボタンを押す。
(とはいえ多すぎるだろう、これは……)
それだけ需要があるということはわかるが、漫画も小説もと詰め込んで二十冊以上ある。ひとまず読み慣れた小説から始めることにして、佐藤は気持ちを切り替えるために首と肩を回した。
一冊、二冊、三冊……と読んでいくうちに、松本の言っていたことが事実であることを知る。特に小説は佐藤が赤面するようなシーンが多く、そういったページは大半を読み飛ばしてしまった。漫画は逆に、視覚に訴える情報が多いからか告白やキスでラストシーンを迎えているようだ。もちろんそれは佐藤が選び取った結果だろうし、外した中にはもっと過激な作品もあるだろう。
(ちょっと無理……かも……)
横川にも松本にも、「向いていない」と言われた理由がよくわかった。
今ようやく恋愛の〝れ〟に突き当たったばかりの佐藤には、そういった気持ちの機微を書き上げることは難しい。実体験を元にするには生々し過ぎるし、そもそもブライクに気持ちを伝えるかどうかも考えられていない。気持ちを伝えたとして、両想いになる可能性だって低いように思う。
(絵本なら、〝二人は幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし〟で終わるけど……)
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