3 / 35
第三話
しおりを挟む
夢の世界フレイウェル――というのは佐藤の認識で、実際は地球とは別の平行世界となるらしい。
その世界には人間はおらず、猿以外の動物から進化をしたとされる獣人が闊歩していた。そして科学の代わりに魔法があるなんてファンタジー世界ではなく、どちらかと言えば絵本のような牧歌的な生活が繰り広げられている。
ブライクや周りの獣人曰く、佐藤のようにフレイウェルへと落ちてくる人間は今までにもいるらしい。人生に疲れていたり、生きることが難しかったり、どうしようもなく孤独に苛まれていたり……なんらかの負の理由で〝精神だけ紛れ込む〟というのが正しいのかもしれない。
実際、佐藤は二年前にそういった理由からブライクの家の前に〝落とされ〟ている。それを助けてもらったのがブライクとの最初の出会いだが、現実世界の体は生死を彷徨っていた。
「ほんっと、あの時は俺がいて良かったと思わない?」
「……思うけど」
佐藤には親兄弟や親戚はいない。
そのため賃貸のアパートを契約するときに保証人となってくれたのが、高校時代の同級生である松本泰虎だった。元文芸部の創作仲間で、佐藤は絵本作家への道を進み、松本は編集者としての道を進んだ。
職種として近くて遠いという距離感が合うのか、親交が続いている。
「こんなに心配してるのに、俺から連絡しないと出てこない引きこもりだしさぁ」
今回は佐藤の絵本が無事に上梓されたことを祝うため、という名目で松本のほうから顔を出してくれた。逆に言えば佐藤のほうからは連絡をしていない、とも言える。しかし祝って欲しいと催促するような連絡をするのは気が引けるし、それ以外に連絡する用事もない。結果、松本からの連絡が来てから動いているように見えてしまう。
――――――――――
早速のお気に入り登録ありがとうございます♥
励みになってます!
第11回BL小説大賞に参加中です!よろしければポチッとお願いします!!
その世界には人間はおらず、猿以外の動物から進化をしたとされる獣人が闊歩していた。そして科学の代わりに魔法があるなんてファンタジー世界ではなく、どちらかと言えば絵本のような牧歌的な生活が繰り広げられている。
ブライクや周りの獣人曰く、佐藤のようにフレイウェルへと落ちてくる人間は今までにもいるらしい。人生に疲れていたり、生きることが難しかったり、どうしようもなく孤独に苛まれていたり……なんらかの負の理由で〝精神だけ紛れ込む〟というのが正しいのかもしれない。
実際、佐藤は二年前にそういった理由からブライクの家の前に〝落とされ〟ている。それを助けてもらったのがブライクとの最初の出会いだが、現実世界の体は生死を彷徨っていた。
「ほんっと、あの時は俺がいて良かったと思わない?」
「……思うけど」
佐藤には親兄弟や親戚はいない。
そのため賃貸のアパートを契約するときに保証人となってくれたのが、高校時代の同級生である松本泰虎だった。元文芸部の創作仲間で、佐藤は絵本作家への道を進み、松本は編集者としての道を進んだ。
職種として近くて遠いという距離感が合うのか、親交が続いている。
「こんなに心配してるのに、俺から連絡しないと出てこない引きこもりだしさぁ」
今回は佐藤の絵本が無事に上梓されたことを祝うため、という名目で松本のほうから顔を出してくれた。逆に言えば佐藤のほうからは連絡をしていない、とも言える。しかし祝って欲しいと催促するような連絡をするのは気が引けるし、それ以外に連絡する用事もない。結果、松本からの連絡が来てから動いているように見えてしまう。
――――――――――
早速のお気に入り登録ありがとうございます♥
励みになってます!
第11回BL小説大賞に参加中です!よろしければポチッとお願いします!!
0
――匿名での感想や絵文字も受付中です――
wavebox
wavebox
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる