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藤森あやめは農家になる(8)
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「では次の特集です!群馬の石段街で有名な温泉の近くに最近おしゃれなイタリアンレストランが出来たことはご存知ですか?何とそのお店は本場イタリア人シェフの焼く窯焼きピッツァが食べられるイタリアンレストランなんですよ!」
「群馬でイタリア人シェフなんて珍しいですね」
「それだけじゃないんです。そのお店は近くの農家が経営していて、有機野菜をふんだんに使ったお料理が頂けるんですよ。まさに地産地消!使用しているお野菜は店頭でも買えると言うことで、週末になると東京からのお客さんで行列ができるんです」
軽快なトークを交わしているのは今をときめくお笑い芸人と若手女優の二人組だ。
二人は群馬の片田舎の道をぶらぶらと歩きながら目的地へと向かう。
季節はすでに十月で空っ風が吹きすさぶこの土地は秋の気配が満ち満ちていた。夏は過ぎ去り、秋へと移ろうこの季節に二人は何もない田舎道を進んでいた。
「あっ、ありましたね。あちらが今話題のイタリアンレストラン!」
「へえ、おしゃれ!都内にあっても全然違和感がないですよ」
大仰な手振りのお笑い芸人の言葉に女優の方も相槌を打つ。
そこに建っていたのは確かに小洒落た雰囲気のレストランで周りからは浮いていた。
「早速中に入ってお話を伺ってみましょう」
二人はカメラマンやスタッフを引き連れて店へと入って行く。
「わ、石窯がありますね」
若手女優ははしゃいだ声で言った。窯の前ではちょうど焼きあがったピザが台の上に乗せられたところだった。腕をふるうのは長身のイケメンイタリア人シェフだ。
そして店にはミルクティーブラウンの髪にバッチリ化粧を施したあやめと、日に焼けた顔に爽やかな笑顔を浮かべる実岡が立っている。
「こんにちは、お話伺ってもよろしいでしょうか」
「はい」
お笑い芸人の質問にあやめは元気に答えた。
「こちらのお店、オープンして半年以上経つのに連日行列が途切れないとお伺いしました。秘密を聞いてもよろしいでしょうか?」
「丁寧に育てた野菜を惜しみなく使ったイタリアン料理が手頃な値段で食べられるのが人気の秘密です。地元の方々にリピートして頂けるよう、あえて値段は低めに設定しているんですけど、味は東京の一等地に出しているレストランにも引けを取りません。シェフのベルナルドはミラノで料理の修行をして、日比谷で腕をふるっていた人間なんですよ」
「へえ、それは素晴らしい経歴ですね。早速そのお料理をいただいてもよろしいでしょうか?」
「はい、是非とも」
あやめが言うと両手に皿を持ったベルナルドが笑顔で近づいてきた。
「ドウゾ、ピッツァマルゲリータとほうれん草とベーコンのペペロンチーノデス」
片言の日本語で言いながらお皿をテーブルへとサーブする。
お笑い芸人と女優の二人は早速料理を食べると目を見開き、大仰なリアクションをとった。
「このマルゲリータ、ソースのトマトの味が濃いですね!」
「ペペロンチーノは上に乗ったほうれん草がシャキシャキしていてとても美味しいです。ここまでお野菜を育てるのは大変なんじゃないですか?」
これに答えたのは実岡だ。
「土壌から改良して、化学肥料や農薬を使わずに丹精込めて育てた野菜です。大変ですけれどやりがいがありますし、こうして美味しいと言って食べてくださる人の顔を見ていると作ってよかったと感じます」
「なるほど。ここの野菜はこちらのお店でも買えるとか」
「はい、店頭に並んでますので是非ともお土産にどうぞ」
大きな掌で実岡が店の入り口を示した。二人は席を立って野菜を見始める。
「今の季節はハウス栽培なんですけど。トマトは枝で完熟したもの、ほうれん草は今朝採れたばかりのものを売っています」
「私、お土産に買っていこうかなー!」
「俺も相方に買っていこっと」
はしゃいだ声を上げる若手女優とお笑い芸人を見ながら、実岡はふと隣のあやめの姿を見た。彼女は取材用におめかしをしており、普段から可愛いが本日は五割増し可愛い。
店は順調な滑り出しとなり、店で使う分と店頭販売で随分と野菜が捌けた。
店の評判が上がり口コミが広がると、ネット販売の受注も増えて今や連日の完売となっている。
全部、彼女が来てくれたおかげだ。
実岡はあやめとの出会いに感謝した。
この半年間、極めて安定した天候でこの分なら冬の間の収穫も問題ないだろう。
「では現場からは以上です!」
お笑い芸人がそう言うと一気に空気が弛緩した。ありがとうございました、と皆で挨拶をする。
このまま帰るのかと思いきや、意外なことに芸人と女優は席に戻って食事を再開した。
「こんなに美味しい料理を残すのはもったいないですから、食べて帰ってもいいですか?」
「はい、是非どうぞ」
実岡は少し意外な気持ちがした。てっきり残すもんだとばかり思っていたからだ。二人は嬉しそうにマルゲリータとペペロンチーノを食べている。
「本当に美味しいですよ、このマルゲリータもペペロンチーノも」
「アリガトウゴザイマス」
ゆっくりとであるが日本語を覚えつつあるベルナルドがお辞儀をした。
「お二人で農園を始めたんですか?」
「いえ、初めは俺だけで。後から彼女が来たんです」
「へえ。で、奥様になられたと?」
「いえ、まだそういった関係には……」
「またまたぁ!」
お笑い芸人は笑いながら実岡のことを肘で小突く。実岡はどうしていいやら、苦笑いを浮かべた。
この二ヶ月間で実岡とあやめの関係はあまり変化を見せていない。店がオープンしたばかりで忙しかったし、農業の繁忙期とも重なっていた。最近ようやく暇ができたかなというところだ。
お笑い芸人と女優の食事も終わり、スタッフと話をしてから取材の人たちは帰っていった。
実岡はホッと一息つく。
「全国放送、しかも生放送の取材だなんて緊張した」
「私もですよ」
「そう?藤森さんは堂々としてたよ」
「内心では心臓がばくばくしてました。本当、足がいつ震えるかと……」
胸を押さえて言いながら手近なテーブルへと腰かける。
「これでまたお客さんが増えるといいね」
「そうですね」
収穫目前の畑を前にして途方に暮れていた時と比べると大した進歩だ。実岡は感慨深くなった。
「なあ藤森さん。農閑期になったら日帰りで温泉行こうか」
ずっと前にしていた約束を思い出して実岡は言った。
「いいですね、行きましょう行きましょう」
「石段登って、神社に行こう」
「おまんじゅうも食べたいです」
和やかな会話を交わす。後ろではベルナルドが営業に向けて準備をしている音がした。
思えばあやめとは出かけたことが一度もない。
温泉に行って、石段登って神社に行って、まんじゅうを食べて。
そうしたらこの気持ちを伝えよう、と実岡は心に決めた。
目の前で無邪気に笑う彼女は二ヶ月前に比べて少し太り、肌ツヤが良くなった。
うっすらと日に焼けた肌も、だんだん取れなくなって来ている指先の泥も、家で見せるちょっと気の抜けた姿も、全てが愛おしい。
この生活がいつまでも続くよう、実岡は二人の関係を変える一歩を踏み出す決意をした。
「群馬でイタリア人シェフなんて珍しいですね」
「それだけじゃないんです。そのお店は近くの農家が経営していて、有機野菜をふんだんに使ったお料理が頂けるんですよ。まさに地産地消!使用しているお野菜は店頭でも買えると言うことで、週末になると東京からのお客さんで行列ができるんです」
軽快なトークを交わしているのは今をときめくお笑い芸人と若手女優の二人組だ。
二人は群馬の片田舎の道をぶらぶらと歩きながら目的地へと向かう。
季節はすでに十月で空っ風が吹きすさぶこの土地は秋の気配が満ち満ちていた。夏は過ぎ去り、秋へと移ろうこの季節に二人は何もない田舎道を進んでいた。
「あっ、ありましたね。あちらが今話題のイタリアンレストラン!」
「へえ、おしゃれ!都内にあっても全然違和感がないですよ」
大仰な手振りのお笑い芸人の言葉に女優の方も相槌を打つ。
そこに建っていたのは確かに小洒落た雰囲気のレストランで周りからは浮いていた。
「早速中に入ってお話を伺ってみましょう」
二人はカメラマンやスタッフを引き連れて店へと入って行く。
「わ、石窯がありますね」
若手女優ははしゃいだ声で言った。窯の前ではちょうど焼きあがったピザが台の上に乗せられたところだった。腕をふるうのは長身のイケメンイタリア人シェフだ。
そして店にはミルクティーブラウンの髪にバッチリ化粧を施したあやめと、日に焼けた顔に爽やかな笑顔を浮かべる実岡が立っている。
「こんにちは、お話伺ってもよろしいでしょうか」
「はい」
お笑い芸人の質問にあやめは元気に答えた。
「こちらのお店、オープンして半年以上経つのに連日行列が途切れないとお伺いしました。秘密を聞いてもよろしいでしょうか?」
「丁寧に育てた野菜を惜しみなく使ったイタリアン料理が手頃な値段で食べられるのが人気の秘密です。地元の方々にリピートして頂けるよう、あえて値段は低めに設定しているんですけど、味は東京の一等地に出しているレストランにも引けを取りません。シェフのベルナルドはミラノで料理の修行をして、日比谷で腕をふるっていた人間なんですよ」
「へえ、それは素晴らしい経歴ですね。早速そのお料理をいただいてもよろしいでしょうか?」
「はい、是非とも」
あやめが言うと両手に皿を持ったベルナルドが笑顔で近づいてきた。
「ドウゾ、ピッツァマルゲリータとほうれん草とベーコンのペペロンチーノデス」
片言の日本語で言いながらお皿をテーブルへとサーブする。
お笑い芸人と女優の二人は早速料理を食べると目を見開き、大仰なリアクションをとった。
「このマルゲリータ、ソースのトマトの味が濃いですね!」
「ペペロンチーノは上に乗ったほうれん草がシャキシャキしていてとても美味しいです。ここまでお野菜を育てるのは大変なんじゃないですか?」
これに答えたのは実岡だ。
「土壌から改良して、化学肥料や農薬を使わずに丹精込めて育てた野菜です。大変ですけれどやりがいがありますし、こうして美味しいと言って食べてくださる人の顔を見ていると作ってよかったと感じます」
「なるほど。ここの野菜はこちらのお店でも買えるとか」
「はい、店頭に並んでますので是非ともお土産にどうぞ」
大きな掌で実岡が店の入り口を示した。二人は席を立って野菜を見始める。
「今の季節はハウス栽培なんですけど。トマトは枝で完熟したもの、ほうれん草は今朝採れたばかりのものを売っています」
「私、お土産に買っていこうかなー!」
「俺も相方に買っていこっと」
はしゃいだ声を上げる若手女優とお笑い芸人を見ながら、実岡はふと隣のあやめの姿を見た。彼女は取材用におめかしをしており、普段から可愛いが本日は五割増し可愛い。
店は順調な滑り出しとなり、店で使う分と店頭販売で随分と野菜が捌けた。
店の評判が上がり口コミが広がると、ネット販売の受注も増えて今や連日の完売となっている。
全部、彼女が来てくれたおかげだ。
実岡はあやめとの出会いに感謝した。
この半年間、極めて安定した天候でこの分なら冬の間の収穫も問題ないだろう。
「では現場からは以上です!」
お笑い芸人がそう言うと一気に空気が弛緩した。ありがとうございました、と皆で挨拶をする。
このまま帰るのかと思いきや、意外なことに芸人と女優は席に戻って食事を再開した。
「こんなに美味しい料理を残すのはもったいないですから、食べて帰ってもいいですか?」
「はい、是非どうぞ」
実岡は少し意外な気持ちがした。てっきり残すもんだとばかり思っていたからだ。二人は嬉しそうにマルゲリータとペペロンチーノを食べている。
「本当に美味しいですよ、このマルゲリータもペペロンチーノも」
「アリガトウゴザイマス」
ゆっくりとであるが日本語を覚えつつあるベルナルドがお辞儀をした。
「お二人で農園を始めたんですか?」
「いえ、初めは俺だけで。後から彼女が来たんです」
「へえ。で、奥様になられたと?」
「いえ、まだそういった関係には……」
「またまたぁ!」
お笑い芸人は笑いながら実岡のことを肘で小突く。実岡はどうしていいやら、苦笑いを浮かべた。
この二ヶ月間で実岡とあやめの関係はあまり変化を見せていない。店がオープンしたばかりで忙しかったし、農業の繁忙期とも重なっていた。最近ようやく暇ができたかなというところだ。
お笑い芸人と女優の食事も終わり、スタッフと話をしてから取材の人たちは帰っていった。
実岡はホッと一息つく。
「全国放送、しかも生放送の取材だなんて緊張した」
「私もですよ」
「そう?藤森さんは堂々としてたよ」
「内心では心臓がばくばくしてました。本当、足がいつ震えるかと……」
胸を押さえて言いながら手近なテーブルへと腰かける。
「これでまたお客さんが増えるといいね」
「そうですね」
収穫目前の畑を前にして途方に暮れていた時と比べると大した進歩だ。実岡は感慨深くなった。
「なあ藤森さん。農閑期になったら日帰りで温泉行こうか」
ずっと前にしていた約束を思い出して実岡は言った。
「いいですね、行きましょう行きましょう」
「石段登って、神社に行こう」
「おまんじゅうも食べたいです」
和やかな会話を交わす。後ろではベルナルドが営業に向けて準備をしている音がした。
思えばあやめとは出かけたことが一度もない。
温泉に行って、石段登って神社に行って、まんじゅうを食べて。
そうしたらこの気持ちを伝えよう、と実岡は心に決めた。
目の前で無邪気に笑う彼女は二ヶ月前に比べて少し太り、肌ツヤが良くなった。
うっすらと日に焼けた肌も、だんだん取れなくなって来ている指先の泥も、家で見せるちょっと気の抜けた姿も、全てが愛おしい。
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