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波、泡となりて②
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二、
魏徳賢―――高味根親雲上朝明が宿意のもと刃傷を負わされたという噂は、城の北殿はいうまでもなく、三平等から四町まで、城下を余すところなく広がっていた。
「なんたってあの高味根親雲上だ」
「いつかは刺されるだろうとは思っていたよ」
昼の市に降りればいつだって四町の女たちが群がり、夜の仲島を歩けば尾類はもちろん、楼主までもを大いに湧かせるのだから。
「それで。刺したのは男か、女か?」
三平等から一里一合ほど離れた四町を統べるは親見世。
唐栄からもそう遠くない場所に構えられたこの役所においても、若筆者から果ては掃除当の二才まで、問うてくるのはこの噂ばかりであった。
「あのぉ、いちおう、最初に刀を向けられたのは私だったのですが……」
「あゝ、聡伴殿。この度は災難でしたねぇ!」
あの晩、朝明のおかげで大した怪我もなく己煥の使用人に付き添われて帰宅した聡伴は、夜が明けると上がらない気持ちをどうにか取り持って親見世へ出勤したが、戸を立てるどころか薄絹さえも掛けられない人々の口唇にうんざりさせられるはめになった。
それから早五日が経つ。
「あの高味根親雲上の痴情の縺れに巻き込まれるなんて、なかなかできることじゃあないですよ。さすがでございます聡伴殿!」
「あのねぇ、君。あの人の色恋沙汰に巻き込まれても出世できるわけじゃないんだけど。あと痴情の縺れ痴情の縺れというけれど、あまり憶測でいうもんじゃあないよ。黙んなさい」
己を庇って傷を負ったばかりか不名誉な噂の種まで蒔いてしまったようで、聡伴はほんの少しだけ申し訳なく思い、舌までも縺れさせそうな勢いで「痴情の縺れ」を繰り返す二才の口を閉じさせる。
「今すぐ禄が上がるわけではなかろうが、少なくとも評定所の役人と高味根家にお前の名は売れたぞ」
「名前が売れても利を得たわけじゃないんですから、ちっとも嬉しかぁないですし・・・・・・この話よく飽きませんね」
世間はよほど面白き物に飢えているのか、若筆者たちのみならず上役である大屋子まで、聡伴が出勤するたび挨拶代わりのようにこの話を振るようになってもう数日である。
「それに、朝明殿ではなく私が狙いだったかもしれないじゃあないですか。まだ相手は捕らえられていないし……私は毎晩毎晩恐ろしくて、大人しく寝る以外のことができやしませんよ!」
あの闇夜のなかだ。当初の狙いがどちらだったかなぞわかりやしないのだが、結局のところ良くも悪くも夜歩きで名高い朝明が目的であったというのが、世間ひいては平等所と親見世の見方であった。
「暴漢に襲われたくらいで眠れなくなるわけなかろう。寝つきが悪くなるのは犯人のほうに決まっている」
「聡伴殿がしっかり寝ておられるようで安心いたしました」
「恐れながら、大屋子殿。本日は暇をいただいてもよろしいでしょうか。今は春や秋にくらべて見分する船の出入りが少ない時期ですし」
あのような出来事に巻き込まれたのだから、少しくらい暇をもらったとしても問題はなかろう、と久しぶりに怠け心が顔を出す。
「まあ、待て。陽が高いうちにたくさん働いたほうがより良い眠りを得られると清の医者が言っていた」
聡伴のうわごとは、本日勤め出ている者のなかで唯一の上役によって軽くたしなめられる。そこに「あゝ、そうだ」と厄介事が増えそうな枕詞も付け加えられた。
「今日は庚子の日であろう。御仮屋が奉行様方へ餅をご用意するそうだから、お前も御招請に同席して来なさい」
御仮屋―――在番仮屋には薩摩から下ってきた奉行やその附役、そして彼らとの折衝を担う士の役人らが詰めている。やれ顔合わせだの挨拶だの季節の行事だの、なにかにつけて、どこから取り寄せたのか考えるだけで頭が痛くなりそうな値の張りそうな菓子や茶酒を振る舞って奉行らの御機嫌を伺っており、御仮屋の目と鼻の先に詰所を設けている親見世も度々その御取持に付き合わされていた。
冬の寒さも冷え込む十二月の庚子の日は、月桃の葉で包んだ餅を厄祓いとして神仏に供え家族の健康を祈る。
本来、政にかかる催事ではないのだが、家内安全だろうが五穀豊穣だろうが御取持の言い訳となるのが役人の理である。御仮屋の折衝役である大和横目らは、今年も親見世から米を買い取ってありったけの餅をせっせと作らせていたらしい。
「おや、名我山殿じゃあないですか。ご無沙汰でしたね!」
御仮屋を訪ねた聡伴がさっそく出くわしたのは、五膳の料理と焼酎を前にだらしなく羽目を外す奉行らと、その傍らで瓦を喰わされたような顔をして取持の采配にあたっている林宗信こと名我山筑登之であった。
「これは・・・・・・永波間殿。お久しぶりです」
附役である在番役人のややうしろに控えている林宗信は、面白そうな顔こそしていなかったが、それとなく奉行らの箸の動きと酒の具合を見守り、ときに振られるたわいもない話に当たり障りのない言葉を返すなど、それなりに場を回しているようであった。もっとも、愛想を振りまくのは、在番らが連れてきた屋敷附きの女たちに任せきりのようであるが。
「えぇ、まことに。いつも御仮屋のあたりでお見かけはしておりましたが、こうして顔を合わせるのは初夏の帰帆以来ですね。確かあのときは、」
「ああ、私が買い付けた薬を図々しくも・・・・・・」
はて、根に持っているのだろうか。強奪したわけでもなければ、結局のところ聡伴は彼の薬からは手を引いたのだが。
「で、す、か、ら、その節は申し訳なく思います!軽く訊いただけだったんですよぉ!」
いつまでも蒸し返されては気を遣うではないか。面倒になった聡伴がやけくそに謝ってみると、林宗信は渋面をしながら一瞥をくれた。
「・・・・・・そうであるなら、まあ」
「名我山殿、くどいってよく言われません?」
「言われませんよ。それより―――」
先程は目線しかよこさなかったくせに、今度はしっかりと横にいる聡伴のほうへ向き直る。やもすれば生意気とも取れるその表情は、背の低い己を見下ろしているからであって、きっと悪気はないのだと聡伴は思うことにした。
「わざわざ御仮屋にいらしていただいたということは、この御人たちのお相手を手伝っていただけるということで?」
「それ、とても嫌な理屈だと思いません?」
「思いませんよ。あなたの運が悪かっただけです」
自分より幾分か歳下であるはずのこの二才をよくよく見上げてみると、決して華奢ではない体と顎周りにも関わらず、もったいないことに表は青白く、切れ長の目の下には立派な隈を拵えていた。日頃から横目や奉行らに振り回されているのであろうことが容易に想像できる。
「これはこれは、噂の永波間筑登之親雲上!」
何かにつけて親見世から大量の米を買い取っていく顔なじみの大和横目は、聡伴を見つけるや否や、重かろう腰をわざわざ上げて自身の傍へ呼びつけた。
「ご存じでしょうが、こちらは親見世筆者の永波間筑登之親雲上にございます。先日高味根親雲上に同行していた・・・・・・」
「おや、あなたは」
親見世にお勤めでしたか、とこちらへ顔を向けたのはこの秋に四町へ入った永山という附役で、仮屋や町の雑踏のなかでお互い軽く釈を交わしたことはあるものの、未だにかしこまった挨拶は交わしたことがなかった。この附役もやはり気になるのは朝明の一件らしく、聡伴への挨拶もそこそこに、さっそく話題をそれに移されてしまう。
「して、高味根親雲上の容体はいかがかな?示現流を相手に怪我程度で済んだとは、彼は意外と武芸の心得があるようだ」
「六人も続けて物騒なことに・・・・・・やはりあの噂はまことなのでしょうか」
附役の傍らで酒を継ぐ女も、相手の顔は如何様であったか、高味根親雲上の健闘ぶりはいかほどであったか、など、恰好の肴を見つけたとばかりに食いついてくる。いい加減このやりとりも飽きてきたところだ。己の上役、ましては若筆者などの二才であれば、ひとたび話題にするごとに米を一合ずつ差し出させているところであるが、今の相手は在番奉行の附役であった。
「ええ、まだ床から起き上がれないそうですが、夜ごとに代わる代わる見舞いに登ってくる辻や仲島の遊女らから聞いたところ、寝ているときはだいぶんお元気とのことですよ」
呆気にとられた女は空になったことにも気づかずに、聡伴を見つめたまましばらく酒器を猪口に傾け続けていたが、すぐに高膳へ戻し置くと、大きく手を叩きながら「楽しいお役人さんね!」などと息が切れそうに笑い出した。
「林宗信、酒を」
酒器を顔の前に掲げた永山に名指しで呼びつけられた林宗信は、それに返事をすることもなく酒を持ってくるよう台所へ命じた。
息を吹きかけると飛んでいくであろう糸屑のような目に加えて、面から背まで細長く、いかにも柔々としたこの永山という男を、聡伴はどうにも近寄りがたく感じるのだ。同じく親見世に勤めている年上の同僚は、それこそ屈強な身体つきをして早口で薩州の言葉を捲し立てる奉行や足軽らのほうが苦手だとこぼしていたが。
そうはいっても、せめて見知った附役の機嫌くらいはとってやるのが仕事であろうと、聡伴は台所の者たちに菓子を運ばせるよう伝え、大形な笑みを作りながら取持ちの席に加わったのである。
魏徳賢―――高味根親雲上朝明が宿意のもと刃傷を負わされたという噂は、城の北殿はいうまでもなく、三平等から四町まで、城下を余すところなく広がっていた。
「なんたってあの高味根親雲上だ」
「いつかは刺されるだろうとは思っていたよ」
昼の市に降りればいつだって四町の女たちが群がり、夜の仲島を歩けば尾類はもちろん、楼主までもを大いに湧かせるのだから。
「それで。刺したのは男か、女か?」
三平等から一里一合ほど離れた四町を統べるは親見世。
唐栄からもそう遠くない場所に構えられたこの役所においても、若筆者から果ては掃除当の二才まで、問うてくるのはこの噂ばかりであった。
「あのぉ、いちおう、最初に刀を向けられたのは私だったのですが……」
「あゝ、聡伴殿。この度は災難でしたねぇ!」
あの晩、朝明のおかげで大した怪我もなく己煥の使用人に付き添われて帰宅した聡伴は、夜が明けると上がらない気持ちをどうにか取り持って親見世へ出勤したが、戸を立てるどころか薄絹さえも掛けられない人々の口唇にうんざりさせられるはめになった。
それから早五日が経つ。
「あの高味根親雲上の痴情の縺れに巻き込まれるなんて、なかなかできることじゃあないですよ。さすがでございます聡伴殿!」
「あのねぇ、君。あの人の色恋沙汰に巻き込まれても出世できるわけじゃないんだけど。あと痴情の縺れ痴情の縺れというけれど、あまり憶測でいうもんじゃあないよ。黙んなさい」
己を庇って傷を負ったばかりか不名誉な噂の種まで蒔いてしまったようで、聡伴はほんの少しだけ申し訳なく思い、舌までも縺れさせそうな勢いで「痴情の縺れ」を繰り返す二才の口を閉じさせる。
「今すぐ禄が上がるわけではなかろうが、少なくとも評定所の役人と高味根家にお前の名は売れたぞ」
「名前が売れても利を得たわけじゃないんですから、ちっとも嬉しかぁないですし・・・・・・この話よく飽きませんね」
世間はよほど面白き物に飢えているのか、若筆者たちのみならず上役である大屋子まで、聡伴が出勤するたび挨拶代わりのようにこの話を振るようになってもう数日である。
「それに、朝明殿ではなく私が狙いだったかもしれないじゃあないですか。まだ相手は捕らえられていないし……私は毎晩毎晩恐ろしくて、大人しく寝る以外のことができやしませんよ!」
あの闇夜のなかだ。当初の狙いがどちらだったかなぞわかりやしないのだが、結局のところ良くも悪くも夜歩きで名高い朝明が目的であったというのが、世間ひいては平等所と親見世の見方であった。
「暴漢に襲われたくらいで眠れなくなるわけなかろう。寝つきが悪くなるのは犯人のほうに決まっている」
「聡伴殿がしっかり寝ておられるようで安心いたしました」
「恐れながら、大屋子殿。本日は暇をいただいてもよろしいでしょうか。今は春や秋にくらべて見分する船の出入りが少ない時期ですし」
あのような出来事に巻き込まれたのだから、少しくらい暇をもらったとしても問題はなかろう、と久しぶりに怠け心が顔を出す。
「まあ、待て。陽が高いうちにたくさん働いたほうがより良い眠りを得られると清の医者が言っていた」
聡伴のうわごとは、本日勤め出ている者のなかで唯一の上役によって軽くたしなめられる。そこに「あゝ、そうだ」と厄介事が増えそうな枕詞も付け加えられた。
「今日は庚子の日であろう。御仮屋が奉行様方へ餅をご用意するそうだから、お前も御招請に同席して来なさい」
御仮屋―――在番仮屋には薩摩から下ってきた奉行やその附役、そして彼らとの折衝を担う士の役人らが詰めている。やれ顔合わせだの挨拶だの季節の行事だの、なにかにつけて、どこから取り寄せたのか考えるだけで頭が痛くなりそうな値の張りそうな菓子や茶酒を振る舞って奉行らの御機嫌を伺っており、御仮屋の目と鼻の先に詰所を設けている親見世も度々その御取持に付き合わされていた。
冬の寒さも冷え込む十二月の庚子の日は、月桃の葉で包んだ餅を厄祓いとして神仏に供え家族の健康を祈る。
本来、政にかかる催事ではないのだが、家内安全だろうが五穀豊穣だろうが御取持の言い訳となるのが役人の理である。御仮屋の折衝役である大和横目らは、今年も親見世から米を買い取ってありったけの餅をせっせと作らせていたらしい。
「おや、名我山殿じゃあないですか。ご無沙汰でしたね!」
御仮屋を訪ねた聡伴がさっそく出くわしたのは、五膳の料理と焼酎を前にだらしなく羽目を外す奉行らと、その傍らで瓦を喰わされたような顔をして取持の采配にあたっている林宗信こと名我山筑登之であった。
「これは・・・・・・永波間殿。お久しぶりです」
附役である在番役人のややうしろに控えている林宗信は、面白そうな顔こそしていなかったが、それとなく奉行らの箸の動きと酒の具合を見守り、ときに振られるたわいもない話に当たり障りのない言葉を返すなど、それなりに場を回しているようであった。もっとも、愛想を振りまくのは、在番らが連れてきた屋敷附きの女たちに任せきりのようであるが。
「えぇ、まことに。いつも御仮屋のあたりでお見かけはしておりましたが、こうして顔を合わせるのは初夏の帰帆以来ですね。確かあのときは、」
「ああ、私が買い付けた薬を図々しくも・・・・・・」
はて、根に持っているのだろうか。強奪したわけでもなければ、結局のところ聡伴は彼の薬からは手を引いたのだが。
「で、す、か、ら、その節は申し訳なく思います!軽く訊いただけだったんですよぉ!」
いつまでも蒸し返されては気を遣うではないか。面倒になった聡伴がやけくそに謝ってみると、林宗信は渋面をしながら一瞥をくれた。
「・・・・・・そうであるなら、まあ」
「名我山殿、くどいってよく言われません?」
「言われませんよ。それより―――」
先程は目線しかよこさなかったくせに、今度はしっかりと横にいる聡伴のほうへ向き直る。やもすれば生意気とも取れるその表情は、背の低い己を見下ろしているからであって、きっと悪気はないのだと聡伴は思うことにした。
「わざわざ御仮屋にいらしていただいたということは、この御人たちのお相手を手伝っていただけるということで?」
「それ、とても嫌な理屈だと思いません?」
「思いませんよ。あなたの運が悪かっただけです」
自分より幾分か歳下であるはずのこの二才をよくよく見上げてみると、決して華奢ではない体と顎周りにも関わらず、もったいないことに表は青白く、切れ長の目の下には立派な隈を拵えていた。日頃から横目や奉行らに振り回されているのであろうことが容易に想像できる。
「これはこれは、噂の永波間筑登之親雲上!」
何かにつけて親見世から大量の米を買い取っていく顔なじみの大和横目は、聡伴を見つけるや否や、重かろう腰をわざわざ上げて自身の傍へ呼びつけた。
「ご存じでしょうが、こちらは親見世筆者の永波間筑登之親雲上にございます。先日高味根親雲上に同行していた・・・・・・」
「おや、あなたは」
親見世にお勤めでしたか、とこちらへ顔を向けたのはこの秋に四町へ入った永山という附役で、仮屋や町の雑踏のなかでお互い軽く釈を交わしたことはあるものの、未だにかしこまった挨拶は交わしたことがなかった。この附役もやはり気になるのは朝明の一件らしく、聡伴への挨拶もそこそこに、さっそく話題をそれに移されてしまう。
「して、高味根親雲上の容体はいかがかな?示現流を相手に怪我程度で済んだとは、彼は意外と武芸の心得があるようだ」
「六人も続けて物騒なことに・・・・・・やはりあの噂はまことなのでしょうか」
附役の傍らで酒を継ぐ女も、相手の顔は如何様であったか、高味根親雲上の健闘ぶりはいかほどであったか、など、恰好の肴を見つけたとばかりに食いついてくる。いい加減このやりとりも飽きてきたところだ。己の上役、ましては若筆者などの二才であれば、ひとたび話題にするごとに米を一合ずつ差し出させているところであるが、今の相手は在番奉行の附役であった。
「ええ、まだ床から起き上がれないそうですが、夜ごとに代わる代わる見舞いに登ってくる辻や仲島の遊女らから聞いたところ、寝ているときはだいぶんお元気とのことですよ」
呆気にとられた女は空になったことにも気づかずに、聡伴を見つめたまましばらく酒器を猪口に傾け続けていたが、すぐに高膳へ戻し置くと、大きく手を叩きながら「楽しいお役人さんね!」などと息が切れそうに笑い出した。
「林宗信、酒を」
酒器を顔の前に掲げた永山に名指しで呼びつけられた林宗信は、それに返事をすることもなく酒を持ってくるよう台所へ命じた。
息を吹きかけると飛んでいくであろう糸屑のような目に加えて、面から背まで細長く、いかにも柔々としたこの永山という男を、聡伴はどうにも近寄りがたく感じるのだ。同じく親見世に勤めている年上の同僚は、それこそ屈強な身体つきをして早口で薩州の言葉を捲し立てる奉行や足軽らのほうが苦手だとこぼしていたが。
そうはいっても、せめて見知った附役の機嫌くらいはとってやるのが仕事であろうと、聡伴は台所の者たちに菓子を運ばせるよう伝え、大形な笑みを作りながら取持ちの席に加わったのである。
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