73 / 82
最終章 夜に咲く花
北の空
しおりを挟む
榎本という男は、面白い。戊辰の戦乱の最後の最後に彗星のように現れ、戦いを生き延び、二年半牢に入り、その才を買われ赦されて出たあとは、駐ロシア全権特命公使としてサハリンを巡る条約の締結に尽力し、北海道の開拓を担い、逓信大臣や文部大臣などを歴任し、最終的には枢密顧問官で子爵、海軍中将にまでなる。
ひとつには、その才能。榎本は、頭がいいどころの騒ぎではないくらいの頭脳を持っていたし、学問一辺倒にならず、たとえば土方のような男相手でも諧謔を交えながら広く付き合うことができる懐の深さを持っていた。留学経験により外国の言語や事情に精通し、更に科学の素養をも持ち、そして船の上で何度も新政府軍に煮え湯を飲ませた戦争屋でもある。
なにをやらせても、できる。要領がよいのであろう。天才の中でも、珍しい天才であるように思う。また、天才は、ただ天才であるだけでは、天才たりえぬ。自らの才を知り、ひたむきに研鑽を重ねた者のみが、世に寄与する何かを成すことができる。そういう意味では、鍛え上げられた一般人という見方もできなくはない。
慶応から明治に元号は変わり、九月も半ばになったこの日、正式に仙台藩の方針が決定する前にも、土方に、気さくに話しかけてきた。
「土方君。どうだね」
土方は、座ったままちょっと会釈をして、答えた。
「どう、とは」
「調子は、どうだね」
「別に、ふつうです」
自分の調子を聞いて、どうするのだろう、と土方は思った。
「西洋じゃあ、このようなとき、まず、相手のご機嫌伺いをするものさ」
日本にも、ある。そう土方は、思った。しかし、西洋人は、知っている相手でついこの前話したばかりでも、いちいちそれをするというのか。だとすれば妙な話である。そう思うと、ちょっと笑えた。
「よし、いいな。笑えている。何よりだ。そのまま」
榎本の話し方が、土方はちょっと好きだった。なにか、独特の拍子があるように思う。祭りの囃子に、似ているのかもしれない。
「そのまま、笑っていろ。いいか」
と榎本は切り出した。
「仙台は、もう駄目だ」
「駄目とは、降伏のことですか」
「その通りだ。おっと、笑うのを、やめるな。仙台の腰砕けごときに、いちいち顔を動かすな。君ほどの男が、勿体ない」
土方は、榎本を、どちらかと言えば好きな男の部類に入るのかもしれない、と思った。たとえば、大鳥のように居丈高で自らの功を誇ることもなく、自信のないのを人や状況のせいにはしない。ただ、話し方がまどろっこしい。
「いいから、早く言ってもらえませんか」
ついに笑顔をやめて不機嫌になると、榎本が笑った。
「済まん。まず、今日の軍儀は、もう駄目だ。初めから、決まった筋道に沿って進む。それは、すなわち、我々が仙台を説得するためにあれこれ苦心をしなくてもよくなった、ということだ。面倒が、一つなくなったな。ここまでは、いいかね」
「概ね」
土方は、再び吹き出しそうになってきた。全く、妙な男である。
「よし。では、次。あんた、仙台が駄目なら、どうする気だね」
「さて。この地の果てまで行って、そこで、斬り死にですか」
「いいね、悪くない。では、この地の果てを、見に行かないか」
「あんたと?」
共に、死のうという意味かと土方は思った。別にいいが、土方には榎本と共に死んでやる理由がない。
ところが、違った。
「蝦夷地さ」
「えぞち?」
無論、土方も蝦夷地くらいは知っている。しかし、もしかしたら、えぞち、と口に出して発音したのは、このときが生まれて初めてであるかも知れぬ。
蝦夷地とは、言わずもがな、北海道のことである。この時点で、すでに箱館奉行が置かれ、街が拓かれている。蝦夷地は、いちおう幕府の直轄地となっていた。しかし、蝦夷地という場所の、当時の人々の心理的距離は、たとえばアラスカと言うに等しいであろう。アラスカに行こうと思えば、飛行機に乗ればよいわけだから、行けぬことはない。しかし、アラスカに住め、と言われると、なぜわざわざ、と誰もが思うであろうし、理由なく移住する人は稀であろう。
このときの土方の気持ちも、それに似ている。
「なぜ、蝦夷地へ」
「お、いいねェ。乗ってきた。いいかい、俺ァ――」
と、土方の好むであろう尻の上がった江戸言葉になり、長ったらしい説明を始めた。
「――前々から、蝦夷地だ。そう思ってたンだ。あそこは、土地が広く、土は豊かで、石炭なんかもある。土地を拓けば、畑も牧も作れる。冬は厳しいが、なに、ヨーロッパの冬と、そう変わらん」
「その蝦夷地へ行って、どうする」
土方が、食いついた。榎本は、わざと焦らすように、部屋の床を軍靴が叩く音を立てながら、歩いた。土方に、ちょうど背を向ける格好になり、そして一気に振り向く。
「国を、作る」
あぁ、この男は、ちょっと馬鹿なのだ。そう思った。振り返った榎本の眼に、近藤のような真実の光があるのを見たのだ。
「まず箱館を奪う。海峡を封鎖し、諸外国に、我々こそこの国の正統な政権であること、いや、そこまではいかなくとも、独立した政権であることを認めさせる。蝦夷地があれば、それだけで、民と兵を十分に養い、栄えさせることができる」
土方は、何も言わない。
「そうして、数年耐えてみろ。我々は、大きくなる。奴らは、自らが手にした、幕府時代のこの日本そのものを支えるのに精一杯になっているはずだ。下手をすれば、今我らの喉に刃を付けて喜んでいる者の中から、叛く者も出るであろう。仮に明日我らが滅んだとしても、俺ァ、戦いは、あと十年は続くと思ってる。それさえ、凌げば」
土方は、段々、榎本の言葉を求めるようになってきた。
「凌げば、どうなる」
「もう、誰も、我らに手出しはできなくなっている。奴らは奴ら、俺達ァ、俺達だ。別の国として、やっていくさ。ほとぼりがさめ、奴らが望むなら、条約を結んでやってもいい」
土方は、開いた口が塞がらないという顔をしている。
「どうだい、ただ斬り合って死ぬより、面白い生き方だと、思わねェかい、副長さん」
胸から懐中時計を取り出し、おっと、もうこんな時間か、私は先に登城しているよ。といつもの口調に戻って、榎本は去ろうとした。去り際、
「私は、そのようなことを、考えている。君も、このことについて、考えてみてくれたまえ」
と言い残した。軍儀の場に、土方も同席することになっている。無論出席はしたが、誰が何を言っているのか、ほとんど頭の中に入ってこない。土方の頭の中には、先程の榎本の言葉が、何度も繰り返し響いていた。
それだけではない。まずは、箱館だ。どうやって、箱館を落とすか。そのことを、考えていた。地形も知らなければ敵も知らぬ。何人の味方がいるのかも知らぬ。
しかし、土方はすでに、箱館を奪う気で、考えていた。
「退屈な席だったな」
旧幕府軍は、新政府の仙台入りの前に、どこかへ退去することに決まった。会津はまだ陥ちずに戦っているが、あと一月というところであろう。それまでに、できるだけの準備をする。
城の広間から下がり、榎本が、土方にまた歩み寄ってきた。
「土方君」
「また、あんたか」
「ずっと、上の空だったな」
いたずらっぽく笑った。珍しく、土方もそれに答えて笑った。
「いや、北の空さ」
これで、決まった。
「あんた、大鳥さんと親しかったな」
大鳥と榎本は、安政の頃、共に学んだ仲でもある。
「あの男を、すぐ呼んでくれ。ありったけの兵を連れて来いと」
江戸から、北へ。宇都宮で戦い、近藤が死に、宇都宮で負け、さらに北へ。会津に着いた頃、たぶん沖田も死に、戦い、白河と母成峠でまた負け、更に北の仙台へ。斎藤は、まだ会津で戦っている。もしかすると、死んだかもしれない。いや、斎藤のことである、さんざんに新政府軍を悩ませているに違いない。
この国で生きていく場所など、どこにもない。だから、死ぬのではなく、生きる場所を作る。
考えたこともなかった。
「やっぱり、あんたは馬鹿らしい」
榎本の顔を見て、真顔で言った。榎本には、その意味が通じたらしく、笑って、また、例の手を差し出す挨拶を求めてきた。
こんどは、土方は、すんなりとそれに応じた。
――近藤さん。俺は、もう少し、生きてみる。見ていろ。あんたを、斬首に処せられた悪人のままにはしない。俺が、あんたを守る。
土方の、新撰組の、最後の戦いの地へ。
ひとつには、その才能。榎本は、頭がいいどころの騒ぎではないくらいの頭脳を持っていたし、学問一辺倒にならず、たとえば土方のような男相手でも諧謔を交えながら広く付き合うことができる懐の深さを持っていた。留学経験により外国の言語や事情に精通し、更に科学の素養をも持ち、そして船の上で何度も新政府軍に煮え湯を飲ませた戦争屋でもある。
なにをやらせても、できる。要領がよいのであろう。天才の中でも、珍しい天才であるように思う。また、天才は、ただ天才であるだけでは、天才たりえぬ。自らの才を知り、ひたむきに研鑽を重ねた者のみが、世に寄与する何かを成すことができる。そういう意味では、鍛え上げられた一般人という見方もできなくはない。
慶応から明治に元号は変わり、九月も半ばになったこの日、正式に仙台藩の方針が決定する前にも、土方に、気さくに話しかけてきた。
「土方君。どうだね」
土方は、座ったままちょっと会釈をして、答えた。
「どう、とは」
「調子は、どうだね」
「別に、ふつうです」
自分の調子を聞いて、どうするのだろう、と土方は思った。
「西洋じゃあ、このようなとき、まず、相手のご機嫌伺いをするものさ」
日本にも、ある。そう土方は、思った。しかし、西洋人は、知っている相手でついこの前話したばかりでも、いちいちそれをするというのか。だとすれば妙な話である。そう思うと、ちょっと笑えた。
「よし、いいな。笑えている。何よりだ。そのまま」
榎本の話し方が、土方はちょっと好きだった。なにか、独特の拍子があるように思う。祭りの囃子に、似ているのかもしれない。
「そのまま、笑っていろ。いいか」
と榎本は切り出した。
「仙台は、もう駄目だ」
「駄目とは、降伏のことですか」
「その通りだ。おっと、笑うのを、やめるな。仙台の腰砕けごときに、いちいち顔を動かすな。君ほどの男が、勿体ない」
土方は、榎本を、どちらかと言えば好きな男の部類に入るのかもしれない、と思った。たとえば、大鳥のように居丈高で自らの功を誇ることもなく、自信のないのを人や状況のせいにはしない。ただ、話し方がまどろっこしい。
「いいから、早く言ってもらえませんか」
ついに笑顔をやめて不機嫌になると、榎本が笑った。
「済まん。まず、今日の軍儀は、もう駄目だ。初めから、決まった筋道に沿って進む。それは、すなわち、我々が仙台を説得するためにあれこれ苦心をしなくてもよくなった、ということだ。面倒が、一つなくなったな。ここまでは、いいかね」
「概ね」
土方は、再び吹き出しそうになってきた。全く、妙な男である。
「よし。では、次。あんた、仙台が駄目なら、どうする気だね」
「さて。この地の果てまで行って、そこで、斬り死にですか」
「いいね、悪くない。では、この地の果てを、見に行かないか」
「あんたと?」
共に、死のうという意味かと土方は思った。別にいいが、土方には榎本と共に死んでやる理由がない。
ところが、違った。
「蝦夷地さ」
「えぞち?」
無論、土方も蝦夷地くらいは知っている。しかし、もしかしたら、えぞち、と口に出して発音したのは、このときが生まれて初めてであるかも知れぬ。
蝦夷地とは、言わずもがな、北海道のことである。この時点で、すでに箱館奉行が置かれ、街が拓かれている。蝦夷地は、いちおう幕府の直轄地となっていた。しかし、蝦夷地という場所の、当時の人々の心理的距離は、たとえばアラスカと言うに等しいであろう。アラスカに行こうと思えば、飛行機に乗ればよいわけだから、行けぬことはない。しかし、アラスカに住め、と言われると、なぜわざわざ、と誰もが思うであろうし、理由なく移住する人は稀であろう。
このときの土方の気持ちも、それに似ている。
「なぜ、蝦夷地へ」
「お、いいねェ。乗ってきた。いいかい、俺ァ――」
と、土方の好むであろう尻の上がった江戸言葉になり、長ったらしい説明を始めた。
「――前々から、蝦夷地だ。そう思ってたンだ。あそこは、土地が広く、土は豊かで、石炭なんかもある。土地を拓けば、畑も牧も作れる。冬は厳しいが、なに、ヨーロッパの冬と、そう変わらん」
「その蝦夷地へ行って、どうする」
土方が、食いついた。榎本は、わざと焦らすように、部屋の床を軍靴が叩く音を立てながら、歩いた。土方に、ちょうど背を向ける格好になり、そして一気に振り向く。
「国を、作る」
あぁ、この男は、ちょっと馬鹿なのだ。そう思った。振り返った榎本の眼に、近藤のような真実の光があるのを見たのだ。
「まず箱館を奪う。海峡を封鎖し、諸外国に、我々こそこの国の正統な政権であること、いや、そこまではいかなくとも、独立した政権であることを認めさせる。蝦夷地があれば、それだけで、民と兵を十分に養い、栄えさせることができる」
土方は、何も言わない。
「そうして、数年耐えてみろ。我々は、大きくなる。奴らは、自らが手にした、幕府時代のこの日本そのものを支えるのに精一杯になっているはずだ。下手をすれば、今我らの喉に刃を付けて喜んでいる者の中から、叛く者も出るであろう。仮に明日我らが滅んだとしても、俺ァ、戦いは、あと十年は続くと思ってる。それさえ、凌げば」
土方は、段々、榎本の言葉を求めるようになってきた。
「凌げば、どうなる」
「もう、誰も、我らに手出しはできなくなっている。奴らは奴ら、俺達ァ、俺達だ。別の国として、やっていくさ。ほとぼりがさめ、奴らが望むなら、条約を結んでやってもいい」
土方は、開いた口が塞がらないという顔をしている。
「どうだい、ただ斬り合って死ぬより、面白い生き方だと、思わねェかい、副長さん」
胸から懐中時計を取り出し、おっと、もうこんな時間か、私は先に登城しているよ。といつもの口調に戻って、榎本は去ろうとした。去り際、
「私は、そのようなことを、考えている。君も、このことについて、考えてみてくれたまえ」
と言い残した。軍儀の場に、土方も同席することになっている。無論出席はしたが、誰が何を言っているのか、ほとんど頭の中に入ってこない。土方の頭の中には、先程の榎本の言葉が、何度も繰り返し響いていた。
それだけではない。まずは、箱館だ。どうやって、箱館を落とすか。そのことを、考えていた。地形も知らなければ敵も知らぬ。何人の味方がいるのかも知らぬ。
しかし、土方はすでに、箱館を奪う気で、考えていた。
「退屈な席だったな」
旧幕府軍は、新政府の仙台入りの前に、どこかへ退去することに決まった。会津はまだ陥ちずに戦っているが、あと一月というところであろう。それまでに、できるだけの準備をする。
城の広間から下がり、榎本が、土方にまた歩み寄ってきた。
「土方君」
「また、あんたか」
「ずっと、上の空だったな」
いたずらっぽく笑った。珍しく、土方もそれに答えて笑った。
「いや、北の空さ」
これで、決まった。
「あんた、大鳥さんと親しかったな」
大鳥と榎本は、安政の頃、共に学んだ仲でもある。
「あの男を、すぐ呼んでくれ。ありったけの兵を連れて来いと」
江戸から、北へ。宇都宮で戦い、近藤が死に、宇都宮で負け、さらに北へ。会津に着いた頃、たぶん沖田も死に、戦い、白河と母成峠でまた負け、更に北の仙台へ。斎藤は、まだ会津で戦っている。もしかすると、死んだかもしれない。いや、斎藤のことである、さんざんに新政府軍を悩ませているに違いない。
この国で生きていく場所など、どこにもない。だから、死ぬのではなく、生きる場所を作る。
考えたこともなかった。
「やっぱり、あんたは馬鹿らしい」
榎本の顔を見て、真顔で言った。榎本には、その意味が通じたらしく、笑って、また、例の手を差し出す挨拶を求めてきた。
こんどは、土方は、すんなりとそれに応じた。
――近藤さん。俺は、もう少し、生きてみる。見ていろ。あんたを、斬首に処せられた悪人のままにはしない。俺が、あんたを守る。
土方の、新撰組の、最後の戦いの地へ。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
新撰組のものがたり
琉莉派
歴史・時代
近藤・土方ら試衛館一門は、もともと尊王攘夷の志を胸に京へ上った。
ところが京の政治状況に巻き込まれ、翻弄され、いつしか尊王攘夷派から敵対視される立場に追いやられる。
近藤は弱気に陥り、何度も「新撰組をやめたい」とお上に申し出るが、聞き入れてもらえない――。
町田市小野路町の小島邸に残る近藤勇が出した手紙の数々には、一般に鬼の局長として知られる近藤の姿とは真逆の、弱々しい一面が克明にあらわれている。
近藤はずっと、新撰組を解散して多摩に帰りたいと思っていたのだ。
最新の歴史研究で明らかになった新撰組の実相を、真正面から描きます。
主人公は土方歳三。
彼の恋と戦いの日々がメインとなります。
土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
忍者同心 服部文蔵
大澤伝兵衛
歴史・時代
八代将軍徳川吉宗の時代、服部文蔵という武士がいた。
服部という名ではあるが有名な服部半蔵の血筋とは一切関係が無く、本人も忍者ではない。だが、とある事件での活躍で有名になり、江戸中から忍者と話題になり、評判を聞きつけた町奉行から同心として採用される事になる。
忍者同心の誕生である。
だが、忍者ではない文蔵が忍者と呼ばれる事を、伊賀、甲賀忍者の末裔たちが面白く思わず、事あるごとに文蔵に喧嘩を仕掛けて来る事に。
それに、江戸を騒がす数々の事件が起き、どうやら文蔵の過去と関りが……
夢の終わり ~蜀漢の滅亡~
久保カズヤ
歴史・時代
「───────あの空の極みは、何処であろうや」
三国志と呼ばれる、戦国時代を彩った最後の英雄、諸葛亮は五丈原に沈んだ。
蜀漢の皇帝にして、英雄「劉備」の血を継ぐ「劉禅」
最後の英雄「諸葛亮」の志を継いだ「姜維」
── 天下統一
それを志すには、蜀漢はあまりに小さく、弱き国である。
国を、民を背負い、後の世で暗君と呼ばれることになる劉禅。
そして、若き天才として国の期待を一身に受ける事になった姜維。
二人は、沈みゆく祖国の中で、何を思い、何を目指し、何に生きたのか。
志は同じであっても、やがてすれ違い、二人は、離れていく。
これは、そんな、覚めゆく夢を描いた、寂しい、物語。
【 毎日更新 】
【 表紙は hidepp(@JohnnyHidepp) 様に描いていただきました 】
魔斬
夢酔藤山
歴史・時代
深淵なる江戸の闇には、怨霊や妖魔の類が巣食い、昼と対なす穢土があった。
その魔を斬り払う闇の稼業、魔斬。
坊主や神主の手に負えぬ退魔を金銭で請け負う江戸の元締は関東長吏頭・浅草弾左衛門。忌むべき身分を統べる弾左衛門が最後に頼るのが、武家で唯一の魔斬人・山田浅右衛門である。昼は罪人の首を斬り、夜は怨霊を斬る因果の男。
幕末。
深い闇の奥に、今日もあやかしを斬る男がいる。
2023年オール讀物中間発表止まりの作品。その先の連作を含めて、いよいよ御開帳。
曹操桜【曹操孟徳の伝記 彼はなぜ天下を統一できなかったのか】
みらいつりびと
歴史・時代
赤壁の戦いには謎があります。
曹操軍は、周瑜率いる孫権軍の火攻めにより、大敗北を喫したとされています。
しかし、曹操はおろか、主な武将は誰も死んでいません。どうして?
これを解き明かす新釈三国志をめざして、筆を執りました。
曹操の徐州大虐殺、官渡の捕虜虐殺についても考察します。
劉備は流浪しつづけたのに、なぜ関羽と張飛は離れなかったのか。
呂布と孫堅はどちらの方が強かったのか。
荀彧、荀攸、陳宮、程昱、郭嘉、賈詡、司馬懿はどのような軍師だったのか。
そんな謎について考えながら描いた物語です。
主人公は曹操孟徳。全46話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる