女王の名

増黒 豊

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第十一章 噴き火

負けぬ者が、勝つ

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 マヒロとナナシが軍の編成を素早く決め、コウラが使いを出して召集をし、軍編成がいよいよ始まった。
 イシの地には、マヒロ。サザレの地には、オオミがゆく。カイはヤマトに残る。サザレの地はそのもともとの兵力は相討ちのような形でオオミ、カイの兄弟に撃滅され、その後にその地を保持できる最小限の兵を入れただけだから、その兵力は五百ほどでしかない。マヒロが向かうイシの地も同じで、こちらは兵数はやや多く、千ほどか。
 どちらも、マヒロとオオミ両軍の兵のみで片付けられる。このとき、マヒロは三千、オオミは二千五百の兵を率いてそれぞれ発った。
 もし、これがクナの差し金なのであれば、その背後にクナの兵が控えていることも考えられる。タクの差し金なのであれば、両軍の留守をついて、必ず何か起こるはずである。ヤマトに閉じ籠らずにあえて打って出たのは、他の諸地域の目を憚ってのことである。ここでヤマトが守りに専一となれば、もはや頼むに足らずと、その他の地域でもクナに寝返るものが出てくるかもしれない。そうなれば、あちこちに火消しに奔走しなければならず、その泥沼の中でヤマトが自壊するのは目に見えている。
 今なら、まだ戦いに出られる。そして、完膚なきまでに撃滅することで、他の地域に改めて無言の圧力を加えられる。おかしなもので、つい最近までクナはもともとヤマトではなかったのに、一度手に入れたものが離れたとなれば、世情は一気に不安になるらしい。ヤマトは、クナを手に入れてしまったことによって、本来配らなくてもよい所にまで、繊細に気を配らなければならなくなった。
 そののための兵が、集まった。マヒロはヤマトから、オオミは自らの治めるキヅの地で兵を集め、それぞれ発った。
 マヒロは、オオトへ出、北へ。オオミは、キヅの北に広がる広大な盆地を越え、山へ入る。
 マヒロが、当然地理的に近いイシの地に先に入った。
 ナナシの顔色が、よくない。
「どうした」
 マヒロが、それに気付いた。
「なんでもありません」
「何かあるなら、言ってみろ」
「とても、怖い」
「怖れることはない。敵は少ない」
「違うのです」
「不安か」
 不安に駈られやすいのは、むしろ軍師として適した性格と言ってよい。
「お前の策があれば、必ず勝てる」
 マヒロは、励ましてやった。
「それとは、別のことです」
「なんだ」
「わかりません」
 ナナシのどこかの部分が、何かを激しく怖れていることだけは分かった。しかし、その正体が分からぬ以上、どうしようもない。ナナシは、不安を振り切るように、
「申し訳ありません。今は、眼前の戦いに、集中します」
 と目を細めた。
 敵の軍のおよその規模などは分かるし、その指揮者も分かる。何故叛いた、などと考えるのはもはや無駄であろう。今のところ、クナの気配もない。仮にクナが控えていたとしても、その前に一呑みにしてしまえる。
 マヒロは、愛馬黒雷を進めた。
「呑み込め!」
 矛を降り下ろし、号令した。都邑とゆうの東で展開した軍は、一直線に進撃を始める。都邑からそれに応じるように、イシの兵がばらばらと出てきて素早く陣を組んだ。密集している。ヤマトの来襲に既に備えており、この突撃を受けるつもりであるということだ。
 先頭と、ぶつかった。マヒロの矛にかかったものは、簡単に吹き飛ばされる。マヒロは、鬼のように、あるいは神のように矛を振るった。黒雷は、速い。馬の中でもひときわ速い上に、そもそも馬というものに慣れていないこの時代の兵は、殆ど反応することもできない。敵の兵にしてみれば、気づけば前方の者が、隣の者が、あるいは自らが、死骸になっているような具合であった。
 散々に陣をかき乱すと、マヒロは兵を引いた。以前に戦ったときに、地形を深く脳裏に刻み込んでいた。海側に回り込み、南から、この細長い戦場をイシの堅い陣ごと山側に押し上げてゆく。
 すぐ、山にぶつかる。イシの兵は山を背にして、またも守りを固める姿勢を取った。
 その背後の山から、ヤマトの兵が湧き出た。高所から、一斉に矢を射込む。ナナシがそこに兵を伏せておいたのだ。
 背後から矢を射込まれると、たちまち敵兵は混乱する。密集している分、その効果は高い。留まろうとする者、逃げる者がぶつかり、陣が乱れる。
 マヒロは、その乱れの中に、狙うべき点を見た。手を、差し出す。その手に、弓が渡される。この天地で最も長く、大きな弓。その弓に、この天地で最も長く、大きな矢がつがえられる。
 弧を描く。
 口の端に、矢があてがわれる。
 息が、細くなる。
 その目は、何を見ているのか。
 分からぬが、マヒロの指から、矢が離れた。
 凄まじい唸りを上げ、それは飛んだ。
 意思を持っているように、飛んだ。
 遥か遠く、指揮官らしき首が飛ぶのを、細めた視界の中で見た。
 
 後方が、揺れた。
 突如現れた船団から、矢が射込まれてきた。
 クナが、来たか。
 マヒロが、馬を返そうとした。
「いけません」
 ナナシが、止めた。
「前方の敵と、挟み撃ちになります」
「では、どうする。前はコウラ、後ろはおれか」
「軍を分けるのも、いけません。前の軍を、先に飲み込んでしまうのです」
 前の軍に、速やかに攻めかかった。なるほど、指揮官を討ったとはいえ、船団の来着を知ったイシ兵は勢いづき、体勢を整えようとしていた。しかし、火の玉になり突進してくる百の騎馬隊と、三千弱の歩兵には敵わない。
「力で押せ!押すのだ!」
 マヒロは、怒号を続けた。イシの兵は、見る見る減ってゆく。後ろの船団からは、兵が続々と陸に上がってきている。偵知することも、全くできなかった。いつ、イヅモを出たのかも分からぬ。そもそも、イヅモが面する海は、このイシの地から反対の海である。では、この船団はどこから来たのか。
 考えても、仕方がない。上陸した歩兵から、再び矢が射かけられてくる。マヒロの兵の後列が、削れた。
 前方の陣を突き破った。それは、ほぼ壊滅した。
 マヒロは、そのまま馬を返した。
 船から上がってきた敵に殺到する。
 矢の雨の中を駆けた。敵は、とことんまで矢を放つつもりらしく、二の矢、三の矢も来た。
 ナナシが、声を上げて落馬した。馬に乗れるようになってはいるが、マヒロの選んでやった大人しい馬に乗っており、馬の扱いは得意ではない。
 ナナシが、自軍の歩兵の海の中に消えた。マヒロには、それを顧みる余裕はない。海から上がってきた兵に突入する。敵は、更に千ほどか。黒雷を海に沿うように駆けさせ、戦った。こちらも大分磨り減っているが、敵の損耗の方が激しい。
 しかし、兵とは、補充にひどく手間と時間がかかる。戦いはこの一回では終わらぬかもしれないから、できれば、兵を失いたくない。マヒロは、兵を損なわぬように戦おうとした。どうすればいいのか。ナナシは、側にいない。ナナシなら、どう考えるのか。
 マヒロは、コウラに耳打ちをすると、敵の陣を海沿いに東西に突っ切った。そのまま、北の山の方へ向かった。騎馬も、歩兵も、あとに続いてくる。
 歩兵は、山に入った。騎馬は、山の両脇で左右に散開し、いなくなった。
 敵はヤマト軍の突然の行動に戸惑いを見せた。山に入った兵を追おうにも、明らかな危険がある。両脇に駆け去った騎馬も、どこに行ったのか分からぬ。
 そこへ、山から歩兵が躍り出てきた。一気に襲いかかる。敵は、応戦の構えを示した。戦っているうちに、大回りに回ってきた騎馬が、背後を襲うつもりだ、と敵は思ったらしく、背後にも備えをしている。戦いの仕方は、堅実である。
 都邑に、煙が上がった。まさか、という気配が、敵を包んだ。マヒロの騎馬が東に回り、歩兵が敵を引き付けているうちに、騎馬隊の半分を預かって西に駆け去ったコウラが、戦場を迂回せずそのまま都邑に入っていた。
 一直線に候の館を目指し、火をかけた。民に、逃げよ逃げよ、とわめき立てながら、家屋などにも火をかけた。
 敵に、明らかな動揺が走った。イシの軍は既に壊滅し、都邑もとされてしまった。恐らくクナの軍であることは間違いないであろうが、この海から上がってきた軍には、もはや戦う理由がないのである。
 側面から、衝撃。マヒロの騎馬隊。数は五十でも、その突進力が動揺が走る軍に与える衝撃は甚だしい。
 マヒロは、再び矛を振るった。
 薙ぎ払い、叩きつけ、突き刺し、駆けた。
 前方、煙の上がる都邑から、一筋の線。
 コウラの騎馬隊。
 敵陣を突き抜け、そのままコウラの騎馬隊を収容する。反転し、更に突き入る。
 山側からの歩兵の圧力も、一気に強まった。
 敵の陣が、壊れる気配がした。一人が逃げると次々とそれは続き、やがて全軍が崩壊した。一目散に、海に向けて逃げてゆく。
 追撃を命じたが、深追いはしない。船に兵を収容する間に敷かれる防衛線は、堅いはずである。適当なところで、軍を留めた。
 ――ナナシは。
 マヒロは、あたりを見回した。黒雷を走らせ、ナナシが馬から落ちたあたりを見に行った。
 いた。木の陰に腰掛けている。肩に矢を受けたらしい。側に付き添うようにナナシの栗毛の馬がおり、マヒロと黒雷を見て、耳を一度回した。
「マヒロ様」
 ナナシの声が聴こえた。
「痛むか」
 マヒロは黒雷から降り、傷を見た。肩に一本、深々と矢が突き立っているが、骨などには障りはなさそうである。
「こらえろ」
 ナナシは、自らの口に、覆面を押し込んだ。マヒロが力を一気に込めると、矢尻が肩を突き抜け、反対側に出た。ナナシは必死に堪えたが、呻きをどうすることもできない。
 マヒロはその矢を折り、抜いてやった。
「陣に戻れば、薬を持たせてある。立てるか」
 ナナシが、苦痛に顔を歪め、立ち上がった。マヒロはそれを抱き上げ、馬の背に載せてやった。主人を取り戻した栗毛の馬は、満足そうな顔をしている。マヒロも黒雷にまたがり、歩ませた。黒雷は事態を察しているのか、しきりに栗毛の馬の歩調を気にし、無理に駆けようとはしない。一歩揺られるごとに肩に激痛が走るらしいが、ナナシは兵の目を気にして、陣が近づくにつれて背筋を伸ばした。途中、戦いの流れについて話した。
「ほとんど、ここから見ておりました」
「やはり、お前がおらねば、上手くいかぬ」
「途中から、兵の損耗を防ぐ戦い方に切り替わりましたね。あれはとても良かったと思います」
「コウラの五十の騎馬のみで、都邑に火をかけたことか」
 イシの都邑が、燃えている。火をかけたのはごく一部の場所であるが、民は、遅れず逃げたであろうか。
「兵を伏せたと思わせ、足を止め、その間に思いもしない所を突く。あれで、クナの軍は戦う理由を失いました」
「うむ。その後一気に押し込み、崩すのみで、逃げる敵に追いすがったり、船を焼き、退路を絶ったりはしないでおいた」
「それで、ようございます」
 退路を塞がれれば、もはやヤマトを打ち破るしか生きる道はない。そうなれば、一層敵は激しい抵抗を見せてくるであろう。だから、逃げ道を残しておいてやる。戦いの基本である。
 ナナシは、絹の袖を裂き、傷口を露出させた。絹と変わらぬ白さの腕に血が滲んでいる様が、どこか艶かしく見えた。オオシマから持ち込んだ薬草をオオトで栽培して生産している血止めの薬を、傷穴に押し込んだ。痛みが電流のように走ったが、人目があるので声を上げたり、身を縮めたりはしない。先ほど、あれほど呻きが漏れたのは、マヒロと二人きりであったからか。
「あれは、やはりクナの兵であったのかな」
 だとすれば、新たなクナは、今までに輪をかけて手強いということになる。その存在を知られることもなく、あの快速船を用い、兵をあちこちに放り込まれればたまったものではない。
「それにしても、おかしいと思います」
 ナナシが、痛みのために目のところに流れてくる汗をひとつ拭い、呟いた。
「あの船たちは、はじめからこの近くにいたとしか考えられないのです。我らを迎え撃つつもりで、そこここの浦に、分けて」
「だから、突如湧いて出たように現れたのですね」
 コウラが首を捻る。
「イシの地が叛いたのは、むしろ我らを誘き寄せる餌。全て、初めから仕組まれていたのではないでしょうか」
 自らの手当てを終えたナナシが、そのように分析した。
「わからぬ」
 マヒロが、口を開いた。
「例え、意表をついて船で乗り付けてきたとしても、あれだけの数で、我らに勝てるとでも思ったのか。指揮をするらしき者と何人か馳せ違ったが、どれも見たこともない顔ばかりであった。これで、あの縮れ毛などが出てくれば話は別だ。おれはそれにのみ、気を配っていた」
「案外、クナは知恵が回らぬようになったのかもしれませんね」
 コウラが笑った。
「その逆です」
 ナナシが、覆面の奥で言う。
「もし、クナの目当てが、我らに勝つことではなかったとしたら?」
「どういうことだ」
「我らとほどほどに戦い、我らを疲れさせること。だから、クナはマヒロ様も見たことのないような主力から外れた軍を使い、ほどほどに引き上げたのです」
 こちらの損害は、やや多く、七百ほどを損なっていた。ほとんど、船団が乗り付けてきたときの矢による死者である。
 ――負けぬ者が、勝つ。
 マヒロの脳裏に、クシムの顔が浮かんだ。だとすれば、このような戦いはまだまだ続くことになる。
「オオミも、危ないのではないか」
 オオミが今なお進軍しているであろう北東の空に、眼をやった。
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