女王の名

増黒 豊

文字の大きさ
上 下
7 / 85
第一章 宿り火

あたらしきもの

しおりを挟む
 サナの妹マオカは、王の部屋にいた。このところ王は体調が優れぬことが多く、この日も床に伏せており、妻のうちの幾人かと娘が交代で看病をしている。
 マオカの背後に、タクはいない。外交の役目があって数日前から旅に出ている。
 これより少し前にタクが他国より買い付けてきた大陸渡来の霊薬という鈍い銀色の液体を飲んだがいっこうに良くならず、むしろ日によって起き上がれぬほどに病は篤くなっている。

「そこにいるのは、マオカか」
 ほんの数ヵ月前まで忙しく立ち働いていた王が、見る影もないほどに痩せた身体から弱々しい声を発し、マオカを呼ぶ。
 マオカは、そっと王の手を握った。
 王は少し首を上げ、自らの翡翠の勾玉の首飾りを外し、
「これを、そなたに」
 と言って渡した。次に硝子で出来た腕輪を外し、
「これを、お前の姉に」
 とマオカの腕に握らせたところで息絶えてしまった。あまりにも、あっけない死だった。
 一座は、静寂につつまれた。王の幼い頃より常に側でつき従ってきたユウリという者が、はち切れたようにわっと声を上げ泣き崩れると、次第にそれが伝播し王の部屋は嗚咽に包まれた。
 マオカは握り締めた首飾りと腕輪に、ただ眼を落としていた。
 知らせを受けたサナや他の姉妹も駆けつけた。王の形をしたを見たとき、サナは今まで、当たり前のようにあるものと思って何気無しに歩いていた道がいきなり断崖に変わったような衝撃を感じた。

 自らに様々のことを告げるあの声の主どもは、何故これを告げなかったのか。
 告げられたところで、自分には何をする力も無かったことを改めて知り、サナは、ただ膝から崩れた。それを脇からしっかりと支えたのは、マヒロだった。
「しっかりなされませ」
 サナの眼前に、風景が拓けた。
「王は、隠れられた」
 その風景をのみ見ながら、サナは、ぽつりと言う。貝で作られた首飾りが擦れ合わさる音と共に立ち上がり、
「王は、隠れられた」
 もう一度、こんどは太く透る声で言った。
「今より国内に大喪を発する。王を墓に祀るのはこれより三日の後とする」
 男性の後継者のいないヤマトに、女王が誕生した瞬間であった。
 この時代は王が亡くなる前に自らの墓を造営することが当たり前であり、ヤマト王も先王の墓の隣に同じような丸い丘を作り、それとしていた。その墓が機能するとき、その葬儀の一切の手配を行う者が次の王となるのだ。
 この場合男子がおらず、なおかつ長女は他国で病死しており、サナとマオカは同い年であるがマオカの母は奴婢の出身であったためサナの母の方が位が高く、サナが姉でマオカが妹という扱いになっていたから、サナが女王となることは当時の感覚としてもこんにちの我々の感覚としても順当である。
 儀式の差配について、一人で思案をするサナのもとに、マオカがやって来た。
「これを、父上より」
 羽虫のようにかぼそい声と共に、マオカが硝子の腕輪を差し出してきた。
「父上が?」
「私には、これを」
 と白く細い首から下がった翡翠の勾玉を指差した。
 サナは、どういうわけかマオカの差し出す硝子の腕輪に、あの夜のマオカの乱れ狂った背中と声が映っているのを見て、むらむらと怒りが沸き上がってくるのを感じた。
 あれから、サナはタクとは勿論、マヒロとも一切そういった関係を持っていない。
 サナが硝子の腕輪を受け取ると、冷たさのために一瞬火のように熱いと感じたが、それは自分の怒りの冷たさなのかもしれないと思い、その冷たい火を静かに腕にはめた。
「マオカよ。タクは、何を思っておる?」
 マオカの視線は、床板の木目を追っている。
「あやつは、そなたに何を話す?」
 木目を追っている視線をそのままサナの身体に這い上がらせ、
「さあ。なにも」
 という微笑へと変え、
「父上は――」
 と王の話へと話題を移した。
「己が首飾りを私に、腕輪を姉様にお渡しなさることで、我々が手を携えヤマトを治めるように、と仰せになりたかったのでございましょう」
 こいつは化物だ、とサナは思った。あの日サナが聞いた、ヤマトが揺れるという声はこのことではなかったか。だから、父の死について「改めて」何も告げなかったのではないか。
「かもしれぬな」
 サナは色には出さず、無機質な相槌で返し、
「マヒロを、これに呼んでくれぬか」
 と言い、この異母妹を追い出した。

「ヒメミコ」
 声をかけ、マヒロが入室してきた。
 季節はもう秋に差し掛かろうとしているが、中天にある陽は容赦なく大地に照り付けている。蒸し風呂のような部屋でもサナは汗ひとつかかず、じっと思案をしていた。
「王の祭祀が終わったのちのことを、考えておった」
「伺いましょう」
 サナの言うところによると、戦死したマヒロの父シンの後空席になっていた軍事の頂点には、先王の側近であったユウリを。彼は王の傍らにあり民治の助けをしながら、その全ての戦に参加していた。もう五十の半ばを過ぎており当時としてはとっくに引退していてもおかしくない歳であるため、それに次ぐ席にマヒロが就き、補佐をする。
 民治の頂点はマヒロが兼務し、外交はタク。
 そこまでサナが言ったところで、マヒロがサナの眼を覗いた。
「よろしいのですか」
「マヒロよ。さっき、マオカと話した。わたしは、タクはこのヤマトに野心を持っておるものだと思う」
「そう思いながら?」
「そう思いながら。タクの外交の腕は優れている。いまここであやつを外しては他国に顔の効く者がおらぬ」
 マヒロの顔が、翳った。
「もし、ヒメミコのお考えが当たっていたなら」
「そのために、お前がおる」
 サナはからからと笑い、花が咲いたように頬を笑ませた。
「あやつを、今退けるわけにはゆかぬ。それこそ、クニをわたし一人のものにしようとしていると人に言われよう」
「わかりました。それと、もう一つ」
 マヒロは、民治の頂点に自分が立つのは良かった。先王が王位を継いだときも、その側用人として最も信頼の厚かったユウリを民治の頂点に付けた前例があるからである。
 しかし軍事の次席に自分が立つと、ユウリが引退したのち民治も軍事も己が握ることになり、己に力が集まりすぎる、と言うのである。
「もし、おれがヒメミコに弓を引いたら、一晩でこのクニは覆りますよ」
「そうはならぬ」
 だって、とサナは言う。
「お前は、わたしと共に、生きるのだ」

 国内には大喪が発せられ、民は王の突然の死を大いに嘆いた。死から三日後の祭祀には、夥しい数の民が王の墓の前に額付ぬかづいた。
 王の墓の盛り土を背に、絹の袖付きの着物と貝や金で出来た首飾り、勾玉の耳飾りと硝子の腕輪と王の証である冠を付けたサナは、一日立ちっ放しであった。
 民は、大いなる神や精霊の声を聞くというこのあたらしい女王を見て、その美しさと神々しさに息を飲んだ。幼い頃はお転婆であり、それが現代で言う「ざしきわらし」のような印象を人々に与えていたものであったが、長じて、神を宿す、と人が噂するに十分な美しさを得、そして今、女王としてはるか遠くの空に視線を泳がすサナを見ると、昨日までのサナとはまるで違う印象を受け、まさにここに神が降りているのだと感じた。「ざしきわらし」から「精霊の代弁者」とは大したものである。この時代ではわりあい珍しいくっきりとした二重の目蓋まぶたが飾る黒い瞳、その上にあるやや下がった眉、ヤマトの人々が仰ぎ見るオヤマの稜線のように緩やかな曲線を持つ鼻筋、薄く引き結んだ唇の全てが、神や精霊がその依り代として作ったとしか思えなかった。
 人々は今、ヤマトのあたらしい時代が始まったことを知った。

 旅の途中で知らせを受けたタクも戻り、新たなヤマトは動き出した。タクは戻るや否や旅装も解かずに先王の墓に向かい、額を地に擦り付けたまま夜まで泣き通した。その姿を見て人々はさもありなん、他国から奴婢の交換のようにやってきたタク様を取り立てて育てた先王の死の悲しみと、その死に立ち会えなかった悔しさは計り知れぬのだろう、と噂した。
 館の中で最も大きな王が執務をおこなう広間でタクはサナの取り決めた一切の体制に納得した様子であった。一通りのことについて同意を示し、話が終わったあと、
「ヒメミコ、先王の死より間もないために、申し上げるのが憚られるのですが」
 と前置きをし、あごで部屋の外を指して、
「ヒメミコとの婚儀をしたく思うのです」
 と言った。タクはサナの名もマオカの名も知らぬので、こういった場合は「あちらのヒメミコ」「何番目のヒメミコ」と言ったり仕草で指したりして個人が特定できるよう話すのが普通だった。後年になってからも貴人や主君の妻の名を呼ぶことを憚り、どこから嫁に来た、とか、どこに居館がある、とかいうのを取って「濃姫」「早川殿」「築山殿」などと呼称するのに似ている。
 無論、この場合タクがあごで指した先のヒメミコはマオカしかおらず、タクもあえてマオカを指す固有名詞の代わりである「二番目のヒメミコ」と言わなかった。
 サナは、マヒロが自分の顔色を伺っている気配を感じながら、
「許す」
 と短く言った。
「ありがとうございます。ヒメミコと私が縁を結ぶことで、ヤマトの――」
 サナは遮って、
「許す、と言うておる」
 と繰り返した。タクは一度平伏し、立ち上がった。その背中に、サナの声が被さる。
「タクよ」
 タクが、振り返る。
「お前は、蛇じゃの」
 古来、日本では、大陸の影響により、蛇は神の使いとして大切にされていた。さらにさかのぼり、蛇に関する大陸の価値観を輸入する前のこの時代では、「蛇」といえば見た目のまま、不気味なもの、邪なものを意味した。現代においてキリスト教の聖書の影響により、いかがわしく悪しきものというような印象があるが、それに似ている。
 タクはことさらに小首を傾げて見せる。それに向けてサナはいたずらっぽく笑いながら、
「なに、ひょろりと身体が長いからよ」
 と言った。タクはそれに対して同質の笑みを返し、立ち去った。

 実際のところ、タクは、一目見たときから、サナが好きで好きでたまらなかった。自分のものにしてしまいたいと思っていたが、サナを自分のものにすることよりももっと意義のあることを早くから発見し、それに熱中していた。
 タクがどこまでのことを考え生きているのかについては、誰も知らない。 
 それについて最も想像を巡らせているマヒロが、タクのあとに続いた。
 マヒロが呼び止めると、蛇のような身体をゆっくりと振り向かせた。
「二番目のヒメミコとの婚儀は、いつ行う」
「マヒロが、婚儀を取り仕切ってくれるのですか」
「まだ決まっていない。お前の心を、見てからだ」
「心?」
「お前、なにを考えている」
 タクは多弁であるが、マヒロはどちらかと言えば朴訥ぼくとつで、いつも短い受け答えしかしない。ひょっとすると、これが今までに二人が交わした最も長い会話であるかもしれない。
「なにを、と言いますと?」
「お前の腹の中にがあるのは知っている。なんなら、今ここで、絶ち割って見てやろうか」
 タクが初めて見る、マヒロの顔だった。この男は、やる。あの新しい女王のためならば、例え肉親であっても、この男はやる、と思った。
「私は――」
 館の中からマヒロを誘導するように、タクが歩いた。秋の土が、音を立てる。
「ヒメミコが愛しくてたまらないのです」
 さらに言葉を継いで、
「お仕えし、陰に日に、ヒメミコのクニを作る、そのお手伝いをしたいのです」
 と言って振り返った。意外にも、その顔にけがれはなかった。
「ヒメミコが、愛しくて――」
「そう、たまらないのです」
「だから、抱いたと言うのか」
 タクの脊椎に、電流が走った。
「仰る意味が、分かりません」
「だから、ヒメミコを抱いたと言うのか」
 マヒロの眼からは光が消えていた。タクはマヒロが何のことを言っているのか、どのヒメミコのことを言っているのか、分かりすぎるほど分かった。
「お前を、おれは、許さない」
 気が、満ちた。
 マヒロから、拳撃が繰り出される。
 じつに意外なことであるが、拳で戦う場合、相手に向かって真っ直ぐに拳を突き出すようになるのはこれよりずっと後のことで、マヒロが繰り出した拳撃は、剣を振るような格好で円運動を用い、相手を打つものであった。
 右手が剣、左手は盾である。だからボクシングの右利きの選手とは違い、攻めの構えの場合、右手右足が前、左手左足は後ろに構えた。
 紙一重でタクは、その拳撃を、半歩身を引くことでかわした。
「――なにを」
 言葉を発するときに痛みが走り、頬に切り傷を負ったことに気付いた。剣と化したマヒロの拳で斬れたのである。
「さすが」
 と言ったところでタクも腰を落とし、強烈な左の蹴足を繰り出した。
 タクのように長い手足を持つ者の脚は、遠心力も重量もあるために怖い。
 その脚が台風のような唸りをあげてマヒロの顔面を通過した刹那、振り抜いた隙を逃すまいとするマヒロは、反撃の体勢を取った。
 すると、タクは地についた左足を軸足に、右足を大きく旋回させ、マヒロのこめかみを正確に撃ち抜いた。
 マヒロの世界は逆転し、気づいたら空が見えていた。
 膝に力が入らないが、それを気でもって制してゆっくりと立ち上がったところで、土をぱたぱたと踏む足音を聞き、構えを解いた。その足音の持ち主は、この天地あめつちの間に一人しかいなかった。
「なにをしておる!」
 サナ。
「マヒロが、私の覚悟のほどを試してくれたのです」
「なに?」
「十分に、示せたと思います。いかがでしょう?私の婚儀を、取り仕切って下さいますか?」
「――ああ」
 マヒロが、こめかみから流れる血を拭いながら言うと、タクは短く挨拶をし、去っていった。
「大丈夫か、マヒロ。ああ、こんなに血が」
 伸びてくるサナの手を優しく払い除け、マヒロは館の方に向かって歩きだした。そのあとを、ぱたぱたという足音が追う。
「なあ、マヒロよ。タクの言ったことは、ほんとうなのか?覚悟を試すとは、なんのことじゃ?」
「くそっ」
 マヒロが、いきなり脇に生えている細い木を打った。
 その木が倒れ、生々しく白い折れ痕を見せた。マヒロの拳は破れ、血が流れた。
「ああ、マヒロ」
 サナは、マヒロの破れた拳を両の掌で包み、涙を流した。
「あいつを、私は許さない」
「ともかく、手当てを」
 数日前まで先王が暮らしていたサナの自室にマヒロを押し込むと、ありったけの薬草を擂り潰し、こめかみと拳に塗った。
「痛むか」
「いいえ」
 マヒロは文字通り手当てをするサナの手を握り、ゆっくりと力を込めた。
「せっかく塗った薬草が――」
 サナは、マヒロの体重を感じた。
「――落ちるぞ」
「手当てなど、不要です」
 サナは、昼間、こんなにも間近でマヒロの瞳を見ることなどなかった。
 その瞳の中にも、火が宿っているのを見た。
 ああ、これは私の火だ、と悲しいような、快いような気持ちでそれを見つめ、やがて目を閉じると、その火の熱だけが互いの身体を通して伝わった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

東へ征(ゆ)け ―神武東征記ー

長髄彦ファン
歴史・時代
日向の皇子・磐余彦(のちの神武天皇)は、出雲王の長髄彦からもらった弓矢を武器に人喰い熊の黒鬼を倒す。磐余彦は三人の兄と仲間とともに東の国ヤマトを目指して出航するが、上陸した河内で待ち構えていたのは、ヤマトの将軍となった長髄彦だった。激しい戦闘の末に長兄を喪い、熊野灘では嵐に遭遇して二人の兄も喪う。その後数々の苦難を乗り越え、ヤマト進撃を目前にした磐余彦は長髄彦と対面するが――。 『日本書紀』&『古事記』をベースにして日本の建国物語を紡ぎました。 ※この作品はNOVEL DAYSとnoteでバージョン違いを公開しています。

黄昏の芙蓉

翔子
歴史・時代
本作のあらすじ: 平安の昔、六条町にある呉服問屋の女主として切り盛りしていた・有子は、四人の子供と共に、何不自由なく暮らしていた。 ある日、織物の生地を御所へ献上した折に、時の帝・冷徳天皇に誘拐されてしまい、愛しい子供たちと離れ離れになってしまった。幾度となく抗議をするも聞き届けられず、朝廷側から、店と子供たちを御所が保護する事を条件に出され、有子は泣く泣く後宮に入り帝の妻・更衣となる事を決意した。 御所では、信頼出来る御付きの女官・勾当内侍、帝の中宮・藤壺の宮と出会い、次第に、女性だらけの後宮生活に慣れて行った。ところがそのうち、中宮付きの乳母・藤小路から様々な嫌がらせを受けるなど、徐々に波乱な後宮生活を迎える事になって行く。 ※ずいぶん前に書いた小説です。稚拙な文章で申し訳ございませんが、初心の頃を忘れないために修正を加えるつもりも無いことをご了承ください。

枢軸国

よもぎもちぱん
歴史・時代
時は1919年 第一次世界大戦の敗戦によりドイツ帝国は滅亡した。皇帝陛下 ヴィルヘルム二世の退位により、ドイツは共和制へと移行する。ヴェルサイユ条約により1320億金マルク 日本円で200兆円もの賠償金を課される。これに激怒したのは偉大なる我らが総統閣下"アドルフ ヒトラー"である。結果的に敗戦こそしたものの彼の及ぼした影響は非常に大きかった。 主人公はソフィア シュナイダー 彼女もまた、ドイツに転生してきた人物である。前世である2010年頃の記憶を全て保持しており、映像を写真として記憶することが出来る。 生き残る為に、彼女は持てる知識を総動員して戦う 偉大なる第三帝国に栄光あれ! Sieg Heil(勝利万歳!)

大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜

雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。 そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。 これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。 主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美 ※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。 ※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。 ※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。

西涼女侠伝

水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超  舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。  役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。  家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。  ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。  荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。  主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。  三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)  涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。

【架空戦記】蒲生の忠

糸冬
歴史・時代
天正十年六月二日、本能寺にて織田信長、死す――。 明智光秀は、腹心の明智秀満の進言を受けて決起当初の腹案を変更し、ごく少勢による奇襲により信長の命を狙う策を敢行する。 その結果、本能寺の信長、そして妙覚寺の織田信忠は、抵抗の暇もなく首級を挙げられる。 両名の首級を四条河原にさらした光秀は、織田政権の崩壊を満天下に明らかとし、畿内にて急速に地歩を固めていく。 一方、近江国日野の所領にいた蒲生賦秀(のちの氏郷)は、信長の悲報を知るや、亡き信長の家族を伊勢国松ヶ島城の織田信雄の元に送り届けるべく安土城に迎えに走る。 だが、瀬田の唐橋を無傷で確保した明智秀満の軍勢が安土城に急速に迫ったため、女子供を連れての逃避行は不可能となる。 かくなる上は、戦うより他に道はなし。 信長の遺した安土城を舞台に、若き闘将・蒲生賦秀の活躍が始まる。

土方歳三ら、西南戦争に参戦す

山家
歴史・時代
 榎本艦隊北上せず。  それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。  生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。  また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。  そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。  土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。  そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。 (「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です) 

鉄と草の血脈――天神編

藍染 迅
歴史・時代
日本史上最大の怨霊と恐れられた菅原道真。 何故それほどに恐れられ、天神として祀られたのか? その活躍の陰には、「鉄と草」をアイデンティティとする一族の暗躍があった。 二人の酔っぱらいが安酒を呷りながら、歴史と伝説に隠された謎に迫る。 吞むほどに謎は深まる——。

処理中です...