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2 惚れた
しおりを挟む僕がまだ小学4年生の時、両親が事故で亡くなった。
身寄りがいなくて困っていると、ある男に誘拐されたのだ。
それが、大河さん。
「君に惚れちゃったんだぁー、養ってあげるから俺と付き合ってよ。」
正直引いた。
これがショタコンってやつか。
まぁ、養ってくれるならなんでもいいや、お金はありそうだし。
そんな感じで、僕は養ってもらうと同時に恋人が出来た。
けど、決まりがあった。
「俺が帰ってくるまでこの部屋から出ちゃだめ、外に出るなんてもってのほか、もし出たりしたら………」
それは言われなかった。
察しろと言わんばかりだった。
(まぁもとからインドアだったから大丈夫だよね。)
それから6年程の年月がたった。
「大河さん……あの、明日は何時に帰ってきますか?」
「明日は遅くなるよ、11時かな。」
「そうですか……」
「そんな残念そうな顔しないで?ちゃんと寝ないで待ってるんだよ?」
そう言って、大河さんは僕を抱き締めた。
「……はい!」
ーーー
俺は黒瀬悠太。高校1年生。
実は最近、気になる事がある。
(俺の隣の席、誰なんだろ……)
俺の隣には席がある。
でも、誰も座っていないのだ。
それも、もう入学してから1ヶ月になる。
(不登校ってやつかー)
少しだけ、いやかなり気になっていた。
「なあ奏多、小春。俺の隣って透明人間か何か?」
「お前って顔かっこいいのに変な事言うよな……不登校なんだろ、単に。」
栗山奏多、俺の幼馴染。
「た、確か……梓川夏帆君、だっけ?小学生の時4年生の途中まで学校通ってたけど、可愛い子だったよ……?」
遠野小春、低身長で気弱、可愛い。
「梓川夏帆、ねぇ……」
なんか、女みたいな名前だな。
でも、君って言ってるし男なのか。
(気になるなぁー)
昼頃にそんな会話をして、そして今は部活も終わって帰宅中。
「8時かー、暗いな………」
今日は、結構遅れてしまった。
(仕方ない、ちょっと怖い道だけど近道して帰るか。)
そして俺は、路地裏に出た。
(確かこの路地裏を出てると丘に繋がる道があって、その丘を少し歩くと階段があるんだっけ、そしてそこをおりてしばらく歩くと俺の家がある住宅街に出れる!よし、ばっちりだ!)
昔奏多と俺の家で遊んだ時、奏多が気付いた近道。
でも、夜は薄暗いし、何より階段のところから、大きな豪邸が見える。
そこには少年が監禁されているって話だ………
それがどこか怖くて、なかなかこの道では帰れなかった。
でも、俺は行くぞ……!!
路地裏を抜け、丘に出た。
(ここを真っ直ぐ行けば………)
そして、階段にたどり着いた。
「ひぇ……こわ。」
ていうか、少年が監禁されてるっていうのは、一体どういう事なんだろう。
ふと、目線が屋敷の窓に向いていた。
「……!」
そこで俺は、見てしまった。
(てん、し……?)
本当に、天使みたいに可愛い少年だった。
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嘘だろ、可愛すぎる………
俺は、呆気なく恋に落ちてしまった。
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