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6章 三学期。
231.写真
しおりを挟む(澪side)
式が終わって、校舎の外で生徒達が集まってそれぞれ話をしている。
「卒業おめでとうございます!」
「……」
後輩達が来た。
「ありがと……って、李世、なんか疲れてる……?」
「…えへへ、ちょっと、色んな先輩に呼ばれてたので………」
人気がある故に、卒業生に取っかえ引っ変えされてたらしい。
「あ……先輩達も写真撮ります?撮ってあげますよー」
「写真…………、……あ、待って、その前に」
振り返って優馬達の所に向かった。
海斗もいて皆で話していて、まだアレを渡した様子ではなさそう。
「未来斗、アレ、渡した?」
耳元で静かに言うと、
「まだ……先生が来ない………」
そういえば先生が持ってるんだった。
…………先生が来るまでしばらく話してた。
「あ、莉音…!」
「桜木!卒業おめでとう」
莉音が来た。
「あ、澪。相変わらずぼーっとしてるね~」
「む……してない、元からこういう顔」
「顔関係なくない?」
その後郁人と莉音が話してるのを聞いてたら、
「頑張ってね、僕も頑張るから」
「うん、余裕が出来たら桜木の家、手伝いに行くから」
…………この2人、
「一緒に暮らすの…?」
「ううん、莉音の仕事が落ち着いたらたまに家に行って家事手伝ってくれるみたいで…………」
…………なるほど。
「将来のことか……」
「…ふふん、羨ましいでしょ」
「……?別に………」
莉音がスンとした。
「あれ……そういえば未来斗、どこに就職するんだ?」
「え"、……あ、…えっと…………秘密」
未来斗は卒業後について触れてほしくないらしい。
それも海斗にだけ、僕達は実はもう教えて貰った。
「澪ーっ、卒業おめでと!」
「……!あり…がと。」
優馬に話しかけられるのがこんなに緊張するとは思わなかった。
………でも優馬は平気そう。
(告白……してくれるんだよね?)
「……あ、優馬。髪に葉っぱついてる。」
「……!」
少しだけ背伸びして髪についた葉っぱを取ってあげた。
そこでしっかり目が合って………、どうしてか、どちらも何秒かフリーズしてしまっていた。
「「………ッ!」」
優馬も、多分僕も赤くなってた。
途端に目を逸らして、熱を冷ます。
「…ねぇ桜木、あの2人なんか変じゃない?」
「んー………」
すると、
「悪い、遅くなった。」
先生が来た。
すぐに未来斗が駆け寄って、
「遅いぞ先生!…アレ、持ってきた?」
「持ってきたよ、ほら、渡してやれ」
そう言って未来斗は今僕達が持っている物と同じ物を受け取った。
そして、海斗の所に行って、
「………何…それ」
「海斗もここの生徒だから、受け取ってよ」
未来斗が渡したのは卒業証書だった。
「え……あ、…でも」
「せっかく校長先生に許可貰って作ったんだぞ?いいから受け取って!」
そう言って無理矢理持たせて、
「卒業おめでとう…………海斗。」
そう、微笑んだ。
「………」
海斗はしばらく唖然としながら沈黙してて、
しばらくして………涙が頬を伝った。
「え…あ、あれ……」
「あ!海斗また泣いた!」
泣いた事に自分で驚く海斗に、「泣き虫だな」と笑う未来斗。
「…ッ、だって…ぇ、うれ"し、……え"ぇぇぇ………!」
「海斗?!喋るか泣くかどっちかにしろ…?!」
子供みたいに泣きじゃくる海斗。
「………あの、ところで。」
いい雰囲気を感じていると、後ろから声がした。
「李世……?」
「写真撮らないんですか…?」
…………あ、
「ごめん、お願い!」
「はーい……、スマホ貸して下さい~」
李世の後ろにはカメラを構えながら列になって待機する男達がいた。
「今回はボク映らなくていいですよね、並んでください!」
………その発言からして、卒業の記念に李世と写真を撮りたい列らしい。
「……」じ…
「撮りますよ~」
隣でじっと李世を見てる真冬。
それに気付いても普通のことなのか特に気にせず李世がカメラを向けた。
「あ……未来斗」
「ん?」
「もう少し…こっち、来て?」
「えっ」
「ちょ……優馬邪魔!」
「うるさいな俺より身長高い癖に!!」
「2cmしか変わんないから……!!」
「ねー澪もっと真ん中寄って、僕入れない」
「狭い……莉音、力強い……」
「なんだとこの野郎」
シャッター音が鳴った。
「……はい!撮れましたよー」
渡されたスマホを見ると、
「未来斗面白い顔してる……」
「それは…海斗が………」
しかも、
「僕優馬のせいで見えなくなってる…!」
「俺の後ろにいるからだろー」
「ねぇこれ僕が澪の事潰してるみたいじゃん」
「それは本当だったでしょ?」
………完璧では無いけど、
「まぁ………思い出としてはいいんじゃないですか?」
...
「うん……大事にする」
これも思い出になると思う。
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