ゆうみお

あまみや。旧

文字の大きさ
上 下
242 / 260
6章 三学期。

229.緊張

しおりを挟む

(優馬side)


『なぁ……優馬』
「何?」



夜、久しぶりに海斗から連絡が来た。

それも電話で………



『その……さ、ちょっと相談』



海斗が俺に………



「うん?」
『最近未来斗の様子が変なんだ。なんか……すごい、好きって言ってくる』



………惚気……?



「電話で?」
『うん、どうしよ……恥ずかしい』
「知らないよ……」



そんなこと俺に言われても………



「ていうか惚気なら切っていい?」
『あ、待って、……これが本題。……未来斗、最近何か変わったこととかない………?』




変わったこと………




「勉強ばっかしてるかな」
『え……なんで?』
「えっと……分かんない」



「そっか」と少し落ち込んだ声が電話越しに聞こえてきた。



『……そういえば優馬はどう?澪と』



……!



「ま……まぁ?…いい感じ…かな」



最近やけに積極的な澪にこっちが押されてる、なんてかっこ悪くて言えない。



『そっか、良かった。……郁人は?』
「あいつも元気そうだよ、相変わらずって感じ」



そんな感じでしばらく海斗と連絡しあって、




『あ……そういえば、これ未来斗にしか言ってないんだけど、俺そっちの卒業式行けるかも』
「え、まじで?!」



聞くと、日にちがあっちの方が早いらしい。



「じゃあ楽しみにしてる。澪達にも伝えとくよ、……うん、…うん。分かった。………あ、」




電話を切る前に1つ。



『ん?』
「海斗、お前大学どうだったの?聞いてないんだけど」



つい最近、上智大学の経済学部の合格発表があった。


その結果をまだ聞けていない。



「あんなに勉強してたお前がまさか落ちてるわけないよな?」
『………はぁ』



ため息が聞こえてきた。






『ばーか、この俺が落ちてるわけないだろ?』





………





…………!





「うっそ!おめでとう!!」
『嘘じゃないし、…ふは、ありがと…!』




「忙しくて伝えられなくて悪かったな」って言われたけど、とりあえずそれなら安心した。




「じゃあ後は未来斗に告白するだけだな!」
『そ…それはお前だろ!!大体………』




それからもまだ少し話して、




「あ……うん、じゃあそろそろ切るぞ、おやすみ。」






会話が終わって、電話を切った。





「………俺も……ちゃんと言わなきゃ。」






確かに海斗の言う通り、言わなきゃいけない。






前に、澪の家に泊まった時に言えなかったこと。



…………でも、





「あぁ……なんかいきなり緊張してきた、大丈夫だって分かってるんだけど…………」



もう学校に行く日は無くて、後は卒業式の日だけ。




その時に…………ちゃんと、澪に思いを伝えようと思う。






(……懐かしいな。2年生の始業式。)



初めに澪に会った日。


あの頃はまだ好きじゃなかった。





『俺と結婚して下さい…!!』
『ッ…は…!?』






…………懐かしい。




なんで告白の前に求婚しちゃったんだろう、まぁインパクトはあるしいいか。



「…………澪」





この2年の間で澪の事を沢山知ることが出来た。



沢山好きになった。





「……よし!」






あと一歩。





あと一歩だけ………進んでみよう。






ーーー


(澪side)


「えっと……?」
『ごめん……緊張しちゃうから、先に伝えておこうと思いまして』



優馬から電話が来た。




「卒業式の日、告白するの?誰に?」
『澪にです……』



…………なんでそれ本人に言うんだろう。




「そういうのは未来斗とかにいいなよ……僕に言われても」
『こ…心の準備、しておきたくて……』



……???




「でもまぁ優馬らしいしいいや、……約束、守ってね」
『…うん!』




電話を切った後、段々そわそわしてきた。



「……告白…されるんだ…………」





…………それって、





(あれ……なんか、なんかすごい緊張する…?!)



落ち着かない。



「ッ………」




なんか、体が暑い。




その熱から逃れるようにベッドに寝転んで枕を抱き締めた。



段々その力が強くなっていく。気持ちが溢れそうになればなるほど強く、



「…………はぁ……」




こんなに緊張するのは初めてだった。









夏祭りの時に優馬から貰った指輪を見て、また暑くなって、




「…………」





しばらく眠れなかった。









しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

続きは第一図書室で

蒼キるり
BL
高校生になったばかりの佐武直斗は図書室で出会った同級生の東原浩也とひょんなことからキスの練習をする仲になる。 友人と恋の狭間で揺れる青春ラブストーリー。

息の仕方を教えてよ。

15
BL
コポコポ、コポコポ。 海の中から空を見上げる。 ああ、やっと終わるんだと思っていた。 人間は酸素がないと生きていけないのに、どうしてか僕はこの海の中にいる方が苦しくない。 そうか、もしかしたら僕は人魚だったのかもしれない。 いや、人魚なんて大それたものではなくただの魚? そんなことを沈みながら考えていた。 そしてそのまま目を閉じる。 次に目が覚めた時、そこはふわふわのベッドの上だった。 話自体は書き終えています。 12日まで一日一話短いですが更新されます。 ぎゅっと詰め込んでしまったので駆け足です。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。

かーにゅ
BL
「君は死にました」 「…はい?」 「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」 「…てんぷれ」 「てことで転生させます」 「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」 BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

処理中です...