ゆうみお

６章 三学期。

209.咄嗟の判断

（優馬side）




……………見つけた。





｢なに……してんだよ！！｣



３階の美術室横のバルコニー。
すぐに澪の元に行って瓶を奪おうとしたら、手が滑って床に落ちてしまった。


蓋があいたところから何粒も薬の粒が零れて………



｢っ……、なぁ、澪…………｣



零れた薬を見て、唖然として拾おうと膝をつく澪を止めた。




｢澪、おかしいって、なんか変だぞ｣



いくら止めても澪は聞いてくれなかった。





｢ｯ………澪！！｣





何としてでも止めようと、腕を持ち上げるように引っ張って怒鳴りつける。



｢……邪魔、離してよ！！｣




まさか反抗されるなんて思ってなかった。



それに怯んだすきに、押し倒されていた。



｢な………｣
｢うるさい……うるさい、うるさい｣



どうしてこうなってしまったのか、分からなかった。



（でも………）




どうにかして、止めないと。




このままじゃ死んでしまうかもしれない、そう思ってしまった。




 （考えろ……どうやったら落ち着かせられる？）




この押し倒された状況で、どうすれば落ち着かせることが出来るのか。




必死に考えていたけど………





｢………くすり｣




澪の手元に薬が落ちていた。


それを５粒程手で掴んで、口の中に入れる。




｢なッ………！澪！そんなに一気に飲むな！！｣





それは危険だと思って、でも澪を止めることが出来なくて、














体が……………勝手に動いていた。










｢……………え｣






咄嗟に下から澪の胸ぐらを掴む。




本当に咄嗟だった、何も考えていなかった。





ただ………薬を飲ませたくなくて、舌の上にある薬を奪った。











｢………………ん"……ｯ｣












……………自分の、舌で。