ゆうみお

あまみや。旧

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6章 三学期。

198.「助けてくれるよね?」

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「桜木は……僕のもの…だよねぇ」



どうして振り向いてくれないんだろう。


ボクはこんなに桜木の事が好きなのに………



どれだけ願っても、欲しいものが手に入らない。


のスカートのような存在。



どんなに手を伸ばしたって、捕まえられなかった。





ーーー

(優馬side)


「あれっ?澪は?」


澪がまた具合が悪くなって保健室に来ていた。

放課後になったから迎えに来たのに………いない。



「行き合わなかったか?双葉なら今出てったぞ」
「えっ……そうなんだ、ありがとうございます」


行き違いになったらしい。

急いで来た方向と逆方向を探しに歩いた。




ーーー


階段を登っている澪が見えた。


(あ……いた)


教室は2階なのに何故か3階に行ったから、気になって呼び止めずあとを付けてみる。



澪が1人で向かったのは、3階のテラスだった。

いつも俺達が昼ご飯を食べている方のテラスじゃない、もう1つのテラス。




(なんだろ……風に当たりたい気分だったのか?)



なんて呑気に考えていると、


柵に手をついて向こうを向く澪が少し大きな声で言った。




「何してるの…?優馬。」





……バレてた…………



諦めて出て行く。




「ちょっとストーカー?」
「バレバレだよ………ストーカーになってない」



ヘラヘラ笑う俺に澪は呆れてため息をついた。



「……で?ここで何してんの?」



澪は躊躇わず教えてくれた。




「なんか………考え事してたらここに来てた。」



いつもそうらしい。

考え事をしていると風の当たるベランダやテラスに出ている癖。


たまに昼休みに2年生教室前のテラスに出ていたのはそういうことなんだと思った。



「………優馬。」
「おう?」
「僕、いつも通りに見える…?」




………?


なんだろう、その質問。





「別にいつも通りだよ?…あ、でもクマある!」
「…!そ、っか」



なんの質問だったんだろう。


(………厨二病に目覚め始めたかな。)

普通にそういう感じだと思ってた、


………けど、





「………えッ、…は!?」




急に澪は柵を登り始めた。




「澪!何やってんだよ危ないだろ!!」


そう言ったらやめてこっちに戻ってきてくれたけど………



「……ふぅん……びっくりするんだ。」
「はぁ………?澪、なんか変だぞ………」



澪は少し何かについて考えていた。

その時の表情がいつもの澪に見えなくて………



「澪……?」
「………ねぇ、僕のことが好きならさ」



澪は俺の目を見て、影のある微笑みを見せた。







「ちゃんと、助けてくれるよね?」








……………



………




……






ーーー


(郁人side)



「桜木、帰ろう?」
「あ…うん」


最近……莉音が怖い。



「ねえ莉音、澪達も一緒に…「…帰ろう?」………」



話を聞いてくれないっていうか………


澪の話になるとすごく嫌そうな顔をする。



「莉音………あの、聞いて」
「………」



珍しく耳を傾けてくれた、そう思ったのに………




「澪は、」



その名前を出した途端、莉音は少しだけ顔を動かした。



そして、








「………何それ、





うっざ………」







こっちを………睨みつけてきた。







「………ごめん……」
「……ねえ、」



嫉妬なのかな、とは何となく分かってた。



莉音の冷たい目が、近付いてくる。




それに怯んだ、次の瞬間、






「……………ッ!!」






いきなり壁に………押し付けられた。






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