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6章 三学期。
188.最後の告白
しおりを挟む「澪、好きです」
教室にいた澪に告白した。
「え……と」
澪は勿論困惑してて、優馬も割ってはいるように
「ちょっと待てよ…!?探したのにいないしいたはいたでいきなり………」
まあこうなると思う。
「ごめん………ちゃんと諦めたくて」
そう言ったら優馬は大人しくなったけど、
「僕は……ずっと澪の事好きだったよ、でも別に振ってくれて構わない。
どうせ終わるにしても、もう充分楽しかったし。」
初めは澪を手に入れるためだけにここに来たのに、いつの間にかみんなと過ごすうちにそれ以外でも楽しくて、
澪だけが全てじゃない、って分かった。
しばらくして、澪が小さな声で、
「……ごめんなさい」
予想通りの答えをくれた。
「郁人は大事な幼なじみだし、今でもそういう目では見れない。
………でも、恋愛的なものじゃなくても僕は郁人が好きだから、これからも……前まで通りでいてくれないかな。」
またふざけたり笑ったりして、普通の友達同士みたいに。
「お願いしますっ……!」
そう言って澪は深々と頭を下げた。
…………これで良かったんだ。
「うん……勿論、そのつもりだよ」
沢山楽しい思い出をくれて、ありがとう。
ーーー
(莉音side)
ちょうどいいタイミングで3人の前に顔を出してみた。
「「莉音…!」」
「……こっこり聞いててごめん。」
眼鏡を外して、出来るだけいつも通りの方に近付ける。
「……振られちゃった、莉音」
「……お疲れ様。」
桜木がはぁ…とため息をつく。
「でもまぁ桜木は澪に失恋したらもうしばらくは恋愛できないらしいよー?」
「え"っ…ごめん郁人、なんかそんなに影響があるなんて……!!」
まあでも、
「桜木がこんなで僕も叶いそうにないし、僕達失恋コンビだね」
結局今の桜木の様子じゃ恋愛も出来そうにないし、
「そうだね……もう恋愛とか出来そうにない」
かなりわざとらしくがっかりしている桜木。
優馬も澪も困ったように苦笑いしてる。
………すると、
「ねえ莉音、僕達まだコンビじゃないよ?」
「え?でも僕は桜木………」
僕は桜木に振られた。
そう言う前に………
「だってほら、まだ僕振ってないもん、莉音のこと」
………
…………!
そういえばそうだった。
「そういえば僕告白すらしてない……!!」
「うんうん、まだ僕が振ってないから莉音は失恋してない。」
だからまだコンビじゃない。
「………ッじゃあ桜木!僕が僕と桜木を失恋コンビになんてさせないように頑張るから!」
それはつまり、桜木が僕の事を好きになるということ。
「………楽しみにしてるよ、莉音。」
(それがほんの少しだけ嬉しいなんて、ほんと僕って調子いいなぁ………)
ーーー
「莉音、家はどっち方向?」
「あっちだよ……?」
「じゃあ一緒に帰ろうよ、人減って寂しいから」
澪に一緒に帰ろうと言われた。
「……えっと、あの2人は?」
「海斗は転校した……知らない?」
……え?
「…そして未来斗は用事があるからもう一緒には帰れない、だそうです」
「え……、えぇ………」
一体何が………
「だから一緒に帰ろう?」
「……っうん」
ーーー
進路相談があるからいつも一緒に帰れるわけじゃないけど、とりあえず今日は帰れる。
「今度澪にロリータ着せてあげる、エクステでおさげツインテさせてクラシカルロリータ」
「……?…??」
「ていうかすごい探したんだけどお前どこにいたわけ??」
「3階のトイレのとこ……」
「え?何お前トイレっ子なの?」
「…は?」
ーーー
桜木は交差点のところにあるアパートでお別れ。
本当なら澪もそろそろ道が分かれるらしいけど………
「ねえ莉音、ちょっと時間ある?」
「……うん?今日は大丈夫」
澪が話があるらしくて、優馬は先に帰らされて2人で話すことになった。
「いつも誘ってなかったのにこんな時ばっか誘ってごめんね、やっぱりまだ郁人とは少し気まずくて」
別にそんな事は気にしなかったけど………
「……大丈夫だよ、1人じゃない下校って初めてで楽しかったし」
まあ欲を言うなら未来斗や海斗がいた時も一緒に帰ってみたかったってくらい。
「………本当に自分勝手だって分かってる、自己中だし、最悪な考えだって」
澪は昔から自分が平和主義だってことを教えてくれた。
「……平和主義ってだけなら最悪では無いよね?」
「…なんか、僕って都合がいいんだよね、自分でもわかってるんだけど、自分がよく見えるようにしちゃうっていうか」
………僕は澪からそんなの感じなかったけど。
でもまあ、本人と他人からの見え方は違うのかな。
「………それでね、莉音」
「うん?」
「郁人のこと、頼んでもいいかな……」
………!
「いいの…?」
「…お願い、あれだけ僕の事を想ってくれてた郁人を1人にはしたくないから。」
……まあ勿論、言われなくてもするつもりだけど。
「………澪は」
聞きたいことがある。
「澪は、このまま優馬を選ぶの?」
………選ぶという言い方は好きじゃないけど。
「………どうだろう」
澪は少し眉を下げて、僕から目を逸らした。
「この前優馬があんまり言いたがらなかった昔の話を聞いたんだ、
……でも、僕は優馬に自分の言いたくないことを言える自信はない。」
………
「僕達に心を開いてくれた優馬に、僕は開けそうになくて………」
そんなに苦しそうな顔をされても、僕はどうすればいいのか分からない。
(澪………僕はね)
桜木が澪の事だけ見てたように、
僕も桜木だけを見てた。
どうでもいいんだよ、その他の事なんて。
(だから………僕に聞かないで)
ーーー
莉音回もう少し続きます。
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