ゆうみお

あまみや。旧

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5章 冬休み。

155.友達じゃない

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(李世side)

「……トイレ」
「行ってらっしゃーい」


先輩が帰ってしばらくして、真冬が部屋から出ていった。


それをいいことに、真冬の筆談用のメモ帳を見てみる。



「……ふーん、」



『家…来ますか』



真冬が……ボク以外の人を家に招いた。

それだけで大分動揺するけど、とりあえず続きを見る。


(ボクのことも書いてくれてる……他人に勝手に教えないで欲しいなあ)


ただえさえこのベッドに他人が入った事、不愉快でたまらないのに。




「………」
「あ、おかえりー、早かったね」



「勝手に見るな」ってメモ帳を取られて、



「あーー、なんで…………」


既に使用済みなページがビリビリに破られてゴミ箱にひらひらと落ちていく。

それをベッドに横になりながら無気力に見ていた。


「……」
「ねえ真冬、なんでここに先輩入れちゃうの?」



ベッドサイドのゴミ箱の前でボクに背を向けて紙を破る真冬に聞いた。



「………」



答えは無かった。



「ここはもう誰もいれたくないって言ってたじゃん、あれ嘘だったのー?」


結構無気力に聞いてるけど、割と本気で疑問。



「まさか………澪先輩に気を許してるとか、ないよねぇ」



真冬がゆっくり振り向いた。




「………馬鹿馬鹿しい」

「えーひどいー!」







………え?



なんで今、否定しなかったの?






真冬がボク以外に気を許すとか、ありえない。





「……先輩飲まなかったから飲んで」


そう言って貰った名前はわからない紅茶。

さっき部屋に入ってくる時に出窓の台にこれがあったからすごく入ってきづらかった。







………吐きそうな程甘い。







「………真冬」
「……?」



飲んでいる途中で、カップから口を離した。





「………邪魔だなぁ、澪先輩。」







正直自分で自分が分からなくなる。


こんな酷いことを何の罪悪感もなく言えてしまうから。



……でも、




(せっかく上手くいってたのにさ………


真冬の感情はボクに一滴残らずくれるものでしょ?それが少しでも他人のものになるなんて………)




そんなの、絶対嫌だ。


勿体ないじゃん、せっかく寂しさを埋めてくれる人がいるのに。





「……ごめんね、のこと、こんな風に言って。」




また、名前のわからない甘ったるい紅茶を口に運ぶ。 



ようやく飲み終えて………喉が気持ち悪くて、吐いてしまいそうだった。




「自分の事知るのが怖いよ、本当に」





しばらく沈黙が続く。








数分間が永遠に感じられた。









「……勝手に友達とか決めつけるの、嫌い」




破ったのは真冬。


今日は喉の調子がいいのか、筆談じゃなくて声で会話が出来てる。





「……学校とか、大人は勝手に友達って決めつける。そんなんじゃないのに」



小学校とかでよく「クラスのおともだち」なんていう、クラスメイト=友達、みたいな訳の分からない決めつけ。


あれは本当に嫌いだし、真冬の気持ちもよくわかる。







「僕の友達は僕で決める………




僕の友達は………李世だけだから」








………ボクだけ







なにそれ





どうして顔が緩むんだろ。







(そっか………)



真冬の友達はボクだけ。



たった1人の友達だから、何してもいいんだ。











「………………ッ」






体が熱い。



(なんだろ……すごい、ゾクゾクする)






真っ直ぐにボクだけを見てくれる目。


全てがボクの為だけに作られたような彼の存在。




髪が、目が、指が、足が、






全部、全部全部全部全部









(………支配したい。)














ーーーーー





リセハ 支配欲ガ 100 アガッタ!




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