ゆうみお

あまみや。旧

文字の大きさ
上 下
159 / 260
4章 二学期(2)。

152.打ち明け

しおりを挟む

(郁人side 海斗)

もうすぐ冬休み。

教室で課題をやっていると、



「あの……郁人、いる?」




隣のクラスのはずの海斗が、僕のところに来た。





ーーー


「どうしたの?僕に用って珍しい………」

教室から廊下に出て、教科書ロッカーのところに行く。


「えっと……あの…さ」



……?
なんか、よそよそしいような




「何?HR始まるから早く………」
「っ……あの、まだ他の皆には言わないで欲しい!!」
「……?うん………」



他の皆………澪と、優馬と未来斗のことか。

なんだろ………全然わかんない。




「………父親から、言われたんだけど、」   



海斗は俯きながらそんな前置きをつけた。


大した事じゃないなら勿体ぶらずに早く終わらせて欲しいけど、どうも様子がおかしい。




「うん……」





そして、未来斗じゃない。僕に言うって、



それって……かなり、







「あの………俺、







また………転校、するらしくて」









……………




………………




…………………








「………え…………」








ーーー


(澪side 優馬 郁人 海斗)



「どういうこと!!?」


「「……!」」



優馬に分からない英語の課題を聞いていたら、廊下から郁人の声が聞こえてきた。
 

すぐに優馬と廊下に出て、2人を探す。



「どうしたの…?!教室まで聞こえたけど……」
「「……!」」



「澪、優馬…!海斗が」
「待てって、まだ言うなよ……!」
「でも………」



………?

なにがあったのかは分からないけど、海斗が隠し事をしていることは分かった。



「………っ………、分かった……でも、明明後日から冬休みだからね」



珍しく余裕がなさそうだった郁人はすぐに頭を冷やして、冷静な口調で海斗にそんなことを言っていた。



「うん……うん、分かってる」




ーーー


朝のHRを終えて、

「なあ郁人、さっき何話してたの?」



なんか………僕達も海斗の口から直接聞かないといけないような感じだったのに、普通に優馬が郁人に聞いてた。



「………言っていいのかな………」
「言えよ!焦らされるの嫌いなんだよ!」


「俺の昼飯あげるから」って鞄から抹茶のペットボトルとコッペパンを出した優馬に、郁人はため息をついた。


「いやいらない………、ていうかどうせすぐ知る事になると思うけど」



………



「あ……僕もメロンパンあげる」
「澪も気になってるんだ……」




ーーー



「僕知らないから、自己責任だからね」って言われて、覚悟して聞いた。


「転校するんだって……、冬休み中に」



………!



「え……どこに?」
「そこまでは……」

「東京じゃね?あいつ東京から来てたし」


………ああ、



「……ていうか……2人とも思ったより冷静だね、僕大声出たのに………」


郁人がそう言うと、僕も優馬もきょとんとして、





「別に死に別れじゃないじゃん?今はSNSもあるし会えないわけじゃないしな!」
「うん、ここから東京って遠いけど北海道から沖縄よりは全然近いしね」





郁人が大分驚いてた。


「すごい……ポジティブ」
「てかどっちにしろ学生生活もあと3ヶ月だしなー」


……そう考えると、このタイミングで転校って……変だな。


どうせ3ヶ月なんだからこっちにいればいいのに。


家庭の事情があるから、あんまり首突っ込めないけど………





「でも………未来斗はショック受けるんじゃない?」



未来斗は海斗にあんなに執着してたから、



「そうだよね……伝えらんないよね………」
「でもどっちにしろ終業式の日に言うんじゃね?HRで」



………あ、そっか。




「……でもその時知ったとして、本人が先に教えてくれなかったら辛いと思うよ」

……、

郁人の言う通り、他人から聞くのと本人から聞くのじゃ大分違う気がする。





「言えるといいなー……」
「「だね……」」










しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

王様のナミダ

白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。 端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。 驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。 ※会長受けです。 駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。

隊長さんとボク

ばたかっぷ
BL
ボクの名前はエナ。 エドリアーリアナ国の守護神獣だけど、斑色の毛並みのボクはいつもひとりぼっち。 そんなボクの前に現れたのは優しい隊長さんだった――。 王候騎士団隊長さんが大好きな小動物が頑張る、なんちゃってファンタジーです。 きゅ~きゅ~鳴くもふもふな小動物とそのもふもふを愛でる隊長さんで構成されています。 えろ皆無らぶ成分も極小ですσ(^◇^;)本格ファンタジーをお求めの方は回れ右でお願いします~m(_ _)m

笑わない風紀委員長

馬酔木ビシア
BL
風紀委員長の龍神は、容姿端麗で才色兼備だが周囲からは『笑わない風紀委員長』と呼ばれているほど表情の変化が少ない。 が、それは風紀委員として真面目に職務に当たらねばという強い使命感のもと表情含め笑うことが少ないだけであった。 そんなある日、時期外れの転校生がやってきて次々に人気者を手玉に取った事で学園内を混乱に陥れる。 仕事が多くなった龍神が学園内を奔走する内に 彼の表情に接する者が増え始め── ※作者は知識なし・文才なしの一般人ですのでご了承ください。何言っちゃってんのこいつ状態になる可能性大。 ※この作品は私が単純にクールでちょっと可愛い男子が書きたかっただけの自己満作品ですので読む際はその点をご了承ください。 ※文や誤字脱字へのご指摘はウエルカムです!アンチコメントと荒らしだけはやめて頂きたく……。 ※オチ未定。いつかアンケートで決めようかな、なんて思っております。見切り発車ですすみません……。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

もういいや

ちゃんちゃん
BL
急遽、有名で偏差値がバカ高い高校に編入した時雨 薊。兄である柊樹とともに編入したが…… まぁ……巻き込まれるよね!主人公だもん! しかも男子校かよ……… ーーーーーーーー 亀更新です☆期待しないでください☆

傷だらけの僕は空をみる

猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。 生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。 諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。 身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。 ハッピーエンドです。 若干の胸くそが出てきます。 ちょっと痛い表現出てくるかもです。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

処理中です...