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3章 二学期(1)。
113.「愛してるよ…!」
しおりを挟む(海斗side)
「かーーいーーーと!!!!」
「オウフッ」
びっくりした。
「な……何?」
「愛してるゲームしよ!」
???
6時間目は自習で、未来斗が俺の席に来て一緒に勉強している最中だった。
「何それ」
「いろんな言い方で『愛してる』って言って先に照れた方が負け!やろ!!」
テスト勉強させて欲しい……。
「中間考査せまってるぞ」
「聞き"たくな"ァ"ァァいッッッッ」
駄目だこいつ…………
「はは……まあ、ここの問題が終わったら少し付き合ってあげ「海斗、愛してる」ピィアッ」
不意打ちずるい………
いきなり低音ボイスで耳責めされた。
「今の……照れた?」
「照れてない!!」
「そっかーー」
ああもう………
「付き合ってやればいいんだろ?!……はぁ、
あ……愛してる………」
いや、普通に恥ずかしすぎるんだけど…………
未来斗がぽかんとした顔をした。
「可愛すぎて、全然照れないむしろにやける」
「わ、悪かったな………」
次。
「フッ……愛してる」
未来斗が頑張ってイケボを出した。
「そのままの声の方が……まあ、俺は照れるかな」
「えー!」
「好き、愛してる」
俺も今度は普通に言ってみた。
「……!ほんとだ!なんか普通に言われた方が本当に言われてるみたいだな!」
………………え
「そ、そそそんなわけ!!!」
「海斗が赤くなっちゃ駄目だろ………」
ーー
「愛してる、付き合って欲しい!」
…………っ!
「う、うん……いい、よ」
「あはは、海斗ノってくれてる!」
ガチなんだけど…………
「っ…………ああもう、俺も好きだよ!愛してるよ未来斗!!」
なんだか、ヤケになってきた。
席を立ってネクタイをつかんで叫んでやった。
「………………海斗……叫ぶのは、周りの迷惑考えような」
「ごめんなさい……」
めっちゃ周りに見られてる。
それでも続ける。
「俺も愛してる!今度デートしないか?」
「俺の方が愛してるよ……、どこ行く?」
「俺の方が好きだし愛してるから!んー……ミオンとか?」
「買い物にでも行くのかよ……あ、愛してる」
「何時頃に行こっか!考査明けの土曜日でいい?あとあいしてる!」
「10時頃だな、……愛してる…未来斗……」
「りょーかい!これからも愛してるから!海斗っ!」
「はいはい、俺も愛してるよ」
………………何だこれ。
「さりげなく遊ぶ約束しちゃったな」
「いつの間にかゲームの方がさりげなくなってたなー!」
周りからガン見されてた。
ーーー
放課後。
「澪、優馬、郁人帰ろーーっ!!」
今日は珍しく早くホームルームが終わった。
「……未来斗、行くの早いって……ていうかまだホームルームやってるし…!!」
(あ、ほんとだ。)
「あはは、ははー、すみませんーー」
とりあえず未来斗は先生にぺこぺこして、廊下に出た。
「あはは、恥ずかし…」
困り顔で笑ってる未来斗天使
「未来斗にも恥ずかしいって概念あったんだな?」
「……!あるよー!俺仲良くない人達の前で目立つのすっごい嫌いだし!!」
意外だった…………
「校歌の全校合唱なんて毎回口パクで歌ってるし!」
「それはなんか、聞きたくなかったなー………」
ちなみに………校歌の全校合唱は、
澪…口だけ動かす口パク
優馬…立ち寝(口パク)
未来斗…妄想中(集中しすぎて目が死んでる)
海斗…唯一真面目に歌ってる
郁人…先生が近くなると口開ける(口パク)
李世…口すら開けない
真冬…マスクする
「あれ、絶対誰も歌ってないよなー」
「テープに録音されてる声しか聞こえないよな……」
そんなことを話しているうちに、ホームルームが終わった。
ーーー
「てっすとー、てすと、あとすこしでなんとか考査ーー!!!」
「中間考査な」
嬉しくはないんだろうけど嬉しそうに鼻歌を歌って一番前を楽しそうに歩く未来斗。
「何がそんなに嬉しいの………」
「早く帰れる!漫画読み放題!」
「勉強する為だからね……その時間」
澪はテストが近いからか不機嫌そうで、その隣で優馬が少しだけ機嫌良さそうにしてる。
澪の隣に居るからかな…………
「郁人……、なんか具合悪そうだけど、大丈夫か?」
「……!う…うん、大丈夫!」
………………?
「何か悩みがあるなら……その、と…友達だから、聞いてやらなくもない……けど」
「そう……?」
頷くと、
「…………ねえ、僕の名前、なんて読むと思う……?」
……………………え…………?
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