ゆうみお

あまみや。旧

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3章 二学期(1)。

110.俺だけのものなのに………

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(郁人side)







ああ………………もう







ぐちゃぐちゃだ………………何もかも、











愛した人が、他の奴に惹かれてく。











もう………………耐えられない。










「桜木、どうした?なんだか具合が悪そうだけど………あ、もしかしてオバブ○?桜木オバっちゃう?」

「先生…………」








何も聞きたくない。







 もう………………何も。








…………全部、消したい。









「おう?」

「僕は……俺は、澪のこと………こんなに愛してるのに、どうして澪は…………」






止まらなくなりそうだった。



先生は何かを察したのか、真剣な顔になった。






「俺には澪しかいないのに!!!なんで…なんで離れていっちゃうんですか……!!?」






そのせいで、調子に乗ってしまった。








「うん、辛いな」
「そんな簡単なものじゃないです!!澪は…………澪は、俺の全て……」








すべて………………










『澪、行こ?』
『うん…っ!』










………………………………!!!!











チガウ………… 








(あいつが…………あいつがいるから、澪の全てを………………)








あいつに奪われた










嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ











「そんなの…………絶対に嫌だッ!!!!!」











澪は………………誰にも渡さない、









「無理矢理にでも奪い返してやる……何を犠牲にしたってかまわな…ッ」
 




その時だった。










「ッ、…………え………………?」








先生が俺の前に来て、








ぽん、と1回………頭を撫でた。










「せんせい……?」
「よしよし」






 ………………は??






「こ、子供みたいな扱いやめてください!!」
「別にこれくらい子供じゃなくてもやるだろ、それに先生から見たらお前なんてまだまだガキだよ」





…………!





「ッ……やめろ!!」
「うおっ、」





未だに髪に触れる手を思いっきり突き放した。



でも……先生は少し声を上げて、動揺もせずに、





「可愛いもんだよ、お前みたいなガキの嫉妬なんて」







そう言って………嘲笑われた。   







怒りを通り越して、呆れていた。

 



「そうですか……、人を殺してでも手に入れたいって思うくらいの俺の嫉妬、そんなに可愛いんですね………?」




「殺せるなら殺してみればいい、ほら、包丁」


今どこから出した………







「それで先生を殺してみろ」
「…………」







この人がいようがいなかろうが俺の問題には何も関係ない、そう分かってこんな事を言ってるんだろう。




人も殺せないようなセラミックの白い果物ナイフ。



どこから出したのかは置いておいて、それを受け取った。






「……先生を殺した所で、澪が手に入るわけじゃない」
「予行練習だよ、先生殺す勇気がないなら早苗を殺すのだって無理だろ?」 





……………… 





「それに、こんな小さなナイフで人なんて…………」
「刺すだけ刺せよ、……ていうかさっきから言い訳ばっかで、本当は殺す勇気なんてないんだろ?」






……………………!!!







「先生………最低ですね」
「そうだな」










ほんと…………………………最悪だ。














ーーー



地震の被害に遭われた方、お気を付けてお過ごしください。




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