116 / 260
3章 二学期(1)。
110.俺だけのものなのに………
しおりを挟む(郁人side)
ああ………………もう
ぐちゃぐちゃだ………………何もかも、
愛した人が、他の奴に惹かれてく。
もう………………耐えられない。
「桜木、どうした?なんだか具合が悪そうだけど………あ、もしかしてオバブ○?桜木オバっちゃう?」
「先生…………」
何も聞きたくない。
もう………………何も。
…………全部、消したい。
「おう?」
「僕は……俺は、澪のこと………こんなに愛してるのに、どうして澪は…………」
止まらなくなりそうだった。
先生は何かを察したのか、真剣な顔になった。
「俺には澪しかいないのに!!!なんで…なんで離れていっちゃうんですか……!!?」
そのせいで、調子に乗ってしまった。
「うん、辛いな」
「そんな簡単なものじゃないです!!澪は…………澪は、俺の全て……」
すべて………………
『澪、行こ?』
『うん…っ!』
………………………………!!!!
チガウ…………
(あいつが…………あいつがいるから、澪の全てを………………)
あいつに奪われた
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
「そんなの…………絶対に嫌だッ!!!!!」
澪は………………誰にも渡さない、
「無理矢理にでも奪い返してやる……何を犠牲にしたってかまわな…ッ」
その時だった。
「ッ、…………え………………?」
先生が俺の前に来て、
ぽん、と1回………頭を撫でた。
「せんせい……?」
「よしよし」
………………は??
「こ、子供みたいな扱いやめてください!!」
「別にこれくらい子供じゃなくてもやるだろ、それに先生から見たらお前なんてまだまだガキだよ」
…………!
「ッ……やめろ!!」
「うおっ、」
未だに髪に触れる手を思いっきり突き放した。
でも……先生は少し声を上げて、動揺もせずに、
「可愛いもんだよ、お前みたいなガキの嫉妬なんて」
そう言って………嘲笑われた。
怒りを通り越して、呆れていた。
「そうですか……、人を殺してでも手に入れたいって思うくらいの俺の嫉妬、そんなに可愛いんですね………?」
「殺せるなら殺してみればいい、ほら、包丁」
今どこから出した………
「それで先生を殺してみろ」
「…………」
この人がいようがいなかろうが俺の問題には何も関係ない、そう分かってこんな事を言ってるんだろう。
人も殺せないようなセラミックの白い果物ナイフ。
どこから出したのかは置いておいて、それを受け取った。
「……先生を殺した所で、澪が手に入るわけじゃない」
「予行練習だよ、先生殺す勇気がないなら早苗を殺すのだって無理だろ?」
………………
「それに、こんな小さなナイフで人なんて…………」
「刺すだけ刺せよ、……ていうかさっきから言い訳ばっかで、本当は殺す勇気なんてないんだろ?」
……………………!!!
「先生………最低ですね」
「そうだな」
ほんと…………………………最悪だ。
ーーー
地震の被害に遭われた方、お気を付けてお過ごしください。
0
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説

花屋の息子
きの
BL
ひょんなことから異世界転移してしまった、至って普通の男子高校生、橘伊織。
森の中を一人彷徨っていると運良く優しい夫婦に出会い、ひとまずその世界で過ごしていくことにするが___?
瞳を見て相手の感情がわかる能力を持つ、普段は冷静沈着無愛想だけど受けにだけ甘くて溺愛な攻め×至って普通の男子高校生な受け
の、お話です。
不定期更新。大体一週間間隔のつもりです。
攻めが出てくるまでちょっとかかります。

王様のナミダ
白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。
端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。
驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。
※会長受けです。
駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……

傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる