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2章 夏休み。
100.はぐれた…
しおりを挟む(澪side)
「……あっ、なんか見覚えのある奴らがいる!」
………………この声は、
「西原先輩…!と、二階堂先輩」
やっぱり…………
「……あ、この前の人」
「莉音、知ってるの?」
「うん、前に未来斗と話してたら会って」
それを聞いた未来斗が振り向いて、2人に気付いてすごく嫌そうな顔をしてた。
「……うげ」
「未来斗ひどいなぁ、従兄弟でしょ?優しくしてよー」
チーズドックの伸びたチーズを飲み込んで、再度振り向いた。
「……何でいるんですか」
「俺が夏祭りにいちゃいけない法律はないでしょ?」
舌打ちした……あの未来斗が…………
「さっきぶりだね、優馬」
「あ、さっきぶりですね!ニコッ!」
…………ていうか、
「未来斗は先輩のこと……苦手なの?」
一応仲直りはしたはずなのに…………
隣に行ってこそっと耳打ちしてみた。
「苦手というか……人間性が好かない」
「生理的に無理、みたいな?」
未来斗でもそういうことあるんだ。
「可愛い従兄弟に嫌われた~、慰めてりゅーき」
わざとらしいな。
「慰める?……金魚でもすくいに行くか?」
「あ…う、うん、そうだね」
二階堂先輩は西原先輩の右後ろでかき氷を食べながら他の出店をキョロキョロと見ていた。
…………ギャップが、可愛い………………
ーーー
「じゃあまたねー」
(未来斗がずっと機嫌悪かったから……早めに帰ってもらえて助かった)
「次……何する?」
そう言って振り返った途端、
「…………わっ………!」
いきなり人のなだれが来た。
(まずい……はぐれる………!)
必死に手を伸ばしたけど、
「っ…………わ、ぁ……あ」
行列に流れてしまった………………
「み…澪!!!」
ーーー
「…………っ、う…………」
なだれが落ち着いて、ゆっくりと目を開けると、
「……!」
木の下に座るように倒れていて、すぐ目の前で優馬が僕を守るように腕でホールドされていた。
「澪……大丈夫?」
「あ…えっと……うん…………」
何だこの状況………
とりあえず立ち上がって、体制と服装を整えた。
「さてと……まあ、はぐれたみたいだな」
「そんな…………」
見覚えのない場所。
相変わらずの人混みで、未来斗達を見つけられるわけもない。
……困った。
ーーー
(郁人side)
「…………う…嘘、桜木!ねぇ……どこ………………」
見つけた……!
「莉音…!」
「っ……!……あ、さ…………桜木…………」
さっきのなだれで海斗以外の人とはぐれてしまった。
なんとか莉音は見つけたけど…………
「……っ…桜木ぃ…………」
「あぁ……大丈夫、もう大丈夫だから泣かないで」
とりあえず、莉音だけでも見つけられて良かった………
「郁人……!お前勝手に離れんなよ、俺達まではぐれたら………」
「……海斗!他の皆は?」
「あ、莉音………、澪達は、はぐれちゃった………」
とりあえず……莉音と海斗とは会えたし、
澪達……………大丈夫かな。
ーーー
(未来斗side)
「嘘だろ……」
皆と、はぐれた………、、
「………っ!澪…!郁人!!」
返事がない………
(どう、しよ……………)
携帯も持ってきていなくてかなりパニックになってしまって、とにかく歩いた。
誰か……知っている人がいれば……少しは安心できる。
そう、信じて、
「………!」
すると、数メートル先に見た事のある、白髪ショートの背の小さい後ろ姿が見えた。
「まさか……あれって」
駆け寄って、肩に手を置いた。
「ま……まふ「……ひあぁ……ッ!!?」……………え?」
こんな叫び方するような子だったっけ……………
振り向くと、その子は……………
(あれ……)
真冬に似てるけど、真冬じゃない。
「だ……大丈夫ですか、シロ」
誰だ……………この子。
ーーー
「ご…ごめん!人違いだった!」
「……!あ、いえ、全然大丈夫です……!行きますよ、シロ」
「う……うん、青葉。」
...。
真冬似の男の子の隣には李世似ではないけれど、なんとなくタイプは似ているような……律儀そうな子がいた。
まあ、黒髪に眼鏡で、李世とは正反対のタイプって感じだけど………
「全く……なずな達とははぐれるし、」
………ん?
「お前らも、迷子なの?」
「……はい?」
仲間だ…………!
「俺も迷子なんだーっ!なあ、一緒に探さない?」
にこーっ!
「……ねぇ青葉、この人怪しい」
「怪しいですね、なんかずっと笑顔だし………」
なんかこそこそ話してる。
「……まあ、人探しくらいなら手伝いますよ、えっと…名前は?」
「名前…?鳳未来斗!お前らはー?」
「俺は青葉です」
「僕は……えっと、知らない人に下の名前教えちゃ駄目だから………ひ、柊」
さっきシロってばりばり言ってたよな。
ーーー
「お前ら俺の後輩に似ててさー、ほんとそっくりなんだよ!特に柊と!」
「そうなんですか?こんなのと似てるなんて相当駄目人間なんですね……」
「青葉ひどい………」
こっちの2人は、関係は李世と真冬とはちょっと違った。
李世に似ている青葉って子の方が辛辣だ。
「あはは……、てかお前らどこ校?」
「西校です、2年生」
西校ってことは………
「ああ、うちと合併するところか!」
「ていうことは東校なんですね、2年生ですか?」
「ううん!俺はもう今年で卒業だから……、でもそうすると、俺の後輩達と同じ学年だ!」
主に話してくれるのは青葉で、そういうところは李世と似ている。
「あいつら結構個性強いし可愛くてモテるけど、そこにまたお前らが来たら………ひえ、もはや女子校」
ーーー
「仲良くなれたらいいんですけどね……その子達と」
「きっとなれるよ!なんなら俺が先に伝えとく!」
「ありがとうございます……」
まあ、李世と真冬なら仲良くしてくれるよな、うん!
「……………あっ」
「シロ?なにか見つけましたか?」
「なずな達……いたよ」
「……!あ、ほんとだ!」
どうやら、一足先に見つけてしまったらしい。
また1人で心細いけど………まあ、大丈夫…かな。
ーーー
「あの……良かったら連絡先交換しませんか?統合する前に校舎を見ておきたくて。」
「いいけど……携帯忘れたから電話番号だけ送っとく!」
連絡先まで交換出来てしまった。
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