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2章 夏休み。
99.夏祭り
しおりを挟む今日は夏祭りがあります…!
「美優、浴衣似合ってる…!可愛い……!」
「あ…ありがとうございます、そんなぴょこぴょこ跳ねないで下さい……」
つい僕も浮かれてしまって、自然と動きがうざったくなっていたと思う。
「俺は陸斗と行くから、お土産買ってきてあげるよ」
「まあ僕達も行くんだけどね……」
春樹兄さんは陸斗さんと、
美優は明日香とうたさんと、
そして僕は優馬達と。
…………楽しみ、だな。
ーーー
夕方5時、待ち合わせ場所についた。
「あ、澪!早いな」
「優馬……、久しぶり、」
一番初めに着いて、しばらく待っていたら優馬が来た。
「さっき西原先輩達に会ってさ、今夏休みだから実家に帰ってきてるみたい」
「そっか、大学生になったから…もうあの家にはいないんだね」
そんなことを話していると、
「…………あっ、先輩方!」
聞き慣れた声がした。
「李世さんと……真冬さん」
振り向くと、いつものように黒いTシャツの上にパーカーを着て前を開けている李世さんと、少しぶかぶかなワイシャツを着た真冬さんがいた。
「前々から思ってたんですけど、李世でいいですよ~、後輩ですし……」
「わ…分かった、…………李世…たちも、夏祭り?」
違和感…………
「はい!まあボクたちはコンビニでお菓子でも買って人のいないところで花火見て帰るだけですけど…………」
どうやら会場には行かないらしい。
何でだろうと思ってたけど、
「もし人混みで真冬がはぐれたりしたら…………大変だから。」
そう言って、李世は触覚を髪でくるくるといじりながら苦笑いした。
「…………」
……………………?
ーーー
「それじゃあ!また会いましょー!」
「……」ペコ
2人がいなくなってから、また優馬とふたりきりになった。
「………………そうだ、澪。俺渡したい物が……」
「え、何?」
何だろうと思って優馬を見たけど、
「……あ、や、やっぱ後でいいや…!!そんな大事なものでもないし!」
「えっ、なんなんだよ……もう」
変な奴………………
ーーー
「おまたせー!」
「お…おまたせ」
次に、未来斗と海斗が一緒に来た。
「あとは郁人だね。」
「おっそいなーー、あいつ……、まあいいや、澪、屋台行ったら何食べたい?」
「全部」
…………………………
…………しばらく話していると、
「……あれ?あれって莉音じゃ…………」
待ち合わせしている公園の外を、桃髪に桃色の浴衣を着た…一見美少女が歩いていた。
「浴衣着てる……可愛い」
声を掛けに行こうと思って、莉音の元に向かうと、
「…………!……あ、えと…澪」
声をかける前に、莉音が先に気付いてこっちを見た。
少しだけ………距離を置かれているような、変な距離感があったけど、莉音はすぐに笑った。
「澪達もお祭り?ボクは1人で来たんだけど…………あ……桜木……も?」
「うん、郁人も今来ると思う………もし良かったら、一緒に回る?」
…………あ、優馬達に一緒に回っていいか聞いてない。
まあ、いっか……………
「えっ!……う、うーん…………ボクは……「あれ、莉音だ」…!桜木!」
タイミング良し。
「わぁ、浴衣可愛い…!一緒に回ろうよ、ね?」
「さ……桜木が言う、なら」
ーーー
「莉音だーーっ!久しぶりに会ったけど可愛い!!!」
「あはは……浮気しないの、未来斗」
莉音が愛想笑いするすぐ隣で、海斗が拗ねてた。
「しかし……こうして見るとほんとに女みたいだな………」
「まあ、食事制限とか頑張って体型華奢にしてるからね……これならもう、普通の貧乳女子でいけちゃわない?」
桜柄に赤色の帯を付けて、後ろで綺麗にリボンが巻かれている。
………まあ、これなら多分何も知らない人は女子って勘違いしそう。
「髪の毛、自分でやったの…?」
「う、うん!可愛いでしょ、ツインお団子」
両脇に団子があって、触覚はストレートすぎなくてちょっと巻かれてて可愛い。
「器用なんだね。」
「ありがと……っ!」
ーーー
しばらく歩いてお祭りの会場についた。
「わぁ……!沢山屋台が並んでる!ボクこのお祭りの雰囲気好き~!」
屋台が沢山並んでて、証明は橙色。
日本らしい音楽が流れていて、空もいい感じに暗くなっている。
「海斗!あっちに金魚すくいある!」
「あ…あっちには射的が……す、すごい…すごいな……!」
特に海斗がはしゃいでいた、お祭り初めてなのかな。
「きょ……去年は勉強忙しくて行けなかったけど、今年は皆と行けると思ったから………勉強、頑張ったんだ…………」
そう言って照れくさそうに笑ってた。
……………………天使、かな…………?
「じゃあ今日は楽しまないとなっ!何食べたい?」
「えっと……じゃ、じゃあ………」
ーーー
わたあめ。
「ふわふわだ…………感動……」
「わたあめって……儚げ受けだよね」
「郁人、それすごいわかる」
チョコバナナ。
「バナナに……バナナにチョコが!!」
「バナナは攻め」
「だね……」
焼きそば。
「家で食べる焼きそばより美味しい!」
「屋台だからこその美味しさ……」モグモグ
ーーー
かき氷。
「澪……何味にしたの?」
「メロン。」
やっぱりメロン派。
「舌緑になってるーー、可愛い!」
「優馬こそ……青くなってる」
ブルーハワイにしたのか、かき氷も青いし舌も青い。
「あ、ほんとだ。」
ーーー
(李世side)
「とりあえずこんな感じでよかったかなー、アイス買ったし、食べながら行こうよ」
コンビニで食べ物を買って、目的地の高台まで歩き始めた。
「………」コクン
………ていうか、アイスをかったのはいいけど……ちょっと寒いかも。
「真冬、寒いなら食べなくても………」
「……」モグモグ
ってもう食べてるし…………
「…………くしゅ」
「言わんこっちゃない………」
いや渡したのはボクだけど。
「………!」
「とりあえずボクのパーカー着てて、風邪引かないでね」
サイズ……ちょっとだけぶかぶかだけどいっか。
ちなみに大分身長伸びましたっドヤ
「……」パクパク
「ん?ボクは別に平気だよ」
ちょっと寒いけど………まあ、肉まんとかも買ったし。
「じゃ、行こっか!」
「……………………あ、」
ん?
「………………あり…がと。」
…………
「いえいえっ!…あ、結婚する??」
「……は?」
パーカーギュッからの上目遣いは尊すぎた。
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