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2章 夏休み。
75.質問
しおりを挟む「そんな事ないですよ。ああ見えて2人とも、いろいろ考えてるんです」
未来斗は分からないけど………明日香さんは、じゅうぶん出会った頃から成長してる。
それに……あの子は本当は面倒みのいい、優しい子だ。
「そう……。それなら、良かった……。」
なんか……しんみりしてる。
「……ふふ、ところで、何か手伝えますか?」
「じゃあ……ほうれん草を切ってもらえるかねェ……、あの子達、昔っからほうれん草が嫌いで………おひたしにするから……。」
2人の嫌いな物も、ちゃんと分かってる。
………いい、人だな。
ーーー
「遅くなってごめんねーー!買い物やっと終わった!」
ご飯を作っている時に、やっと明日香さん達の両親が帰ってきた。
「あ、ああぁ……!お母さんごめんね!来るの遅れちゃって……作者に忘れられてて………蜂谷君、休んでないで手伝うよ!」
明るいお母さんのお陰で、その場がぱぁ、と明るくなった。
「………俺は風呂を沸かしてくるぜ☆」
「明日香さんがもうやってましたよ……?」
ーーー
ご飯が出来て、皆がリビングに集まった。
「とてもいい湯でした!!全身大やけどですっ!」ニコ-ッ
髪はまだ少し濡れていて、黒いスウェットを着てゆでだこみたいになってる未来斗。
「未来斗、髪濡れてる。ちゃんと拭かないと風邪ひくから……」
面倒みのいい海斗が肩にかかっていたタオルで未来斗の頭をわしゃわしゃと拭いてあげていた。
「あらあら、まるで恋人みたいね~」
「なッ……どこの馬の骨かも分からない男、父さんは認めな「そ、そんなんじゃないから……!」」
親子公認(?)なんだな……………
親2人のお酒がいい感じにまわってきたとき、明日香さんが2人に聞いた。
「…………ねぇ、お母さん、お父さん。」
「んー?どうしたの?」
「……ヒック、う……?」
「お母さん達は………もし、私と未来斗が同性の人と、恋愛関係になっても……認めてくれる?」
………………
その質問で、賑やかだった食卓が急に静かになった。
…………そうもなると思う。
明日香さんの目が、声が……真剣だ。
「…………そう、ねぇ。その場合……うちの家系は終わっちゃうわね。」
………………
確かにそれは、問題の1つかもしれない。
自分の家系が継げなくなるのは、子供をうんだ身からすれば、辛いことだと思う。
「まあ、お母さんは全然構わないよ!跡継ぎより、自分の子の幸せが一番だもん……!」
…………!
同性愛への偏見が多いこの世の中で、
そんな風に認めてくれる人…………なかなかいない。
私には関係なくても、どこか……嬉しく感じた。
「お父さんも、馬の骨が分かれば別に構わないぞ!」
「そっか……良かった。」
明日香さん…………
(誰か……好きな人がいるのかな)
ーーー
午後11時。
寝る支度が出来て……皆解散して、それぞれの部屋に入った。
「明日香さん、良かったですね!ご両親に認めていただけて。」
「うん!なんか安心したー…身内の中だけじゃ言えなそうだったから……」
そっか……だから、私達がいる時に言ったんだ。
「お母さんは元から腐女子百合女子だったからなんとなく大丈夫だし、お父さんもお母さんの言うことに従うから大丈夫かなーとは薄々思ってたんだけどね…。」
「そうだったんですか……まあ、どの道良かったですね!」
きっと……海斗と未来斗のことを、助けてたのかな。
「これで海斗さんと未来斗さんも気兼ねなく……」
「……ん?」
……ん??
「あの2人のためじゃなかったんですか………?」
あれ……
違った、のかな………
「え……えええ……!!!気付いてなかったの!?」
「!?…は、はい……?」
どういう……?
私……何に、気付いてなかったんだろ………
「はぁ……お兄さん同様鈍感なんだから」
「…?…?」
よく分かんないけど………なんか……ごめんなさい。
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