ゆうみお

あまみや。旧

文字の大きさ
上 下
80 / 260
2章 夏休み。

75.質問

しおりを挟む


「そんな事ないですよ。ああ見えて2人とも、いろいろ考えてるんです」



未来斗は分からないけど………明日香さんは、じゅうぶん出会った頃から成長してる。



それに……あの子は本当は面倒みのいい、優しい子だ。




「そう……。それなら、良かった……。」




なんか……しんみりしてる。






「……ふふ、ところで、何か手伝えますか?」
「じゃあ……ほうれん草を切ってもらえるかねェ……、あの子達、昔っからほうれん草が嫌いで………おひたしにするから……。」



2人の嫌いな物も、ちゃんと分かってる。

………いい、人だな。







ーーー



「遅くなってごめんねーー!買い物やっと終わった!」


ご飯を作っている時に、やっと明日香さん達の両親が帰ってきた。



「あ、ああぁ……!お母さんごめんね!来るの遅れちゃって……作者に忘れられてて………蜂谷君、休んでないで手伝うよ!」



明るいお母さんのお陰で、その場がぱぁ、と明るくなった。



「………俺は風呂を沸かしてくるぜ☆」
「明日香さんがもうやってましたよ……?」




ーーー



ご飯が出来て、皆がリビングに集まった。



「とてもいい湯でした!!全身大やけどですっ!」ニコ-ッ


髪はまだ少し濡れていて、黒いスウェットを着てゆでだこみたいになってる未来斗。





「未来斗、髪濡れてる。ちゃんと拭かないと風邪ひくから……」

面倒みのいい海斗が肩にかかっていたタオルで未来斗の頭をわしゃわしゃと拭いてあげていた。


「あらあら、まるで恋人みたいね~」
「なッ……どこの馬の骨かも分からない男、父さんは認めな「そ、そんなんじゃないから……!」」



親子公認(?)なんだな……………








親2人のお酒がいい感じにまわってきたとき、明日香さんが2人に聞いた。






「…………ねぇ、お母さん、お父さん。」
「んー?どうしたの?」
「……ヒック、う……?」










「お母さん達は………もし、私と未来斗が同性の人と、恋愛関係になっても……認めてくれる?」











………………




その質問で、賑やかだった食卓が急に静かになった。



…………そうもなると思う。
 


明日香さんの目が、声が……真剣だ。








「…………そう、ねぇ。その場合……うちの家系は終わっちゃうわね。」



………………





確かにそれは、問題の1つかもしれない。

自分の家系が継げなくなるのは、子供をうんだ身からすれば、辛いことだと思う。





「まあ、お母さんは全然構わないよ!跡継ぎより、自分の子の幸せが一番だもん……!」




…………!






同性愛への偏見が多いこの世の中で、




そんな風に認めてくれる人…………なかなかいない。






私には関係なくても、どこか……嬉しく感じた。






「お父さんも、馬の骨が分かれば別に構わないぞ!」
「そっか……良かった。」





明日香さん…………







(誰か……好きな人がいるのかな)












ーーー


午後11時。




寝る支度が出来て……皆解散して、それぞれの部屋に入った。





「明日香さん、良かったですね!ご両親に認めていただけて。」
「うん!なんか安心したー…身内の中だけじゃ言えなそうだったから……」


そっか……だから、私達がいる時に言ったんだ。



「お母さんは元から腐女子百合女子だったからなんとなく大丈夫だし、お父さんもお母さんの言うことに従うから大丈夫かなーとは薄々思ってたんだけどね…。」
 
「そうだったんですか……まあ、どの道良かったですね!」



きっと……海斗と未来斗のことを、助けてたのかな。




「これで海斗さんと未来斗さんも気兼ねなく……」
「……ん?」




……ん??






「あの2人のためじゃなかったんですか………?」



あれ……



違った、のかな………






「え……えええ……!!!気付いてなかったの!?」
「!?…は、はい……?」




どういう……?


私……何に、気付いてなかったんだろ………






「はぁ……お兄さん同様鈍感なんだから」
「…?…?」





よく分かんないけど………なんか……ごめんなさい。








しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

新しい道を歩み始めた貴方へ

mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。 そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。 その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。 あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。 あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

僕の王子様

くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。 無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。 そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。 見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。 元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。 ※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。

風邪ひいた社会人がおねしょする話

こじらせた処女
BL
恋人の咲耶(さくや)が出張に行っている間、日翔(にちか)は風邪をひいてしまう。 一年前に風邪をひいたときには、咲耶にお粥を食べさせてもらったり、寝かしつけてもらったりと甘やかされたことを思い出して、寂しくなってしまう。一緒の気分を味わいたくて咲耶の部屋のベッドで寝るけれど…?

どうして、こうなった?

yoyo
BL
新社会として入社した会社の上司に嫌がらせをされて、久しぶりに会った友達の家で、おねしょしてしまう話です。

眺めるほうが好きなんだ

チョコキラー
BL
何事も見るからこそおもしろい。がモットーの主人公は、常におもしろいことの傍観者でありたいと願う。でも、彼からは周りを虜にする謎の色気がムンムンです!w 顔はクマがあり、前髪が長くて顔は見えにくいが、中々美形…! そんな彼は王道をみて楽しむ側だったのに、気づけば自分が中心に!? てな感じの巻き込まれくんでーす♪

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

処理中です...