ゆうみお

あまみや。旧

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2章 夏休み。

70.逆セクハラ

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(澪side)


数時間前に美優が出かけていって、お昼を食べながらついさっき起きてきた春樹兄さんとテレビを見ていた。


「やっぱり男性の萌えるポイントといえば筋肉ですよね!腹筋があるとたまらないです~!」



ショートカットの女の人がテレビの中でそんな話をしている。





「……………」チラ




……………






「兄さん……腹筋って、何」
「お腹の筋肉のことだよーー」




そんなものないんだけど………





「っ……なんでないの!!」
「急にヒステリックにならないで……?!」




これじゃ……………モテない。







ピンポン。






「澪ーっ、迎えに来たよ!」



そう……今日は優馬と進路を聞きに学校に行く日。
僕の方が学校に近いから、迎えに来てくれた。




「おはよ、優馬」
「もう1時だけどなー、ご飯食べてた?」



………ふと、気付いた。




「ううん、もう食べ終わった。行ってくるね、兄さん」
「うん、行ってらっしゃーい」






………………優馬なら……………











家を出て、僕は速攻優馬を路地裏に連れ込んだ。

ていうか、連れ込む力がないからついてきてもらった。





「……?どうしたの?」



優馬があほ面で見てくる。





「…………」




説明するのは面倒だったから、とりあえず壁に追い詰めて………





Tシャツをめくった。









「……………ッ、は……!!?」










「……ふーん………これが腹筋……」




まじまじ見ていると、いきなり頭を押さえてぐいっと後ろに引かれた。




「ななな何すんだよ!!!」
「あ、ごめん……腹筋ってのが見てみたくって………」



何それ……って、少し引かれた。





「………でも、あるんだね。」
「まあ……少しだけど鍛えてるしな」ドヤ





鍛えてる割にはなかった気がするけど。




(少し筋があったくらい………)







ーーー



路地裏から出た。



「にしてもまさか澪にセクハラされる日が来るとは思わなかった……」
「優馬が本気でキレてるの初めて見た、……レアだった。」


「そりゃ何も言わずにいきなりめくられたらキレるよ……ていうか俺、性格悪いよ?」





まあ、それは知ってる。




「………そういえば今日降水確率高いんだって、傘持ってきた?」
「持ってきてないよ、まあ財布あるし……雨降ったらどこかのお店にでも逃げよっか」





今は晴れてるから、降るような気はしないけど………



(まあ、ゲリラ豪雨ってこともあるしね)









ーーー



「失礼します!」
「失礼します。」




学校について進路指導室に行くと、そこには僕達のクラスの担任の先生だけがいた。



「………お、来たか。」



パソコンを打つ手を止めて、こっちを見る。




「………連絡してたの?」
「まあ、アポ無しじゃ流石に………」



優馬、この先生と仲悪いのによく連絡取れたな………
まあ、先生と生徒だし、心の底からは嫌えない……よね。





「あの……進路のことについて……聞きに………えっと……」


背の高い先生が目の前に立って、僕をじっと見つめてた。



(っ……なんか、すごい見られてる………)




「あの……その………」




目を逸らしてみても、つい緊張してしまう………





「っ……」ビクビク

「うちの嫁に何セクハラしてんですか!!セクハラされるのは俺だけでいいですよ!!!」


そう言って優馬に抱きしめられたけど、優馬の言ってることが少しアウト。



「誰がお前にそんなことするか!!!お前みたいなやつは……ああ、保健の北村が好きそうだな」



保健の先生、北村って言うんだ。
あの、イケメンフェチのド変態。




「っーー!!その話はもうやめてください!!湧いてきそうで怖い!!!」
「あ、もう手出されてたんだな」





ていうか………ここ、保健室のすぐ近く………そんなに騒いだら……………





「呼んだ?」



 

湧いた………!!







「ひっ……うわぁ……!!変態!!!」
「ふひ…褒め言葉だな……」



なんだこれ。



(てか……さっきから抱きしめられたままで目も隠されてて何が起きてるのか分からない)




 





「……ていうか、進路の話だろ?」
「あ、はい」



忘れてた。





「じゃあ、とりあえずそこのホールの…適当な椅子に座って待ってろ、資料持ってくから」
「分かりました、行こ、澪」




ーーー







進路指導室の前のホールには色々な資料や学校のパンフレットが置いてあって、今まで気付かなかったけど、本当にこの学校は周りのところより何倍も進路選択に協力してくれる学校なんだな、って思った。


適当にパンフレットを見て回っていると………僕に声が聞こえないところで、保健の先生と優馬が何か話していることに気付いた。








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