ゆうみお

あまみや。旧

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2章 夏休み。

68.おばあちゃん

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数時間後………ようやくついた。




「わぁ……」 




『ちょっと買い物に行きたいからここからは歩いていって欲しい』
そう言われて車から降りてみると………一面田んぼで、周りは森で囲まれていて、自然豊かな場所だった。


「ごめんね双葉ちゃん、ここかなり田舎で、スーパー行くのにも車で20分はかかるから……ここで降りないと大変なんだ」



そう明日香さんが説明してくれてたけど、



「いえ……こんな素敵な場所なら、沢山歩いてみたいですし、ちょうどいいです」



今日は空も晴れてるし………すごく、いいところだと思う。



「そっか…!こっちだよ、私の親戚の家!」




ーーー
 


「ぜぇ……はぁ……」
「大丈夫ですか……海斗さん」



まだ5分も歩いてないのに…………




「ひっ、う………、う、ううぅ"………」
「海斗…!呼吸がおかしなことになってる……!少し休もう!」



呼吸がおかしいというよりかは………今のは、何か戻したんじゃ……ってくらいのうめき声だった。



「この橋の先に駄菓子屋あるから、何か飲み物……」
「う"……ごめ、ひ、うう"ぅぅ"う…………」




この人……今までよく生きてこれたな。  






ーーー




「……ん、ぐ…ぐ……、……ぷは」


未来斗が炭酸ジュースを買ってきてあげると、海斗が一気にそれを飲んだ。


「おーいい飲みっぷりーー」
「っ…けほ、ありがと……お金返す」
「いいっていいって!」




「…………ふふ」




なんか………この2人は仲良しだなー。




「……、ところで美優さん、今回は澪がいないけど大丈夫?」



……えっ

(私……澪がいないと駄目って設定になってるの……?)



「癒しがないと困るでしょーー、まあ、任せて!!今回は俺が澪になってあげるから!!」


そういって未来斗は、さっき買ったのか駄菓子のメロンパンのクッキーのようなものをもぐもぐとたべはじめた。 


…………別に、メロンパン食べてれば澪、ってわけじゃないと思うけど………………





…………







「…………大丈夫、です。」
(双葉ちゃんが悟りを開いたかのような笑みを浮かべている………)







ーーー



しばらくして歩き始めて、ようやく目指していた家についた。




「ついたーーっ!」




瓦の屋根、裏にはお風呂の傍に火起こしのかまど……?、庭が広くて、近くには畑がある。



(なんか………おばあちゃん家って感じでいいなぁ…………)






「「おばあちゃんただいまーーっ!!!」」



流石兄弟、ぶれることなくハモった。



畑でもぞもぞと動いている、小さいおばあちゃん。


2人に気が付いたのか、振り返って嬉しそうにしていた。



「やあやあ……よく帰ってきたねぇ…………2人とも大きくなって……」



そう言ってよちよちと2人のところへ向かって歩いて、2人に向かってふにゃ、と笑っていた。




(…………なんか………癒される………………)




「そりゃ明日香今成長期だからねーっ!去年より結構伸びたよ!」



明日香さん、身長測定の結果156cmって言ってたっけ。



(2cm……絶対抜かせる、明日から早く寝よう)




「ふふふ………おや、お友達も来てるんだねぇ」
「あ、明日香さんの友達の美優です、初めまして……」
「未来斗…さんの友達の海斗って言います、よろしく、お願いします……!」



海斗が何故か緊張してる………



「そんなに固くならなくていいよぉ…………」



おばあちゃんはそういってまたよちよちと歩き始めて、家の玄関の扉を開いた。



「さ、入って入って、荷物重いだろう……?」
「あ……ありがとうございます!」
「ありがとうございます」






ーーー




案内された和室……明日香さんと同室の部屋に、荷物を置いた。


「隣はお兄ちゃん達だから寝る時も襲われる心配はないから大丈夫だよっ、双葉ちゃん!」


心配してもないことなんで言ってくるんだろ………



話していると、しょうじが開いておばあちゃんが入ってきた。



「おばあちゃん!どしたのー?」
「明日香は仏壇に線香あげてきなさい…、お友達……ええっと、美優ちゃんははい、饅頭でもどうぞ……」



美優、ちゃん………

ちょっと、むず痒い。




「はーい、明日香の分も饅頭置いておいてね!」



そう言って明日香さんは部屋を出ていってしまった。



(そっか………おばあちゃんの話しかしてなかったのは、おじいさんはもう……って、ことだったんだ)




「………美優ちゃん」
「あっ、はい…!何ですか?」


おばあちゃんは、またふにゃ、と笑ってくれた。



「明日香がうちにお友達を連れてきてくれるのは初めてなんだ……。あの子にちゃんと友達がいて良かったよ…。」



……………




あれ……?




明日香さんは、クラスに友達も沢山いたし、私より仲のいい子も沢山いたのに………




(どうしてわざわざ、別のクラスの私を誘って………)





「……こ…こちらこそ…「ただいまーーー!!」」




かえってくんの早………?!






「ふふふ……。それじゃあ、ゆっくりしていってね。」



………






「双葉ちゃん、何話してたの?」
「そんな大した話してないですよ、はい、明日香さんの分。」










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