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2章 夏休み。
65.片思い
しおりを挟む「ここ……どこ………」
電気をつけて寝たはずなのに、何故か起きたらあたりは真っ暗。
しかもここ………僕の部屋じゃない。
唖然としていると……後ろから、僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「………!」
振り向くと………そこにいたのは、
「……………か………母さん…………?!」
何年か前に亡くなった、母親。
「………澪」
っ……
(母さんの声………)
「っ……あ、
ごめんなさ………」
見慣れていたはずの母なのに、どうしても体が震えて、腰が抜けて動けない。
「……貴方の、貴方の…………」
母がそうぼそぼそと呟いて、僕を睨んでる。
「っ…………母さん…!!ごめんなさい…!!!」
その時。
ーーーーー
「澪…!」
また……僕は目が覚めた。
今度はちゃんと、電気のついた僕の部屋。
隣で春樹兄さんが不安そうに僕を見てる。
「っ……良かった…………」
「……僕、またうなされてた?」
ひどい汗に、鼓動も早い。
…………
「うん……今日は早く起こせたけど、寝る前に何か…眠くなるもの飲んでおいた方がいいかも」
ホットミルク作ってあげるから下に来て、そう言って兄さんが立ち上がった。
…………、
(薬さえ飲めば、あんな夢見なくて済むけど……それは皆、駄目だっていうから)
…………でも、あんな夢見たくない。
(もう……限界だよ)
ーーー
(海斗side)数時間前…
「……もしもし…?未来斗?」
兄さんに教えてもらいながら勉強をしていたら、未来斗から電話が来た。
『海斗!!義兄さんを捨てて俺と駆け落ちしよ!!!』
「はぁ……?!急に何?!!ていうか兄さん隣にいるんだけど………」
兄さんが空気を読んで部屋を出ていった。
「…………で、何?」
『俺、明後日から田舎のばあちゃん家行くんだけど、一緒にどうかって!』
…………
(なんだ、駆け落ちじゃないんだ………)
「明後日から…いつまで?」
『1日泊まって次の日の昼に帰るよ!皆駄目だったから……せめて海斗だけでも………』
…………えっ、皆駄目、って…………
(ふ、ふ……)
「2人きりッッッ?!!」
『………………妹もいるよ?』
「あ、ああ……」
デスヨネ……
『…………あははっ!なんか海斗面白い…!』
どこがですか………
『で、行く?』
「う……うん………行きたい、です」
……
電話が切れた後……どっと力が抜けた。
(緊張……する)
ーーー
(明日香side)
…………あ、そうだ……
(双葉ちゃん、誘わなきゃ……!)
午後11時。
「もしもしーっ!双葉ちゃぁぁん!!!!」
1回出たのに、何故か秒で切られた。
「……んー?」
まあいいや☆
もう1回………
『え……何なんですか』
「双葉ちゃん、明日香と同棲しよー?」
また切られた。
…………
「双葉ちゃ『何なんですか!!!?』」
え、なんでキレてるんだろ☆
「あの、明後日一緒に泊まりに行かない?」
『……どこに?』
「私のおばあちゃん家!」
…………
『なんであなたと…………?』
「うちのお兄ちゃんもいるから大丈夫!」
『何が大丈夫なんですか……』
『まあ、用事はないから大丈夫です。』
その後、いろいろ説明して……電話を切った。
………………
「ふふ…………ふひひ」
ニヤけが…………止まんない。
「よーしっ!このお泊まりで双葉ちゃんに猛アタックしまくっちゃおーーっと!!!」
楽しみ…………!!
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