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2章 夏休み。
60.お互いに
しおりを挟む「えっと……ここにこれを代入して………」
「うん、……」
…………
……なんか、
「………ねえ真冬」
「……」コク
「今の問題ね、ボクの今の教え方じゃ解けないよ」
「…………え?」
…………やっぱり、
「けど、真冬のは解けてる。ここが分からないんだよね?」
「…………、き、気の所為」
違う
「真冬…………ボクより、頭いいよね?」
「……っ…!」
ーーー
テストの順位……ボクは2位。
けど、1位の人は自主的に隠してるのか分からなくて、真冬に順位を聞いたら真冬は「真ん中くらい」と言っていた。
今教えたところも応用問題だから、頭が良くないと分からないはずだけど………
(さっきから、難しい問題全部当たってるし)
…………つまり、
「学年1位…………真冬でしょ?」
ーーー
「………………ちが…………」
違わない。
「違くないよ、ねえ真冬。成績表見せて」
「す、捨てた…………から」
………………
「あ、これ?」
「っ…!なんで持ってるの……!」
リビングに置いておくなんて、真冬ッテバーー☆
「えーと、なになにーー?わー、全教科満点、1位だーー」
「っ……見ないで………!!」
………………
「なんで騙したの……?」
「…………それ、は」
わからない。
隠すこと、ないのに………
「………………」
「…?まふ……」
その時。
「っ……ぁぐッ…!!!」
…………!?
「う……げほ、げほ………」
……?
え…殴られたんだけど……
「っ……ま、真冬……?!」
「……う、うるさい…………別に言っても言わなくても関係ない…………!」
ええ……
「で、でも…それなら言ってくれてもいいじゃんー!!別に怒ったりしないし……」
容赦なく殴られた腹を抑えた。
「…………………………だっ、て」
…………?
「僕の方が李世より優れてたら……李世、助けてくれないでしょ…………?」
驚いた。
確かに、喋れない真冬のかわりに通訳していたのも
人として最低限のこともできない劣っている真冬のことを支えていたのは、ボクだった。
真冬はボクより劣ってる、何も出来ない。
いつからか、それが当たり前だと思っていた。
真冬が……ボクに勝てるものはない。
「だから……ボクより出来ることは、隠そうとしてたの?」
「………」コクン
………………
そんなの………
「駄目、だよ」
駄目だ。
駄目に決まってる。
「確かに真冬は人より劣ってるし、人間の底辺だと思う」
(…………言い様……)
でも、
「真冬に頼ってもらえるのは嬉しい……でも、
それで真冬が傷付くのは、やだよ…………」
ーーー
しばらくして………
「あ、じゃあさじゃあさっ、お互いに頼り合えばいいんじゃない?」
とりあえず真冬の部屋に移動して、布団を用意してもらったので布団に入った。
「……?」
「ほら、結局ボクも劣ってるところあるからさ……お互いに、支えあっていこうよ」
「李世に劣ってるとこなんて………あるの……?」
あげたらきりがないと思う。
けど、それも支えてくれるような友達が隣に居るから………
(ちょっとやそっと劣ってても、いいや)
「……真冬、そっちのベッドいってもいい?」
「…………なんのために布団用意したの……」
ほぼ無理矢理真冬の布団に入り込んだ。
「っ……!ば、ばか」
「えへへーっ…!なんかBLみたーい」
ボクに背を向けていた真冬に後ろから思いっきり抱きついてやった。
「……っ、うるさ「もふもふ…」」ムギュウ…
可愛い…安心する……
「真冬……だいすき………」
本心で言ったつもりだったんだけど、デコピンされた。
ーーーーー
作者です(・ω<)
李世→←←真冬
文面では李世の方が真冬好きに見えるけど愛が強いのは真冬の方です。
真冬は若干ツンヤンです。
李世のことは閉じ込めたいくらい好きだけど本人を前にすると素直じゃなくなる感じ……
真冬はデミロマンティックなところがあるのできっと性欲はない……
P.S.布団の中でいちゃこらする受け攻めって萌えないですか……
その後描写がないから妄想のネタ膨らみませんか……(ง ˙o˙)ว
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