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2章 夏休み。
55.夏休みの前日
しおりを挟む数週間後………
(郁人side)
「それじゃ、明日から夏休みだが…………」
明日から夏休み。
帰りのSHRで先生が何か熱く語っている。
「お前らは受験生だからな!!いいか!?遊びは程々にしろよ!!?法律違反、不純異性交遊は絶対にするな!!分かったか!!!」
先生は何か経験でもあるのかという程に力強く語っていた。
大体の人聞いてなかったけど。
というかこんな男子校で……不純異性交遊をするような出会いを見つけられる奴なんているのかな。
(なるほどー、不純同性交遊はいいんだ!)
僕は僕でわくわくしてた。
ーーー
「澪ーっ、優馬ー!帰ろー!」
「うん、未来斗達終わったかな………」
「あそこ遅いんだよな……てか、夏休み何する?」
何しようかな……
「とりあえずコミケでしょ?それから……夏祭り行きたいっ!」
「夏祭り…!楽しそうじゃん!澪は?」
すると、
「えっ……あ、…ええっと…………」
…………え、
優馬と目が合った澪は、少しだけ顔を赤くして、すぐに目を逸らした。
それに、なんか2人の中でもどかしいような雰囲気が………
「………な、なんかあった?」
「「何もない!!」
えぇ…………
ーーー
「コッミケ、夏祭りっ、お泊まり会!!」
「未来斗好きだねー」
帰り、皆でさっきの話をしていると、未来斗が嬉しそうに歌い始めた。
「おうっ!今回は誰の家かな~!」
まあ…………何回やっても楽しいからいいんだけどね。
「はいっ!ここで質問!夏祭りといえば!?」
未来斗……本当にテンション高い。
「澪さんどうぞ!!」
「えっと……食べ物…!」
りんご飴、焼きそば、綿あめ、チョコバナナ……
「お小遣い貯めておかなきゃ……!」
「あははー、次!海斗さんどうぞっ!」
「えっ、えぇっと………あっ、あれ!漫画でよく見る『はぐれないように手を繋ぐ』シチュエーション…!!」
…………
「海斗……少女漫画読んでるの?」
「えっ、えっ?」
発想が女子。
ーーー
「それじゃあ、コミケについて連絡出来るように………グループLime作ろー!」
何気にまだ作ったこと無かったっけ。
あんまり携帯使わないから…………
「よし、……こうしてこうしてーー、名前はこうっ!」
「変な名前にしないでね……?」
なんとか、グループを作れた。
「じゃあまたなー!」
「また今度」
皆と別れて、家に帰った。
ーーー
ピンポーーン
「……はい」
帰ってすぐ、制服から着替えていてセーターを脱いだところで、呼び鈴が鳴った。
「あ……こんにちは、隣の者です。」
隣……
(海斗と関わりがある人……だ)
どんな関わりがあったかは覚えてないけど、確か……葉月さん。
「これ、おすそ分けです。」
「あ……、有名店のチョコレート……こ、こんなの受け取れないですよ……!」
まあ、いつもこう言ってるけど結局社交辞令。いつも貰ってる。
「そんなこと言わないで下さい、俺……もうすぐ引越しする予定なので、最後のおすそ分けです。」
…………えっ
「引越し……?えっと……その、あんまり他人のいざこざに首突っ込まない方がいいと思うんですけど………海斗と、ちゃんと話し合ったんですか?」
『だ、大丈夫です!ここから逃げる気はありません、なので、また今度…来てくださいますか…?』
あの時………そう言ってたよね……?
「………ああ、えと……は、話しました」
…………嘘だ。
(でも…………無理矢理問い詰めたところで、関係が悪くなるだけだ。)
好きでもない人の中に深く入りすぎてはいけない。
「…………ちなみにいつ引っ越すんですか?」
「11月下旬です」
意外と先だった。
(冬休みに入る頃じゃん……)
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