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1章 一学期。
43.後輩の喧嘩
しおりを挟む「そっかー……そっか、でも良かったね、未来斗。」
「はい……?」
「俺、正直未来斗に友達なんて出来るわけないと思ってた!」
めっちゃ喧嘩うってきた………
「でも、李世や真冬もいるし、この……女の…男の子もいるし!」
「あはは……ありがとうございます」
「うんうん!…まあ、李世達は来年から西高と合併だし、今のうちに沢山先輩達と話してたいだろうしね。」
………………
……………………
「………………ん?」
ん?
「え、何?」
「がっ、ぺー……?」
李世がまた腑抜けた声を出した。
「うん?1、2年にはHRで言ったと思うよ?」
俺はそんなこと知らない。
それは、李世も同じだったみたいで、
「え……き、聞いてない、です」
「…………」ゴニョ
「あっ……そうだ寝てた!!」
………………
「李世らしー、なんか来年から西高の生徒がうちにくるんだって、まあクラスも違うみたいだし……あんまり関係ないよ!」
それでも李世はかなり驚いていて、驚きのあまりすごく面白い顔になっていた。
「…………ま、真冬は知ってたの?」
「……」コク
それでまた面白い顔になった。
「ってわけで来年から共学ね」
「それっていいんですか…!!?なんか、ほ、法律とかで男子校を共学にするのは法律違反とか……」
「別いいじゃん………フィクションなんだし」
驚きのあまりおかしくなる李世と現実を見ない西原先輩。
俺には関係ないけど………合併なんて、初めての経験だなーーー
「大丈夫大丈夫!あの学校結構顔面偏差値高い奴ばっかだから、妄想のネタになるよ!」
「そういう問題ですかね………」
ーーー
次の日~~
「先輩!!聞いて下さい!!!」
教室で海斗と堂々とBL本を読んでいたら、李世が入ってきた。
李世は俺を見るなり走ってきて、すごく焦った様子で俺の肩を掴んで………めちゃくちゃ前後に振り回した。
「聞いて下さいよー!!真冬が、真冬が!!!」
「うんうんーー俺お前がなんでそんな堂々と3年の教室に来れるのかがびっくりーーー」
…………
「あ、俺先生に呼ばれてるから……またなー…」
海斗がそそくさと逃げていって、それから李世が、
「その……喧嘩、しました。」
…………えっ
「お前ら……喧嘩なんてすんの!!?」
「初めてです。でも…悪いのは真冬です!本当なんですよ!?」
とりあえず、原因聞いた方がいいよな……?
一応2人の先輩なんだし…!
「なんで喧嘩なんて?」
「えっと……その、真冬ってすごく……口が悪いんです。」
俺は真冬の喋ったところなんて滅多に聞かないし、ごく稀に、本当に稀に声が聞こえても、口が悪いと思うような発言はなかった気がするけど………
「……いつもは糞豚とか、そんなセンスのない悪口なんですけど………」
「う、うん……」
とりあえずいつまでも引っ付かれて困っていたので、隣の海斗の席に座らせてあげた。
「しつこく絡んでたら、等々言われました……、『嫌い』って………」
………!
「李世ってそういうの気にするタイプ?」
「はいー……、なんていうか、自分よりカーストの低い真冬に言われる悪口なんて特にダメージはないんですけど、嫌いって言われるのだけは苦手で………」
李世も大概な気がするけど………
「仲直り、しないの…?」
「まあしたいですけどーー、真冬から謝ってもらわないと!!」
………
「ま、とりあえず行ってみよっか!」
ーーー
「教室にいる?」
「いえ、多分この時間は美術準備室にいるはずです……真冬が人の話す声が苦手で、先生に許可とって昼休みは静かなところで2人で漫画を読んでたので。」
なるほど………
「真冬……ちゃんと1人で行けたかな……誰かにぶつかって怯えてないかな………」
(……)
ほんとに、喧嘩中なのかな………
うちの校舎は選択科目の時使う教室がある。
とりあえず最上階の3階にあるのは美術室と書道室、あとは和室。
和室は茶道部が使ってるらしいけど………
「たまに美術部員の人達が美術室に行く時に準備室の前を通るんですけど……真冬は1人でいるとよくからかわれるので不安で………」
「そっか、じゃあ早く行かないとな…」
やっぱりあんな性格してるだけあって真冬はいじられやすいらしい。
それは仕方の無いことなんだろうけど………でも、
ーーー
3階に登ってきた俺達はすぐに曲がって美術準備室に入った。
「……!」
そこには案の定……真冬が1人でいた。
「ま…真冬……」
「………」
少し先に行った李世に気付いて一瞬驚いていたけど、またすぐに読んでいた本に目を移す。
「………」
「あ、あのさ……」
ここから先は俺はなにも出来ない。
壁に隠れて、静かに2人を見守っていた。
「………いいたいこと、あるならいえばいい」
李世しかいないと思ったのか、真冬は普通に話していた。
「……じゃあ、言うよ」
李世も荒れていた息を整えた。
「真冬は……我儘すぎる」
「………それだけ…?」
本で口を隠して、真冬は李世を見た。
「ううん…!子供だし、面倒臭いし理不尽だし、その癖構ってくれないと落ち込むくせに……素直じゃない!」
……!
(2人って、何も考えてないかと思ってた……)
意外と、いや…俺よりずっと、色々考えている。
ただ仲良しごっこしてるだけの後輩達、そう思ってたんだけどな……。
「………じゃあ、もう友達やめる……?」
(真冬………?)
「やめたら、困るのは真冬でしょ……?」
その質問には流石の李世も驚いて、疑問形になっていた。
「………」
なんか、真冬の様子が………
「まふ…「………、が……」……え?」
「李世といると……僕が、李世のこと苦しめてるみたいで、嫌だ。」
……………え………?
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