ゆうみお

あまみや。旧

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1章 一学期。

41.独占欲…?

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「……えっ」

うたさんと買い物から帰ると、


「あ!おかえり、澪、うた。」



そこにいたのは……いつも通りの優馬。


「ね、熱は?」
「すっかり下がった!風邪、治ったみたい。」


えぇ……

こんな短時間で………?



「よかったですね!はやくうたのご飯作ってください!」
「あ、明日からね……?」




なんか……拍子抜けって感じだった。








夕方。




「お邪魔しました……お大事にね、優馬。」
「うん、ほんとに……ありがとね。」


なんか、こっちの方が慣れてはいるけど………

(前の甘え上手な方が、よかったかも……)






そんなことを思いながら帰宅していると、


「……あっ、莉音!」
「っ、澪だ!今帰り?」

莉音がいた。
いつも通りハーフツインで、部屋着?なのか、ゆるいパーカーにミニスカートにタイツ。
コンビニ袋を持っていたから、コンビニに行った帰りだと思う。


「桜木から聞いた。優馬の風邪、大丈夫なの?」

とりあえず家まで歩きながら莉音と話した。

「うん、すっかり治ってた、明日には来れると思う。」
「そっか!あ、そういえば明日、先生方の緊急会議が出来たみたいで、午前中には帰れるんだって。」

……!
「そうなの?やったー……!」
「あはは……澪は早く帰りたい派なんだね。」
「うん、部屋にいた方が落ち着くんだ……、インドアってやつ。」
「ボクは散歩とか好きだけどなー、お洒落して歩くと、自分が変わったみたいでさ。」


自分が変わったみたい………


そういえば、莉音の女装前って見た事ないかも。


……まあ、そのうち見れるか。





ーーー

家に帰ってご飯を食べてお風呂に入って、久々にゴロゴロすることができた。


「……さて、明日は午後は何しようかな 。」

メロンパン一気食い?
夜までお昼寝?


「ふふっ、楽しみ……!」





ーーー


(未来斗side)

「明日は午後から何もなし……本屋にでも行って新刊買おっかな…!」

今はあれとかあれとか、あんなのがきてるんだよな!


「そうと決まれば……明日はお出かけだーーっ!」






楽しみ………!





ーーー


「早苗優馬、完全ふっかーつ!」
「おめでと。」
「チッ…そのまま死ねばよかったのに。」
「郁人ひどい」


とりあえず、優馬は大丈夫そうです。


「でも今日は早く帰れるみたいだし、最高だな!」
「僕は澪とずっと一緒にいたいから出来るだけ帰るのは遅い方がいいな……」
「そう?僕は早い方が好きだけど……」




ーーー


放課後。

(莉音side)


学校から走って帰り、すぐにいつもの格好になった。

……いつもの、女の子の格好に。


「ふぅ……やっぱこっちの方が落ち着くなー………」


学校でのボクは、地毛で桃色な髪色以外は眼鏡をかけて本ばっか読んでいる、いわゆる根暗だ。

女装は校則違反だから、こんな格好出来ないし……何より、馬鹿にされるのが怖い。

だから放課後はすぐに家に帰って、自分の好きな格好で過ごす。

女装している時の方が……ボクらしくいられる。


「さて、今日もコンビニ行ってみようかな!」

最近、コンビニやスーパーに行って買い物をしつつ、この格好で人に慣れるように訓練をしている。


いつか普通にこの格好でいられるようになれたら………って夢見て、いつも頑張ってる。




ーーー
(未来斗side)

とりあえず一旦家に帰って、本屋へ向かう準備をして、家を出た。
すると……なんと、家の前を歩いていたのは後輩達。

「……!せ、先輩!?」
「……」


2人も驚いていたから、本当に偶然なんだと思う。


「ボク達も本屋に行って新刊買おうかなって思ってたんです!一緒に行きましょう?」
「……」コクコク

李世も真冬も相変わらずって感じ。


しばらく3人で話していると……



「…あ!莉音だ!」
「!……み、未来斗、この前ぶり、だね。」


またまたなんと、莉音が道を歩いていた。

「今日はセーターだ!可愛い!」
「え、えへへ……まだ少し寒いしいいかなって、まぁもう4月下旬なんだけどさ………」
「可愛いからいいと思う!」

莉音とは、本当にこの前遊んだ時以来だった。
学校内でもなかなか見つけられなかったけど……ここで会えるなんて。


「先輩?」
「あ、紹介する!この人は神谷莉音……女装男子だぞ!」

李世と真冬は同時に驚いた顔をした。


「はじめ、まして………ボク、神谷莉音っていいます、……!!」

そして莉音も、2人を見て驚いていた。







「こ、こんな可愛い子達、ほんとに男なの……っ!!?」




2人を見る莉音の目が明らかにおかしい。




「ふふ……澪以外にもまだ残ってたんだぁ……よし、この子達も女装させてミンスタに………あのっ!」


小声だし早口だったから伝わってこなかったけど、莉音は明るく笑った。

「も、もしよければボクに女装、させられてくれませんか?!」 

……?
女装………?



「じょそー……?」

李世が腑抜けた声を出した。

けど、すぐに理解して、


「は、はぁぁぁぁっ!!??嫌です、嫌に決まってるじゃないですか!!!」


(……あれ、李世ってこういうの好きそうに見えたけど。)

なんかトラウマとか……かな。
慌てようが尋常じゃないし。




「えー…あっ、じゃあその後ろの白い子!君はやってくれるよね?!」
「っ……!」ビク


ターゲットが李世から真冬に変わった。

「…!り、莉音、その辺に……」

莉音は聞かず、真冬に触れようと手を伸ばした




その時。






「……っ」
「…触んな」


「えっ…?」


小声だったけど、確かに聞こえた。
莉音がのばした腕を掴む李世。



「……え、あれっ」


正気に戻ったのか、李世は掴んだ手をぱっと放した。

そして……困惑していた。


「ぼ、ボク今何を……」
「……」
「え、そ、そうなの?」
「……」ゴニョ
「…!ご、ごめんなさい!り、莉音先輩!! 痛くなかったですか!?」

どうやら、無意識でやってしまってたらしい。

(李世………?)



「…あ、莉音、痛くなかった………」

「か」という前に莉音の表情を見て驚いた。





「り……莉音先輩っ………!!?」






...。


なんか、すごい嬉しそう………




まあ、それならいいんだけどさ……







「……!えっと」
「もっと先輩って呼んでください!」
「せ、先輩……」


李世が引き気味なんて珍しい……




「あは……は」


俺も少し引き気味だったし、真冬なんて引いてますと言わんばかりの表情をしていた。



とりあえず安心した……と、思った、その、時………








「あっ、未来斗と後輩達だーー!」
「…!」





今度聞こえた声は……





なんか、トラウマを植え付けられたような声だった。





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