ゆうみお

あまみや。旧

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1章 一学期。

40.妹

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優馬の家に着いた。


「ううぅ~~」
「まだフラフラしてる……大丈夫?ベッド行って休みなよ。」
「つれてって……」


すごいドスの効いた声だった。
(ほんとに具合悪いんだな……)



……けど、一体何したらこんなにひどい風邪、ひけるんだろう。


誰かからうつされた……とか?




………






「………あっ」






僕じゃん……






「優馬……ほんとごめん、責任もって看病する!」
「ふへ?わーーいっ、お か ゆ!お か ゆ!」


仕方ない………



「分かった、じゃあ作るからソファで横になってて」
「部屋まで連れてってよー!」
「重くて運べないんだよ察しろよ馬鹿!!!」


デリカシーとかないのかな……ほんとに。


あ、というか僕、お粥作れるっけ……





ーーー


「でき、た……のかな?」

別に料理が下手とかそういうのはないけど、初めて作るからやり方が……


「……優馬、お粥出来たけど食べれる?」
「ん…ぅ、んぇ?おかゆ?」

寝ぼけてるし……

「うん、食べれる?」
「…食べれる!」


子供みたいに幼い笑顔だった。
(人格変わりすぎだよ……)



でも……
なんかちょっと、面白いかも。




ーーー


「……さて、ご飯も食べたことだし部屋に行って寝よう?歩ける?」
「ん……大丈夫!」

良かった。
少しだけ……だけど、我にかえってきてる。


「あ…肩、かして?」
「はいはい……」

……って、肩をかしたのはよかったけど、


(……優馬の身長に合わせたら、背伸びしながら歩かないと………)


お願いだから、身長ください。





ーーー

「っ、ぅ……」

なんとか部屋に入って優馬をベッドに寝かせた。
体験したことないけど、酔っ払ったお父さんをベッドまで運ぶってこんな感じなのかな。


「色々買ってくるから、寝てて、飲み物ホカリでいい?」
「ん……」



優馬はすぐに寝てしまった。
「…さて、と。」



買い物行くか………







ーーー

なんて

「いらっしゃいませ~!」


近くのスーパーに来た。
(よくよく考えると……まだ午前中なのに高校生がスーパーにいたら、不思議に思うよね。)




周りからの視線を感じる。


「あの子、中学生かしら……」
「小学生じゃない?」



いや流石に小学生はやめてください……



(ホカリと、熱冷ますアレと、あと………)




ネギだ。







「ネギ……あと、は。」



あ、新作のほたて味のメロンパン買おうかな。

(絶妙な味がするって誰かが言ってたけど、見た目は美味しそう。)



ほたて味メロンパンをカゴに入れて、パンコーナーを出ると、今度はお菓子コーナーがあった。



(そういえばこの前買ったホワイトチョコレート美味しかったな……5枚くらい買っちゃお。)



今度はホワイトチョコレートをカゴに入れる。
立ち上がってふと横を見ると、お菓子が沢山並んでいた。



チョコとかクッキーとか、飴とか………




「っ……」




息を飲んだ。









ーーー




「ただいま、大丈夫?」
「ん…?あ、おかえり澪。……なんか、たくさん買ってきた……ね?」
 

つい爆買いしてしまった……


(お小遣い全部使っちゃったよ………)


「あ、とりあえずこれ飲んで、あと熱ひどいならこれ貼ってね、あと、長ネギも買ってきたから首に………」
「ありがと…うん、長ネギは大丈夫かな。」




ーーー




とりあえず寝かせた。
(さてと、することないな………)


暇だし、何か面白いものないか散策しようかな。



ーーー


15時。


(もうこんな時間かー……)
もう少しで優馬の妹たちが帰ってくる気がする。
優馬は僕と同じで両親が他界してて、妹2人と居候してる親戚の女の子と住んでるんだよね。




「たっだいまーっ!」
「ただいま。」




そんなことを考えていたら、小学生の妹達が帰ってきた。


「あ…おかえり、お邪魔してます。」
「!!澪っ…!?どうしているの!?」
「まさか本当に嫁入りしてくるとはね…。」

うん、なんか違うけどまあいいや。



元気のある方が早苗渚、小学5年生。
冷静そうな方が早苗実梨、こっちも小学5年生。
2人は双子で、渚ちゃんが妹で実梨ちゃんが姉。


「実は優馬が風邪引いちゃって……看病してたんだけど………」
「あー、なるほど!看病BLってやつね!」
うん、分かんないや。
「なんでホモにぃが看病される側なの……?」
実梨ちゃんはなんか不満そうだし……




「……まあ、助かるからいいけど。もうすぐうたちゃんが帰ってくるんだよねーー」
「そっか…じゃあ看病任せても大丈夫かな……」
うたちゃんことうたさんは優馬の家に居候してる中学2年生の女の子。
関西から来てて、1回しか会った事がないけど……面白い子だった。
なんか、しっかりしてるとは言えないけどあういう子こそ家ではしっかりしてるんだよね………



「ただいま~!」
その時、ドアが開いてゆったりとした声が聞こえた。
「うたちゃんおかえりー!」
「おかえり。」
「お~、双子ちゃんたちにお出迎えされてもうた…じゃない、されちゃった…!」
たまに関西弁になっちゃうってうたさんがこの前会った時に言ってた。
けどたまに「だらぶち」とか聞こえてきて、明らかに関西じゃない気もするけど………



「!み、みゆさまのお兄さま!!」
僕の妹の美優をすごく尊敬してるらしい。


「かくかくでーしかじかなの!」
渚ちゃんが説明してくれた。
「あっ……え、えっと、お義兄様……、本日はわたくしの身内がご迷惑をかけてしまい「迷惑じゃないです!あと、お義兄様でもないです…!」」




ーーー


「優馬お兄ちゃん、とっとと起きてください!!」
うたさんが優馬の部屋に行って寝ている優馬をぺちぺちと叩いた。

「う、うたさん…!一応熱あるから、寝かせてあげて…!」
「だめです!!お兄ちゃんがいなかったら誰が夕食作るんですか!!」




...。




「うたさん?」
「私は超超超料理音痴です!!!」


わぁーーー





「……ん、はぁ………うた?」
「あ、こら起きてください!!ひっぱたきますよ!」

(DV…?)


「…う、ごめん…お金あげるからコンビニで……」
「……、いいよ、僕がつく……」

あっ



(僕料理、出来ない……)




...。





「コンビニ行ってきます……。」


「えっ…?いや、うたが行くって……」
「ううん、僕が行く!」




なんだかんだで、看病って楽しいし……!





「じゃあ、行ってくるね!皆、何がいい?」

他人に行かせるのは流石にためらいがちだったうたさんが、
「わ、私も行きます…!渚ちゃん達の好物は知ってますから……!」


って……
美優に好かれたいから身内には好印象でいたいんですって顔に書いてあったけど。




ーーー



そんな感じで、うたさんと2人で買い物に行くことに。



「………あの、」
「はい?」


なんとなく沈黙続きだったので、思い切って聞いてみることにした。

「美優……妹は、学校で、…その、大丈夫ですか?」


しっかり者で世渡り上手な妹だから心配はしていなかったけど、やっぱり少しは不安なもので。


「はい!みゆさまは本当に素晴らしい先輩です!……けど、それはうた達の前だけ、本当はどうなのかは、分かりません。」

どうやら、後輩にはいい先輩でやってるみたい。


「……うた、実はみゆさまに初めて声をかけてもらった時、誘拐されそうだったんです。」

えっ
誘拐……?!

「でも、みゆさまはひるまずにうた…私のことを助けてくれたんです。本当にかっこよくて、美して……一目惚れ、だったんです。」


うたさんは前に会った時とは違う、大人っぽい表情だった。


「………私はみゆさまが好きです、それはお兄さんも一緒…ですよね?」

……!

そんなの、当たり前……


「うん、勿論!美優は完璧だけど少し抜けてたり、可愛いところだって沢山あるんだよ、見つけてあげて?」

「はいっ!がんばります!」




妹のことをよく知れたし、うたさんとも仲良くなれた。

なんだかんだで、いい日……だったかな。




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